• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2016年10月27日

新連載 描くことは不思議な世界へと繋がる道/現代アーティスト 小松美羽 (こまつ・みわ)

企業家倶楽部2016年12月号 アートは言葉である vol.1





 「企業家に最も必要なのは現代アートだ!」と私のプロデューサーが常々言う・・・。

 だからアートを志している訳ではない。でも最近はその意味がなんとなく分かるようになってきた。この度、企業家倶楽部で連載の話を頂いた時、正直戸惑いました。私で何が書けるのか?みなさんの為になれるのか?

 アーティストという生き物が何を考え、何を感じ、どうしてそこに拘るのか?そして私にとっても永遠のテーマである「美術とは?芸術とは?アートとは?絵師か画家かアーティストか?」そんなことを私の少ない経験の中から感じたことを綴ることで少しでもみなさんに何かを感じて頂けたら幸いです。

 まずは私の不思議な体験が今のアートに繋がっていることから話したいと思います。

 私には友達と遊ぶ事よりも山へ冒険の旅に出る事よりも何よりも大切だった事がある。

 それは母が用意してくれた広告紙に絵を描く事だった。私にとって描く事は不思議な世界へと繋がる道で、そこには私が憧れる神獣や狛犬達が息をひそめていた。

 ふとここで思い出す。私はなぜ人ではなく神獣を描くのか。それは幼少の頃の体験が大きい。あれはいつだったか正確な歳や月が思い出せない程昔、それは突然だった。田んぼ道でぶらぶらする私の視界の先にふさふさで尻尾を揺らす茶褐色の山犬が現れた事がきっかけだった。それからというもの時々、私が道に迷うと山犬が数メートル先に現れ何度も後ろを振り返りながら私を目的の場所へと導いてくれる経験をした。

 その不思議な体験は中学校三年まで続いた。最後に見たのは冬。この記憶は今でも鮮明だ。ある吹雪の日、図書館に向かい橋を渡る。私は足をとられながら凍てつく世界で今この時間に私だけしか存在していないような感覚に急に襲われ足を止めた。それでも先に進まなくてはと先に目を凝らすと懐かしいあの子がいた。吹雪の中なぜか今度は真っ黒な毛でじっと佇み私を見つめていた。

「あっ。」私が声を出すと同時にあの子は幼少の頃と同じように振り返りながら私の先を歩き始めた。それからふと視界を外した時だった、雪に肉球の跡が無い事に気がつく。そして、はっとして顔を上げるとあの子はぐるぐると円を描いて消えてしまい吹雪は止んだ。

 そんな体験があったから私は神社にいる狛犬に注目する事が多くなった。まるであの子と出会えたような感覚があったからだ。神社にいくと人ならざる者たちの息吹で溢れていて、ああ人間の世界がすべてではないと言う確かな感覚があり、それは救いだった。一般的には見えない世界がある事の確信が私が子どもながらに求めていた平等そのものだった。大人になった今なら人とのご縁や他者との世界があるからこそ絵を描いて生かされていることがわかる。

 今だからこそ感じる事、それは私が幼少の頃に描いていた絵は私だけの世界に閉じこもるツールではなかったということ。幼いなりに魂を震わせていた事実を私は大人になった今だからこそ立ち返り、その環境をつくってくれた親に感謝の気持ちを述べたい。ありがとう。

 絵の始まりは神事に通じるのだけれど、その原点に立ち返るには今のアートは随分エゴイスティックな歴史を踏んでしまったように感じる。もともと神や見えない世界を伝えるためのツールでありそこに人々の魂の救いがあるように思う。だからこそ描ける私は、あの子が見え使命のように狛犬を描くのだろう。ただこれだけは言えます、魂が叫んでいる、この子達を描けと!そして魂に純粋な画家であれと!



  • DEGITAL DATA SOLUTION
コメントをシェア

2017年度 第19回企業家賞
骨太対談
DEGITAL DATA SOLUTION
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top