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トピックス -企業家倶楽部

2016年11月04日

女性が活躍する会社を作る/ランクアップ代表岩崎裕美子

企業家倶楽部2016年12月号 企業家大学講演録 1


企業家ネットワークが運営する経営セミナー「企業家大学」。2016年度・第39期の第3講座では、マナラ化粧品で飛躍を続けるランクアップの岩崎裕美子代表を講師にお招きした。同社は社員45 名のうち大半を女性が占め、その半数が子どもを持つお母さんである。育児と両立している社員も多く、ほぼ全員が17 時に帰る残業ゼロの会社ながら、一人当たりの売上げは2億円。そして今なお増収増益を続けている。同社の成長の秘訣とは何か。今をときめく女性企業家に語っていただいた。



ブラック取締役からホワイト社長へ

 弊社は創業から11年連続で売上高は右肩上がり。2016年9月期決算で売上げが90億円を突破しました。社員は45名ですので一人あたりの売上げは2億円と、生産性の高さで注目していただいています。しかし、弊社には生産性以上に注目されていることがあります。それは、(1)残業ゼロで売上げを伸ばし続けている、(2)女性を活用している、という二点です。

 私が残業ゼロや女性活躍にこだわるのには理由があります。以前私は、3年経過した時点での離職率がほぼ100%というブラック企業の営業部長でした。女性ばかりの小さな広告代理店。社員全員が毎日終電まで仕事をして、さらに土日出勤も課されるような、ワークライフバランスという言葉とは無縁の職場でした。

 そのため、「キャリアを積み上げても希望が見出せない」と言って、辞めていく社員が相次ぎました。優秀な社員を失いたくない。でも、子どもを抱えて働けるような仕事環境とは到底言えませんから、引き止めることはできない。苦しかったですね。遂には管理職からも辞めていく人が現れ、人材育成もままならなくなりました。

 その頃、私自身も35歳を迎えており、結婚や出産を真剣に考えていました。このままでは社員は定着せず、会社の成長は無い。私自身の将来もありません。そんな危機感から「残業を止めましょう」と社長に直訴。しかし「残業を止めて売上げが落ちたらどうする?」と反論する社長を説得できませんでした。

 そこで、残業が無く、結婚や出産を諦める必要もない、女性が一生活躍できる会社を作りたいと思い、独立を決意しました。



残業ゼロでも増収可能な三つの秘訣

 残業ゼロでも売上げが右肩上がりの秘密は、(1)差別化した商品作り、(2)広告力、(3)丁寧なサービスの三つです。

 弊社の商品作りのポイントは、自分が欲しいものを作ること。自分が本気で欲しいモノを作るのですから、妥協はしません。その結果、他社とは一線を画した商品が生まれるのです。こだわりの詰まった商品が、大勢の利用者の共感を得てヒット商品となっています。

 その最たる例は弊社最初の商品、「ホットクレンジングゲル」。今や累計販売本数650万本を突破した大ヒット商品で、会社を支える存在となっています。これは「自らの手で自分が綺麗になれる化粧品を作ろう!」と奮起してランクアップを立ち上げ、納得するまでこだわり抜いて作った商品です。

 次に、広告作りのポイントは「こんな商品が欲しいと思っていた!」と相手に共感してもらえること。広告力の重要性に気が付いたのは広告代理店で働いていた時です。商品の良さが伝わらない広告は、いくら打っても購入には結びつかないことを実感しました。だからこそ、分かりやすいキャッチコピーを作るため、社員を研修や文章力アップセミナーなどに参加させています。1年間も同じ広告だと飽きられてしまうため、常に新しい広告を考案するなど、より良い広告作りのために様々な試みが欠かせません

 秘密の三つ目は丁寧なサービス。その向上に役立っているのは「社長室はがき」です。利用者が商品やオペレーターなど、様々なことに関して社長に直接意見を伝えるための仕組みとなっています。はがきを通して届くお客様の声は、商品の改善に役立つ宝箱です。

 例えば、ホットクレンジングゲルに対して「最後までクリームを使えない」というご指摘が多くありました。そこで、容器の口を指が入る大きさに広げ、指でクリームをすくい取って最後まで残さず使えるように改善しました。今ではお客様のご指摘には速やかに対応する姿勢を社員全員が身に付けています。その上、私たちは小さな会社なので改善スピードが早い。それが弊社の自慢です。

 商品力、広告力、サービス力。どれかに秀でた会社は数多くあると思いますが、弊社はこの三つ全てで手を抜いていないため、「残業ゼロでも売上げ増」に繋がっているのだと思います。


残業ゼロでも増収可能な三つの秘訣

17時で帰っていいよ制度

 ある時、通販会社にもかかわらず流通システムのトラブルで商品が配送できないという事態が発生しました。会社設立当初から残業ゼロを掲げていましたが、この時ばかりは顧客対応やシステム整備にわれ、残業を余儀無くされる社員たち。しかし、社長の私はちょうど産休で復帰したばかりでした。会社の危機を前にして、思うように仕事も育児もできません。心身ともに限界を迎え、「残業を止めよう」と本気で決意しました。

 さて、残業禁止を命じたものの、社員は猛反発。前職での苦い経験がある私は、「ブラック企業になってもいいの?」と必死で説得しました。それでも反対する社員には、残業を強いている仕事とは何なのか聞き、業務の棚卸を行ったのです。すると、仕事の無駄が多いことが判明しました。

 そこで私が残業をしないための仕組みとして行ったことは、(1)全社員に定時退社を徹底する、(2)業務の棚卸と選別、(3)業務のシステム化、(4)アウトソーシング活用の四つです。

 また、残業しないための小さな社内ルールも作りました。例えば、「社内資料は作り込まない」、「会議はダラダラせず30分で止める」といったものです。そして最終兵器が「17時で帰っていいよ制度」。本来の就業時間は8時半から17時半なのですが、17時で帰っても残り30分間の給料を出すという制度です。これを設けてから、社員のほとんどが残業せず17時で帰るようになりました。近視眼的に見れば、会社財務としてはマイナスですから、最初はこの制度を続けることを躊躇しました。しかし、「業績が悪くなったら廃止する」と決めたことで思い切ることができました。

 アフター5というリフレッシュできる時間を確保し、新しいアイデアを生み出せる状況を常に設けておくことは、新商品を生み出す企画力を向上させ、残業しなくても売上げを伸ばせる事実に繋がっています。



お通夜のような朝礼から一転

商品に対するお客様からの信頼や社員の頑張りもあって、これまで売上げに苦労することは一度もありませんでした。しかし実は、少し前まで、今からは考えられないほど社内が暗かったのです。朝礼など、まるでお通夜のようでした。

 その理由が判明したのは、社員の価値観を統一するために行った2泊3日にわたる研修の時。その最終日、突然講師の方から電話があり、「岩崎さん大変です。社員に謝ってください」と言われました。聞けば、「私たちは会社に認められていない。そんな私たちが会社にどう貢献できるのか分からない」と社員たちが泣き出したというのです。私はタクシーで駆けつけて、皆に謝罪しました。

 この時、最高の福利厚生を整えられていても、社員の承認欲求は満たせていなかったことにようやく気が付いたのです。ランクアップは私と日髙(取締役)の2人で設立し、必死で大きくしてきた会社。でも、ワンマン経営をしていた自覚は全くありませんでした。

 それからというもの、暗い会社から脱却したくて様々なコンサルティング会社に相談しました。その中の一社に「人事評価制度をつくる前に、経営側の価値観を擦り合わせて社員に発表しなさい」と言われたのです。

 そこで決めた価値観が「挑戦」。突然の宣言に、社員は呆れかえっていました。しかし、理念浸透研修を実施したり、社員の提案に口を出すことを止めたりと、改善する努力を続けました。その甲斐あって、社内は明るくなり、少しずつ「挑戦」する社員も現れたのです。商品のリニューアルや新サービス・新商品の開発が数多く行われるようになり、海外展開や店舗販売のような新事業に、果敢に挑戦する社員が増えてきました。そのおかげで売上げは対前年125%くらいで伸びています。

 また、新卒採用も会社の活性化を後押ししました。初めて新卒社員が仲間に加わったのは2014年。育て甲斐のある後輩が入ったことで、社員の指導者としてのスキルが上がる。素直でかわいい新卒によって社内士気も高まる。新卒社員は入社時から新規事業立ち上げという使命を与えているのでポテンシャルを生かせる。このように、新卒採用は会社に対して様々なプラスの効果をもたらしたのです。

 まずはやりがい、それから生産性を上げるための仕事環境を追求する。この順番が大切ですね。


お通夜のような朝礼から一転

子育てと仕事を両立できる会社であり続ける

 仕事環境を整えるため、弊社では改善提案制度を導入しています。ホームページ改善、書籍代負担など、改善提案をした社員には1件につき500円を支給する制度です。昨年は600件寄せられました。もちろん、何でも採用するわけではありません。少しでも迷いが生じる提案には期間を設けて試験的に実施していますし、反響がない制度は随時廃止しています。

 また、弊社は社員の半数がママで、未就学児のママも多いのが特徴です。そのため、出産しても働きやすい制度整備を行っています。例えば、病児ベビーシッター代補助制度。子どもは突発的な病気になりやすいため、2週間連続で休まざるを得ない事態も発生します。そこで、病児ベビーシッターを頼んで、ママが仕事を少しでも休まなくて済むような環境を作る必要があると考えたのです。先月、この制度を利用した社員は9人。総額56 万円を負担しました。ここまでするのは、女性社員に会社を辞めて欲しくないと本気で思っているからです。実際、弊社では「子育てと仕事を両立できない」という理由で辞めた人は一人もいません。今後も女性が活躍して、売上げを伸ばし続ける会社でありたいと思っています。 



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