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トピックス -企業家倶楽部

2016年10月06日

囲碁と経営は相通じるものがある

企業家倶楽部2016年10月号 視点論点


 筆者がある日、某社長の所に遊びに行ったところ、ちょうどプロと2人で囲碁をされていた。某社長はアマチュア八段と強く、その時は黒を持って対で打っておられた。

 筆者も小学6年生の時に、次兄からルールを教わり、その後、時々打っていたので、2人の碁を見ていた。2人の碁が終わり、某社長が「あなたも(プロに)打ってもらったら」と言った。私は恐れ多いので辞退したのだが、そのプロは気さくに「やりましょう」と言ってくれた。9目置いて打ったのだが、2、3手打ったら身動き出来なくなり、「参りました」と白旗を上げた。俗にヘビににらまれたカエル状態になったようなものだ。

 某社長が亡くなったので、筆者が引き継ぎ、月に2回、指南してもらっている。プロの先生に囲碁を習っていると、尽々、経営は囲碁に似ているな、と思う。どこが似ているかというと、まず、戦略性に富んでいることだ。

 経営者はまず、経営計画を立てる。どの分野を攻めるか。どうやって攻略するかを考える。囲碁も同じである。どうやって自分の領域を広げる(布石)かを考える。

 この場合、大局観が大事だ。よく碁では「着眼大局、着手小局」というが、プロは東を攻める場合、まず、西に石を打つ。アマチュアはすぐ東を攻めるのだが、プロは用意周到だ。

 碁では「大場より急場」という言葉がある。普段はまず、大場に布石を打つのだが、石が競っていくと(急場)、そうも言っておられない。急場をしのいでこそ、勝負が出来る。経営もそうだ。いくら経営の王道を行っていても、会社がつぶれては元も子もない。急場しのぎもある。

 バトル(戦闘)で負けてもウォー(戦争)で勝てばいいのだ。つまり大局観だ。ここが将棋と囲碁の違うところで、将棋は一度敗勢に向かうと、立て直すことが難しい。しかし、囲碁はある場所で負けても、ある場所で勝てば、逆転可能なのだ。将棋が直線的で碁は曲線的といわれるのはそのためだ。

 囲碁には「捨て石作戦」というものがある。全体のウォーに勝つため、バトルでわざと(あるいは仕方なく)負ける場合がある。一種の人質作戦だ。捨て石を使い、より多くの陣地をとるのだ。プロと戦った場合、石は多く取ったけれど、最終的には負けていた、ということがよくある。プロは捨て石作戦がうまいのだ。

 囲碁は「最後に地の多い方が勝ち」というゲームだ。途中、いくら勝っても、いくら地を囲っても、勝ちではない。プロの先生は「地を囲うような人は必ず負ける」とまで断言する。最後に半目でも勝てばいいのだ。

 企業経営で「勝つ」というのはどういうことだろうか。売り上げを伸ばすことだろうか。利益をあげることだろうか。それとも社員が嬉々として働くことだろうか。社員の給料をあげることだろうか。客が喜ぶ商品を供給することだろうか。

 ドラッカーは「会社の目的はゴーイングコンサーン(永続)」と言う。短期的にどんなに栄えても、長期的に栄えなければ、意味がない。われわれは一時的に隆盛だった企業を見てきた。

 孫正義社長は「三百年続く会社を」と言うが、三百年とは言わない。せめて百年続く会社をめざして欲しいものだ。2008年に企業家大賞を受賞したアリババのジャック・マー社長は「百一年続く会社にしたい」と語った。

「琴棋書画」という言葉がある。中国の大人は音楽をたしなみ、囲碁(あるいは将棋)を打ち、本を読み、絵画を見たそうだ。それが大人のたしなみだったという。

 マイクロソフトのビル・ゲイツも囲碁をやるそうだ。ルールが少し難しいが、これほど面白いゲームはない。あまり面白すぎて経営がおろそかになるのは考え物だが、賢明な皆さんはそういうバカなことはしないだろう。なぜなら経営こそが一番面白いゲームなのだから。(T)



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