トピックス -企業家倶楽部

2016年08月12日

求職者一人ひとりに寄り添いたい/フェローズ代表取締役社長 野儀健太郎

企業家倶楽部2016年8月号 モチベーションカンパニーへの道 vol.20




ものづくりの現場を支えたい

「クリエイターのためのマネジメント会社、設立しました」

 フェローズ創業当時、求人誌に打ち出したキャッチコピーである。その下にクリエイターに対していかに熱い思いを持っているかを書いた。実績がないにもかかわらず、40 名の問い合わせがあった。

「思っていたことが確信に変わりました。この人たちの気持ちを裏切ってはいけないと身が引き締まりました」。2016年5月現在、会員サイトの登録者数は約1万9000人を超えた。日本全国に8拠点を展開し、ここ数年で急成長を遂げている。

「クリエイター専門」を謳うだけあってその分野は幅広く、映像、ウェブ、グラフィックデザイン、ゲーム、アニメ、空間デザインと、多彩な人材を取り揃えているとクライアント企業から評判である。

 また仕事情報だけではなく、スキルアップの機会も提供している。「フェローズクリエイターアカデミー」というサイト未登録者も受講できるセミナー、短期集中で学べるスクールや無料のネット講座なども開講している。メールマガジンでは全国に拠点を構えるフェローズだからこそ収集できる地域密着の情報を得られ、クリエイターが自分にとっての最適なツールを選べることも魅力の一つである。

 フェローズのマネジメントの特徴は、企業への訪問やヒアリングといった営業活動と、クリエイターへの仕事先の紹介をエージェントが一人で行う点である。この方法により、ロスの少ないコミュニケーションと迅速な対応が可能になった。エージェントが自分で見聞きした生の情報を双方に伝えられるため、ミスマッチの少ないコーディネートを目指せる。サイト上の仕事情報には編集した日付とエージェントの名前が公表されており、信用度が高いと登録者から好評である。すべてのエージェントが顔出しをしているのは人材業界でも珍しい。

 野儀は明治大学を卒業後、新卒でリクルートに入社。2年数カ月で辞め、人材派遣会社へ転職した。「7000人の会社から7人の立ち上げ期の会社に移ったんです。大企業よりも、会社が大きくなっていく過程の方が面白いと思っていました」

 求職者をフォローする仕事にやりがいを感じていたが、企業が大きくなっていくうち、野儀の考え方と会社のスタンスにズレが生じ始めた。

「組織は効率を求めるようになります。僕は一人ひとりを大事にし続けたかったのですが、会社全体で求職者の考えや気持ちを大事にする感覚が乏しくなっていきました。口で言うのは簡単かもしれませんが、一人ひとりに寄り添うことを体現していく組織を作りたいと考え、フェローズの設立にいたりました」

 幼少期、ヘアメイクの仕事をしていた叔母によくドラマの撮影現場に連れて行ってもらっていた。そこで野儀はものづくりの現場の活気を目の当たりにする。

「『クリエイターの人たちって、自分のやりたいことに打ち込んでいる人たちなんだな』と幼心に思いました。その情熱を小さい頃から感じてきたので、クリエイターの人材ビジネスに出会った時は天職だと思いました」


ものづくりの現場を支えたい

社員と徹底的に向き合う

 野儀のクリエイティブ業界への情熱は、社員教育にも表れている。

「礼に始まり礼に終わる」。小学校時代に剣道を習っていたこともあり、特に挨拶は相手と信頼関係を築くための第一歩として大切に考えている。当たり前のことではあるが、野儀は少しの妥協も許さない。また職を紹介するという仕事柄、求職者より立場が上だと勘違いしてしまう人も少なからずいる。

「私たちはクリエイター、クライアントと同等のパートナーです。派遣をしてうまくいかない時もありますが、もっとヒアリングできていれば、もっと事前に説明ができていればよかったのではないかと常に自責型に考えてもらいたい」

 他にもウェブカメラを活用して週2回のテレビ会議を行っている。いいエピソードなどを共有し、全社で情報に距離感が出ないよう心がけている。月末会議では月のMVPを表彰し、テレビ会議のまま社内飲み会に発展するのが恒例だ。 そんなフェローズも初めて新卒採用をした時は苦労があった。教育体制が整っていなかったこともあり、新卒社員が2〜3年の期間で全員辞めてしまったのである。

「厳しく向かわなければいけないところを向かいきれず、結局成果が上がらなくて辞めてしまうという悪循環でした。正しい厳しさと勇気をもって向き合おうと、会社説明会や入社後の研修の内容も見直しました」

 新卒採用時の最初の会社説明会では、野儀は仕事への情熱を約2時間半語り続ける。その思いを聞いた上で、フェローズに入社したいとなるか、そうならないか。応募者の共感性の高さは採用基準の一つになっている。今年は13名を採用し、すでに契約を決めた社員もいるそうだ。フェローズの教育体制は順調に完成しつつある。



クリエイターに支持される基盤を目指して

 野儀は、社長にとって大事な仕事は「熱く語ること」と、その話を聞いて熱くならない人をそのままにしないことだと考える。会社が大きくなり社員数が増えると、どうしても全員に目が届きにくくなる。会社の悪口を言う者が出てくると、人はネガティブな方へどんどん引っ張られ、そうなると社長の声は響かなくなってしまう。「面従腹背な人が出てくると、そこが一番の闘いです。一対一で話し合って、改心させられるか、力の見せ所ですね」

 今年の夏、東京本社と同じビルに新しくコミュニティスペースをオープンする。自習スペースも完備しており、ウッド調の内装やカラフルな椅子はまるでカフェのようで、クリエイターが集まる場所にふさわしいデザインとなっている。将来的には、誰でもセミナーを企画してインターネット上で人を募り、一定人数が集まったら開講できる場として機能しても良いと考えている。

 仕事を紹介してくれるだけではなく、他のクリエイターと接点を持つことができる。野儀の目指すところは、「クリエイターならば、とりあえずフェローズのサイトに会員登録しておく」のが常識となることである。

「今後は沖縄、四国にも拠点を広げて、全国のクリエイターをフォローできる体制をつくりたいです。それに伴ってエージェントのレベルも全国的に上げていかなければなりません」

 最後に全国にいるクリエイターへ向けて熱いメッセージを送った。

「これだけ熱い思いでクリエイターの皆さんのためにサービスを展開している会社がありますので、ぜひフェローズを知ってください」

 ものづくりの世界は厳しく、誰しもアシスタント時代を経験して成長する。クリエイターに優劣をつけず登録希望者全員に門戸を開き、人の可能性を信じているフェローズ。より多くのクリエイターに認知されれば、クールジャパンと評される日本の文化がさらに活気づくに違いない。



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