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トピックス -企業家倶楽部

2016年11月28日

電力網が世界を繋ぐ/自然エネルギー財団創設者・会長 孫正義 

企業家倶楽部2016年12月号 緊急レポート


自然エネルギー財団は9月9日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで設立5周年記念シンポジウムを開催した。当日は世界中から有識者が集まり、自然エネルギーを取り巻く現状と、本格的な自然エネルギーの拡大が始まったアジアに焦点をあて、今後の展望を語った。(文中敬称略)



孫 正義 自然エネルギーに着目

「50年後、自然エネルギーによって全ての電力がまかなえると信じています」

 ソフトバンクグループ社長の孫正義は、自然エネルギー財団設立5周年記念シンポジウムの開会に際し、こう挨拶した。2011年、孫はエイモリー・B・ロビンスと共に自然エネルギー財団を設立。ロビンスは米国エネルギー省をはじめ、世界65カ国以上の政府機関や大手企業のアドバイザーを、40年以上に渡り務めてきた業界の第一人者だ。一方、孫はIT業界の先駆者ではあるものの、自然エネルギーに関しては門外漢である。だが、ソフトバンクグループ社長の座を一時的に降りてまで、自然エネルギーの推進に専念しようとした熱意は本物だ。それほどまでに孫を掻き立てたものは、東日本大震災だった。

「もし我々の携帯電話が障害を起こさずにちゃんと繋がっていたら、もし通信網が山奥や海辺の隅々まで網羅していたら、亡くなった人はもっと少なかったのではないか」

 そう考えると、自身の責任の重さに涙と震えが止まらなかったと孫は当時の心境を振り返る。そして、後日公表された原発事故を受け、「二度とこのような事故があってはならない」と痛感した。安全なエネルギーを探し、目を付けたのが自然エネルギーだったというわけだ。



自然エネルギーが主流となる

 地下資源の枯渇、原発の危険性、大気汚染……。現状のエネルギーには多くの問題が残っている。この解決策として講じられる自然エネルギーは環境に優しいが、割高で安定した発電ができないため、実用化には時間がかかると考えられてきた。

 しかし、技術の向上によって、これらの不安は払拭されつつある。今や、大規模な発電所を建設する費用で、ソーラーパネルを生産できる。チリでは、1キロワットあたり2.9セントで発電することが可能。原子力発電が1キロワットあたり14セントかかると言われている中、低コストと言えるだろう。風力発電に関しても、石炭やガスよりも割安にできる。

 技術の向上に伴い、発電量に対して自然エネルギーの占める比率は着実に増えている。日本では、2010年は10%だった割合が、2015年には15%に上昇。世界に目を向けると、アメリカは9%から14%、イギリスは5%から26%、ドイツは12%から36%と大きな伸びを見せる。デンマークやカナダでは、70%に迫る勢いだ。経済・金融情報を発信する米ブルームバーグは、2040年のヨーロッパにおいて、自然エネルギーが総発電量の53%を占めると予測している。

 一方、化石燃料由来の炭素排出量はここ数年間は横ばい。世界的な景気後退もなく、原油価格の低下などの後押しにも関わらず、この調査結果である。それに対し、自然エネルギーに対する投資は増加の一途を辿り、2015年には1兆3290億ドルにのぼった。

 自然エネルギーは、もはや「代替エネルギー」ではなくなりつつある。低コストで安定した供給が可能となることで、将来的には主要な発電手段に位置付けられることだろう。


 自然エネルギーが主流となる

アジアゴールデンリング構想

 日本は国土が狭く、急な斜面を持つ山も多いため、自然エネルギーの発電には向いていないと考えられてきた。しかし、孫の発想は日本国内に収まるものではない。2011年9月に発表した「アジア・スーパー・グリッド」構想である。日本やモンゴル、インド、中国など東アジア諸国の電力網を海底ケーブルで繋ぐという、国境を越えた構想だ。

 自然の力を借りて発電する以上、発電量が変動することはやむを得ない。しかし、様々な方法を用いて各地で発電することで、自然エネルギーのデメリットを補うことができる。遠く離れた地で発電した電力をアジア各国で利用する算段だ。この構想を実現するために必要となる発電技術と送電技術について、孫はそれぞれ施策を打った。

 第一に、モンゴルに7ギガワット分の風力発電ができる土地の100年使用権を獲得。これは単純計算で福島第一原発の合計出力の約1.5倍にあたる。そして、実際に小さな風力発電の建設を始めた。さらに、太陽光発電が期待できるインドでは、350メガワット分のソーラーパネル設置を開始している。これは世界最大の太陽光発電プロジェクト。「ソフトバンクが20ギガワットを生み出す」と同社をあげて推進している。

 第二に、2016年3月には中国の国家電網公司、韓国電力公社、ロシア・グリッドといった各国の有力電力会社と計画の実現に向けて覚書を締結した。この4カ国を結ぶ国際送電連携を孫は「アジアゴールデンリング」と呼ぶ。

 世界人口の3分の2を抱えているとも言われるアジア。この域内において4カ国が占める電力需要は78%に及ぶ。世界の問題を解決する大きな一歩である。

「2020年には東京オリンピックが開催される。聖火が人々の手によって繋がれるように、電気も繋がって送られてくるといいですね」と孫は語った。この壮大な夢は実現なるか。IT業界に続き、自然エネルギー業界にも革新をもたらすことを期待したい。



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