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トピックス -企業家倶楽部

2010年04月27日

永久ベンチャーでありたい/ディー・エヌ・エー代表取締役社長兼CEO 南場智子

企業家倶楽部2010年6月号 ベンチャー・リポート2


3月4日、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテルにおいて「大挑戦者祭2010」が開催された。同イベントでは、第4回IPO大賞表彰式、ドリームゲートグランプリファイナル、社内起業家募集ブース、基調講演、新規事業セミナーなどを通して起業家を支援している。基調講演では、ディー・エヌ・エーの南場智子代表取締役社長兼CEOが成功の法則と今後の意気込みを語った

瞬く間に世界一へ

 我々DeNAは1999年に設立後、インターネット上のオークションサイト「ビッダーズ」を開始し、2001年にはインターネットショッピングモールへ参入を果たしました。

 どちらもすでに、ヤフーや楽天など大手競合他社が存在しましたが、大手に気をとられるのではなく、来て下さっているお客様にどうしたら満足していただけるかを考えてサービスを提供していきました。

 その結果03年に初めて黒字を出すことができ、負けず嫌いの私も感動のあまり泣いてしまいました。今でもこれは起業して一番うれしかったこととして心に残っています。

 しかしそれで満足することなく、やはりナンバーワンになりたいと思い、その土俵にモバイルを選びました。04年にモバイルオークションに参入、05年2月に東証マザーズに上場(07年12月東証一部に上場)、06年には携帯ポータルサイトの「モバゲータウン」を投入し、会員数1700万人、月間ページビューが451億を越える世界最大級のモバイルサイトとなりました。09年3月期の連結決算は、売上高376億円、経常利益160億円を達成しています。


瞬く間に世界一へ

意思決定を間違ってもそれを正しいものへ変える

 私は成功に必要なものとして、次の3つが挙げられると思います。

 一つ目が「正しい戦略」です。これを作るには冷静な分析力、判断力が必要です。足が震えるようなプレッシャーの中でも、冷静な判断をしなければいけません。

 二つ目が、「実行力」です。さらに言えば「緻密な実行力」です。どんなに戦略が大胆でも実行はとても緻密にやらなければいけません。

 三つ目が、「成功への信念」です。これは執念と言い換えてもいいと思います。経営において正しい意思決定をすることはもちろん重要ですが、たとえ間違いであっても選んだものを正しくすることの方が特に重要です。どんなに入念に分析して意思決定をしても、その当日から予想もしていなかった問題が起こります。するとすぐに「意思決定を間違えた、もう一個の方がよかった」と後悔するでしょう。しかし、その迷いに時間を使ってはいけません。とにかく「これでいいんだ、これで成功するんだ」という信念を持って進まなければいけないのです。

 そのような意思決定においては、私が前職のマッキンゼーで培ったコンサルタントの経験が逆にあだとなりました。なぜなら事業家とコンサルタントは、意思決定において大きな違いがあるからです。

 事業家が「何をやるか」を悩んでいるのに対し、コンサルタントが一生懸命悩んでいるのはクライアントに「何を言うか」なのです。この提案がクライアントにとって価値があるのかどうかということを非常に悩みます。

 それに対して事業家は、「何をやるか」を決めたら、次に「どうやるか」また「誰とやるか」ということについて考えるので、意思決定のプロセスにおいてコンサルタントとは全く異なるのです。

 私もコンサルタントの経験から使える知識や技術は全て使いましたが、分析をすればするほど選択肢が僅差であったため、決断した道に迷いが生まれました。この姿勢は社員の士気も下げてしまい、すぐに業績に響きました。それを機にコンサルティングの意思決定の仕方は一切やめ、とにかく決意を持って決定することにしました。特に、社長はおびえや迷いという姿勢を社員に見せてはいけません。



グーグルを超えるグローバルインパクトを

 アメリカのシリコンバレーでは、アントレプレナーが一番尊敬されています。

 ある調査で「起業することが魅力的だ」と答えた人の割合が、アメリカでは66%です。これに対して日本は28%です。日本では起業することがかっこよくないのです。世の中で尊敬もされない。むしろ一流企業に行くほうが尊敬されます。このような日本の社会は、大きな問題だと思っています。

 現在、世界的リーダーシップを握っているIT企業はグーグルやアップル、マイクロソフトなどがありますが、それらは過去30年以内にゼロから生まれた企業です。10年以内の企業さえあります。

 日本にも世界に名を轟かせているIT企業はいくつもありますが、ソニーにしてもパナソニックにしても還暦を越えており、若い企業がありません。

 アメリカの若い企業が世界を牽引している中、現在もアメリカ全土でベンチャー企業が生まれています。おそらく10年後には、今のグーグルやアップルのように輝かしい注目を集め世界を制覇しているでしょう。

 なぜ日本はこのような企業が生まれないのでしょうか。日本人は能力やクリエイティビティが劣っているのでしょうか。私は決してそうは思いません。

 以前勤めていた会社は、多国籍の優秀な人材がたくさんいましたが、日本人の能力が劣っていると感じたことはありませんでした。そればかりか常に誇らしく感じていました。能力は国籍ではなく、単純に個人差であることを学びました。

 もう一つシリコンバレーが日本と大きく違うところは、多国籍の人材チームが自然に出来ているということです。仮に6人でベンチャー企業を起こしたら、2人インド、1人シンガポール、1人中国、残りの2人がアメリカなど、多国籍なチームであります。そうすることで、シリコンバレーで対応ができなくなっても、すぐに事業を他国に移したり、それぞれの母国でたくさんの情報を手に入れネットワークをつくるなど、いとも簡単に世界をまたげるのです。つまり世界中をリサーチし、地球上を自由に闊歩することができます。こういう世界を日本もつくらなければなりません。

 私はマッキンゼーのパートナー(役員)やハーバード大学でMBAを取得した肩書きよりも、アントレプレナーとして起業したことが一番の誇りです。日本でもアントレプレナーが尊敬され、かっこよく思われる世の中にしたいです。

 そのために、まずはこのDeNAの仲間と共に、世界で大成功となる事例を1つ作ってやろうと思います。世の中で大きなインパクトを与えたグーグルを超えるような、グローバルインパクトを5年以内につくります。それが日本にアントレプレナーを広める一助となり、ひとつでも多くの成功事例が出てくるようになれば、日本の国力へとつながっていけるのではないかと思うからです。

 しかしどんなに大きな会社になっても、なにより「永久ベンチャー」でありたいです。「永久ベンチャー」とは、常に新しいことに挑戦し続ける、守りに入らない企業のことです。成功しても守りに入らず、かつ常に新しいことに挑戦し続けるベンチャー、そのような意味で抜きん出て高いと言われる会社でありたいです。


プロフィール
南場智子(なんば・ともこ)
1962年 新潟県出身。86年4月、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。その後ハーバード大学でMBA を取得し、96年、歴代日本人女性で3人目のマッキンゼーパートナー(役員)に就任。99 年、株式会社ディー・エヌ・エーを設立し、代表取締役社長に就任(現任)。2006年、第8回企業家賞を受賞。



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