• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2016年10月13日

ネット社会の生き証人/ボヤージュグループ宇佐美進典社長×ブロードバンドタワー藤原 洋 会長  キャスター: 宮舘聖子

企業家倶楽部2016年10月号 WBC 熱血企業家!


肩書き、プロフィール、会社概要等は掲載当時のものです。

Profile


宇佐美進典(うさみ・しんすけ)

1972年愛知県生まれ。96年早稲田大学商学部卒業後、トーマツコンサルティング入社。99年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)を創業、2002年代表取締役CEO に就任。05年サイボウズとの合併でcybozu.net を設立、代表取締役CEO に就任。2012年 MBOによりサイバーエージェントから独立。14年7月東証マザーズ上場。15年9月東証一部上場。

藤原 洋(ふじわら・ひろし)

1954 年福岡県生まれ。77 年京都大学理学部(宇宙物理学専攻)卒業。東京大学電子情報工学博士号取得。日本IBM などを経て、85年にアスキー入社。96 年にインターネット総合研究所を設立。96年4月~99年3月慶應義塾大学理工学部客員教授。2000年 ブロードバンドタワーの前身を設立。第2 回企業家賞を受賞。2010年4月よりSDM 研究科特別研究教授。



テクノロジーの進化を裏で支える

宇佐美 ブロードバンドタワーの事業内容を教えていただけますか。

藤原 1996年、インターネット総合研究所というインターネットのインフラの基本設計をする会社を創業しました。2000年2月にアメリカのアジアグローバルクロッシング社との合弁会社として当社の前身であるグローバルセンタージャパン社を設立。2002年に社名を変更し、純粋な日本資本の会社として生まれ変わったのがブロードバンドタワーです。

 最初に行ったのはデータセンター事業。当時最大のお客様はYahoo!であり、同社はテレビで言うところのNHKのようなインフラとなる存在でした。しかし、今では考えられませんが、サーバーが6時間くらい止まることもあったのです。このままではいけないと思い、Yahoo!のサーバーを365日24時間落とさないためのインターネットデータセンターを作ろうと設立しました。

宇佐美 その後、新たな試みとしてアンカーパーソン・TVをスタートされましたが、これはどういうものでしょうか。

藤原 アンカーパーソン・TVは、各ジャンルで影響力を持っている方に知見に基づいた事柄を語ってもらう番組です。動画配信はインターネットが当たり前という時代になるであろうところに着目しました。インターネットはテレビと違ってチャンネルを無限に広げられますので、アンカーパーソン1人に対して1チャンネルを割り当てるというコンセプトの動画です。

宇佐美 今はどんな方がアンカーパーソン・TVのチャンネルをお持ちなのですか。

藤原 学生に向けてコンテンツを募集すると、各大学からミス・キャンパスを出演させてほしいとの依頼が来ました。例えば、慶應義塾大学のミス・キャンパスコンテストのファイナリスト6名が様々なジャンルの情報を発信して激しい競争をするのです。



学者は面白い 企業家はもっと面白い

宇佐美 藤原会長は学者というイメージが強いですが、企業家としても著名ですね。事業を展開する上で大切にしていることは何ですか。

藤原 「自立」を大切にしたいです。研究者時代は国の予算が出ないと研究が進まなかった。でも企業家は、目的があって成し遂げようとする実行力さえあれば、すぐ始められます。誰かに許可を取る必要は無い。予算は自分たちで立てればいいのです。小さくてもいいから自分で決めて自分で動き出せることが、企業経営の一番の根本だと考えます。

宇佐美 社内で自立する人を増やすために、特別に意識して行っている施策はありますか。

藤原 力を入れているのは、トップダウンだけでなく現場から出たアイデアを事業に反映させることです。それがネット時代の企業経営の在り方です。

宇佐美 御社の中核事業で社内から上がってきた取り組みにはどういったものがあるのでしょうか。

藤原 アメリカのスキャリティ社という会社と組んで大量のデータを保管できるサービスを提供したいとの意見が現場から出てきて、それを元に新しいサービスを始めました。現場のエネルギーを経営に生かせる会社の仕組みにしようとしています。

宇佐美 藤原会長としては企業家の自分、学者の自分、どちらが自分らしいと思いますか。

藤原 自分が会社を興すしか無いと決断したのが42歳の時。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツは20歳前後で起業しているので私は結構奥手です。私の経験からすると、学者は面白いですが、企業家はもっと面白い。企業家は実社会と深く関わるため、社会に対する影響力を持てます。そこが企業家の面白さです。



ゲイツとジョブズ

宇佐美 ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズはどんな方でしたか。

藤原 ゲイツとジョブズに会ったのは20代の時で、この2人は私が知る中でも突出して優れた企業家でしたが、全く違うキャラクターでした。ゲイツはもともと数学を勉強するためにハーバード大学に進学したのですが、コンピュータビジネスに興味を持ったのです。それに対し、ジョブズは「自分自身が最大のコンシューマーだ、俺が欲しいものを作る」という性格でした。今は無いものでも本当に欲しい作品を自分が世に出して見せるといった、企業経営よりもアーティストに近い考えを持っていました。

宇佐美 経営にはアートとビジネスという2つの要素があると思いますが、藤原会長はどちらに重点を置いていますか。

藤原 両方です。どこかアーティスティックでないと、あまりやる意味が無い。美意識が重要になります。そうすると顧客満足度が高く、価格競争に陥らない、安くしろと言われても、「これは美しいサービスだから、これ以上下がりません」と言えるのです。価格競争に陥らないのがアートですね。



インターネットの旋風の中で

宇佐美 私の高校時代は、nifty というパソコン通信サービスがありましたが、今のインターネットの10万分の1のデータ量しか保持出来ませんでした。藤原会長はインターネットテクノロジーの先駆けで、黎明期の頃から活躍されていますが、当時のネットに対する期待と創業の経緯についてお聞かせください。

藤原 インターネットは基本的に性善説でできている、セキュリティに甘いネットワークです。当時を思い返すと、世界中のコンピュータが繋がれば大変便利だと感じ、今までのネットワークとは違う世界が開けるだろうと期待をもって接していました。そこで、インターネット総合研究所を立ち上げて、インターネットを快適に運用するシステム作りを手伝う仕事をしたのです。宇佐美社長もインターネットサービスの草分けですが、渋谷にIT企業が集結してきた当時はインターネットの可能性をどのように考えていたのですか。

宇佐美 99年は20 代の若手企業家がどんどん新しい産業を作っていくのを目の当たりにし、すごい波が来たと感じました。確かに、インターネットを駆使してビジネスが実際にできるのか、全く分からないタイミングでした。ただ、限りない可能性が広がっていることは本能的に感じていました。藤原会長は、大学を出たばかりの若者がインターネットの魅力に取り込まれている様子を見て、どう思いましたか。

藤原 インターネット総合研究所が上場したのが99年です。その時にインターネットをどう作ろうかという次のフェーズに移り、宇佐美社長のような若い経営者がどんどん出てきて産業を作っていきました。これはある種の第三次産業革命だと思いました。



谷は深いほど価値がある

宇佐美 これまでの中でいろいろな経験をされてきたと思いますが、どんな困難がありましたか。

藤原 IXIという会社の買収をある証券会社から提案されました。これはインターネット総研本体よりも売上げが多く、もしIXIを買収できれば事業規模が3倍になるということで、この会社を買収しました。しかし、調べてみると10年前から粉飾決算を行っていて、売上げの95%は嘘だったことがわかりました。このことでIXIの上場は廃止になり、連鎖的にインターネット総研も上場廃止に。一番つらい時期でした。

宇佐美 その時の社内はどのような雰囲気でしたか。

藤原 どうなってしまうのだろうと不安でいっぱいでした。私自身は即座にこの状況を打破しようとしました。上場廃止になったので、どこかの企業に買収してもらおうとしました。そんな時、買収に好条件で乗ってくれたのがオリックスです。

宇佐美 大変な経験を通じて藤原会長は何を学びましたか。

藤原 M&Aに関して、良い話には気を付けることです。飛んできたボールは、原則見送るべし。自分からコントロールできる方策を取ることが重要です。人生は山あり谷ありで、谷は深いほど価値があります。そこから這い上がれば更なる可能性が広がるでしょう。

宇佐美 谷の底から乗り越えるべき壁を見た時は気持ちも沈むのではないかと思いますが、よく打ち勝ちましたね。

藤原 谷に落ちても自分で這い上がれる力を持っていないとダメだと思います。日本を代表する企業家のソフトバンクグループ孫正義社長はどん底に落ちてもすぐ這い上がりそうですしね。



IoT、AI事業にも進出

宇佐美 ブロードバンドタワーとしてすでにIoT、AI(人工知能)事業にも進出されてますが、今後どのように展開していくのでしょうか。

藤原 IoTはモノのインターネットですから、例えばセンサーから上がってくる膨大な情報をAIに掛け合わせると、これまで不可能だったことが可能になります。今まで実現できなかった付加価値を社会で作っていきたいと思っています。

宇佐美 応用範囲が広すぎてIoTやAIをどう事業に繋げたら良いか見えにくいと思います。サービスとしてどのように展開すればIoT、AIが伸びていくと考えますか。

藤原 面白い、ためになる、感動する。このうちどれかを満たした事業が伸びるのです。自分が欲しいものを作る、ジョブズ的な考えの人が成功します。企業家がIoT・AIの世界で活躍できる社会インフラを作ることが課題です。

宇佐美 インターネット業界のイノベーターとして藤原会長の今後の夢をお聞かせください。

藤原 私は20年後に日本のGDPが2倍になると考えています。その要因はインターネットテクノロジーの進化であり、インターネットサービスの躍進だと思っています。今まで隠されていた潜在能力がビッグバンのように破裂するのではないでしょうか。だから宇佐美社長のような若い企業家にもっと頑張ってほしいし、私も命が続く限り全力を尽くします。



  • DEGITAL DATA SOLUTION
コメントをシェア

2017年度 第19回企業家賞
骨太対談
DEGITAL DATA SOLUTION
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top