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トピックス -企業家倶楽部

2010年04月27日

上場を果たした初の高級フランス料理専門店/ひらまつ代表取締役社長 平松博利氏

企業家倶楽部2010年6月号 ベンチャー必勝の法則 WBC提携企画1


この記事は、テレビ東京系BSデジタル放送・BSジャパンで放送中のワールド・ビジネス・チャンネルの同名番組(木曜夜12時から放送)を紙面化したものです。「ベンチャーで成功するためのポイント」を第一線で活躍中のベンチャー企業の経営者が語ります。なお、過去放送分も含めた当番組の全てのラインアップは、企業家ネットワークのホームページでご覧頂けます。(http://kigyoka.com)

本場フランス料理との衝撃的出会い

 私は両親や兄弟の影響でフランス文化に興味を持ちました。高校卒業後は専門学校で経営を学ぶ傍ら、臨時雇いでホテルの洋食屋で働いていました。その後フランスへ渡り、本物のフランス料理を体験し衝撃を受けました。食材の質が全く違うのです。自分が今までやってきたことは何だったのかと思うと同時に、フランス料理を日本に根付かせたいと強く思いました。

 そんな折、PAUL BOCUSEの総料理長ポールの師匠にあたる、フェルナンポワールという人物の「若者よ、故郷に帰れ」という言葉にひどく感銘を受けました。「その町の市場に行き、その町の人のために料理を作りなさい」。このすばらしい料理を故郷に広めてこそ、真のフランス料理家である。その通りだと思い、日本に帰国後、1982年ひらまつ亭をオープンしました。 ひらまつ亭は開業当時から順調な業績で、オープン初日の昼こそ2人だけだったものの、ディナーは満員でした。その中で料理を作り、皿も洗い、他の従業員を帰した後にモップかけ掃除をしました。自宅に帰ると帳簿をつけ、全て終わったのが朝の5時ごろでした。そして6時半には再び会社へ行きました。



2度の経営危機

 業績は順調だったといえども、やはり経営的危機はありました。一つ目は上場すると決めたときです。なぜ上場を目指したかというと、料理人の社会的地位の向上を図るためです。社会人、企業の一員という自覚を作ることで、料理人の地位向上に繋がると思いました。ただ、上場をするためには従業員のベクトルを合わせることが不可欠です。そこで私は200人近くいた従業員を合宿のような形で10人ずつ河口湖へ連れて行きました。人とは何か、どう生きるべきかから始まり、私のやりたいこと、目指すところを話して、その上で一緒にやりたい人を募ったのです。10人単位で連れて行ったため約5ヵ月間かかりました。長い時間をかけても、日本で最初のことだからこそ面と向かってやらなければならない。まず我々が理解しないと世界は理解してくれないと思いました。

 二つ目はまさに今です。08年に起こったリーマン・ショックによるものです。いざなぎ景気を超える好景気が続いていて、それがグローバルで起こっていました。私は1991年頃のバブル崩壊の痛さを覚えているので、このままの状態が続くはずはないと考え、景気のいいうちに100億円の売り上げを出せるような体力のある会社を作ろうと、07年から08年に一気に11店舗を作りました。今の不況には何とか間に合いましたが、それでも以前よりは厳しい状況です。しかし私は、経営者の仕事に良い時はないと思います。悪い時にどのぐらい会社を救えるかが大事です。経営者は会社を守る最後の砦なのです。私の座右の銘は「千照一隅(千里を照らして一隅を守る)」です。私は、経営者として会社を守る存在であるために、世界の経済事情には常に目を通すようにしています。小さな会社でも世界向けないと、いずれは潰れてしまいます。

  株式上場に際して、社員・顧客・株主の皆様にある約束をしました。それは「安心と安全」です。従業員にはこの不安定な世界の中、我が社で働くことでの安心と安全を、お客様には絶対最高のものを提供することを、株主様には投資してくださったお金に見合うだけの株主優待を充実させました。現在、我が社には約7800人の株主様がいらっしゃいますが、私は皆様が我々のファン、応援団だと思っています。後を押してくれる力・勇気をくれる原点です。



迷った時は下駄の向きで決める

 今後のビジョンとして、私の道はもう出来ています。その道をごく自然に歩むだけです。節目にどっちへ行くか迷った時は下駄を投げて決める、それくらい気楽に構えたいです。社員は経営者を見ています。社員は経営者の辛い顔や苦しい顔を見たくはありません。この人の下で働いていたら大丈夫だと社員が思えるように、経営者だからこそ、そういう意味でゆとりを持ち、気持ちを軽くしていきたいと思っています。今後5年間の筋書きは大方出来ていますが、10年後はわかりません。むしろ10年後が見えてしまうような、つまらない、夢のない会社は嫌です。私はまだまだ成長していきたいと思っております。しかしフランス料理のシェフで、フランス料理の経営者という軸は決してぶれることはありません。

 将来一人500円で美味しいフランス料理を食べられる、ファーストフードに変わるものが出てくるかもしれません。フランス料理、日本の料理文化の新たな展開にわくわくしています。

ひらまつ 平松博利の必勝の法則

1、従業員ときちんと向き合う 
2、世界経済を把握する 
3、気負いしすぎず気楽に構える



プロフィール

平松博利(ひらまつ・ひろとし)
1952年、神奈川県横浜市生まれ。画廊を営む兄と西洋画家の兄と二人の影響を受け、フランス文化に興味を持つ。高校を卒業後、ホテルオークラのフレンチレストランで働くかたわら、経営学を勉強。その後フランスに渡り、パリのレストランで修行。1982年帰国し、東京・西麻布にレストラン『ひらまつ亭』を開店。さらに1993年にカフェ、96年にはインターネットカフェを開店するなど、カフェ文化の草分け的存在。またフランス・パリにオープンした店舗は、開店4カ月でミシュランの星を日本人オーナーシェフとして始めて獲得。2003年にジャスダック、翌年には東証二部に上場を果たす。


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