トピックス -企業家倶楽部

2016年07月08日

話題のAirbnbで泊まってみた

企業家倶楽部2016年8月号 ビジネストレンド





 クロアチア・ドゥブロヴニク。その景観の美しさから「アドリア海の真珠」と呼ばれ、世界遺産にも登録されているこの街に、会社員のNさん(27歳女性)は休暇で訪れた。元々旅行が趣味で、あらかじめ取ってあるのは往復の航空券くらい。風景も堪能し、あとは本日の宿を探さねばならない。

 インターネット接続環境のある喫茶店で一息入れると、鞄からおもむろにスマートフォンを取り出し、Airbnb(エアービーアンドビー)のアプリを起動した。同サービスは、自宅を貸したい所有者と宿泊先を探す旅行者を仲介するプラットフォームを提供。今や世界192カ国3万3000都市で、80万件以上の宿泊先を紹介している。

「ドゥブロヴニク」と検索すると、実に300件以上がヒット。その中からレビューなどを読みつつ見繕い、一泊5000円程度の宿に決めた。オーナーはトレッキング会社勤務で、余った部屋を貸しているという。泊まった感想を聞くと、「凝ったインテリアがオシャレで、快適だった」と顔をほころばせた。

 所変わって、日本。伊勢志摩サミットが開催される直前のゴールデンウィークに、奇しくも彼の地を旅しようと思い立った会社員のA氏(26歳男性)は、宿泊予約サイトを見て愕然とした。宿泊1週間前にホテルや旅館を探しても、空きが一切見つからない。伊勢市駅から伸びるJR線沿線をしらみ潰しに調べても、空室はただの1件も無かった。

 意気消沈しかけたところ、思い出したのがAirbnbだ。早速「三重県伊勢市」で検索すると、これだけ一般の宿泊施設が埋まる中で、すぐに20件近い部屋が見つかった。価格も一泊2000円程度から1万円以上まで様々だが、今回は一泊約7500円の部屋を選んだ。

 さて予約当日、伊勢市駅に降り立つと、待ち合わせの時刻通りにオーナーのHさん(50歳女性)が車で迎えに来てくれた。駅からものの10分で宿泊物件に到着。近くにはコンビニや薬局もあり、便利な立地だ。部屋に入ると、広々としたリビングに驚かされた。隅々まで清潔感が漂い、トイレや風呂はもちろん、アメニティまで完備されている。座り心地の良いソファーに腰を下ろし、テレビを見ながら寛げた。

 Hさんは少し離れた場所でカフェを経営しており、適当な物件があったため副業としてAirbnbのオーナーになることを決めたという。トラブルに見舞われることは無いのか聞くと、「ドイツからの観光客を受け入れた際、到着時間が誤って記載されており、予定通りに合流できず気を揉んだことがある。ただ、フレキシブルに対応したことで、むしろ満足度は高かった」と語った。

 これだけ快適で便利にも関わらず、宿泊施設の繁忙期に多くの部屋が探せてしまうのだから、裏を返せば、まだ日本ではAirbnbが浸透しているとは言えない。

 その理由の一つは、安全性の問題だろう。カナダ・カルガリーでは、ある夫婦の貸し出した自宅が100人規模のパーティ会場にされ、見るも無残なほど破壊される事件が発生。アメリカ・カリフォルニア州では盗撮や住宅占拠といったトラブルも起こっており、貸す側・借りる側双方のリスクが浮き彫りにされた。

 もう一つは規制の問題だ。日本では、一般住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」は原則として禁止されている。営業のためには、「客室の延床面積が33平方メートル以上であること」などの条件を満たして「簡易宿泊所」の許可取得が必須となる。

 だが、現実問題として、2020年の東京オリンピックなど、訪日旅行客のピークに合わせてホテルを増設するわけにはいかない。今後、Airbnbのような民泊を促進するサービスは重要な位置付けとなろう。(相澤英祐)



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