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トピックス -企業家倶楽部

2016年12月19日

信頼と徹底の体操指導/幼児活動研究会の強さの秘密

企業家倶楽部2016年12月号 幼児活動研究会特集第2部


「出来ない子どもはいない。全ての子どもは素晴らしい可能性を持っている」。その証明を大きな目標に掲げる幼児活動。正課体育指導や課外体育指導を通して子どもたちの秘めたる可能性、人間性を伸ばす。そこには、妥協を許さない徹底した人間形成があった。体育指導を通して日本社会、そして世界に貢献せんとする幼児活動、その強さに迫る。(文中敬称略)



強さの秘密1

子どもの可能性を引き出す

 10段の跳び箱。その大きさを想像してほしい。その跳び箱に対峙する自分を思い浮かべてほしい。大人になった自分の背丈ではない。子ども、それも幼稚園児の背丈で10段の跳び箱と対峙するのだ。自分の身長より頭2つはあろう高い物を飛び越えるチャレンジ、大人でも足が竦む思いだろう。その困難に挑まんとする男の子がいた。舞台は体操の発表会。男の子はこの発表会を最後に親の転勤で長崎へ引っ越すことが決まっていた。

 友達とできる最後の発表会。その大役を任されていた。今まで練習で成功したことはない。緊張に顔が引きつる。心臓が早鐘のように鳴る。震える足で踏ん張りながらスタート位置につく。そして開始のホイッスル、男の子は走った、そして跳んだ。結果は失敗。悔しさから男の子の頬を一筋の涙が伝う。だが、涙が溢れるよりも早く動いた者たちがいる。友達だ。皆、男の子の元に向かい、肩を抱き「大丈夫、次はできる」と励ましの言葉をかける。しばらくして友達が席に戻るとその男の子の雰囲気は一変した。「やります!」と力強い一声が会場に響き渡る。その顔は先程までの緊張に怯えていた顔ではない。覚悟を決めた「漢」の顔だ。跳べても跳べなくともこれが最後。男の子は再びスタート位置につく。鳴るホイッスル。走り出す男の子。見守る観客と、先生、声援を送る友人。そして跳んだ。力強く踏み台から宙に飛び出した男の子の体は10段の高さの更に上をゆく、そして反対側のマットに着地。大成功だ。今確かに男の子は自分の前に立ちふさがる困難に打ち勝った。湧く観客、涙する先生、大勢の友達に囲まれながら男の子の笑顔で会は幕を閉じた。

 誰も4~6歳の園児が10段もの高さの跳び箱を飛ぶとは考えない。「どうせ無理だ」「できるわけがない」と本人の気持ちを他所に怪我などのリスクを恐れて挑戦させてくれないだろう。しかし、子どもたちが生まれ持っている「可能性」を最大限に引き出すべくその山に挑ませてくれるのが幼児活動である。「できない子はいない」「全員できるようにしてみせる」。山下や指導員が口癖のように話すその言葉に嘘はない。

「幼児教育」と聞くとまず何を思い浮かべるだろうか。目を閉じて自分の幼少期の記憶を思い出し立ち返ってほしい。思い浮かべる情景は幼稚園か、はたまた保育所だろうか。正直「何をやったか」「遊んだか」は思い出せても「何を学んだか」となると思い出せない人が殆どだろう。しかし人間形成においてもっとも大切な時期がこの幼少期であると言われている。知らず知らずのうちに人生において大切なことをたくさん学び、自らの糧としているのだ。その絶好の時期に学びを制限してしまうのはもったいない。幼児活動では幼少期の頃から人間形成に大切な「心の力」「学ぶ力」「体の力」を育て、生まれもっている可能性を最大限に引き出す教育を実践している。


強さの秘密1


本質を教える

 同社の体操教育を塾形式に取り込んだ「YY塾」。そこでは、子どもたちに一人一冊ずつ「山下教育学山下修身メッセージ~学童教本~」と書いている冊子が手渡される。113ページにも及ぶ厚い冊子の中身には山下から子どもたちに伝える人生の指針が濃縮されている。開いた一ページ目には「一、成功の法則」と書かれてある。それに続いて「決意」「実行」「継続」「諦めない」と成功において大切な言葉が綴ってある。このページには下半分に努力からの成功を表したグラフが書かれており、諦めずに挑戦する大切さ、その先にある成功にたどり着くためのプロセスを説いている。子どもたちは、まずこの法則を言葉ではなく本質で感じ取り理解する。そして様々な困難に立ち向かい成功を掴み取る喜びを知るのだ。この冊子には他にもたくさんの偉人が残した言葉が山下独自のセレクトで詰め込まれている。その中にある一説を紹介しよう。

『ヒーロー(英雄)とはどんな障害にあっても努力を惜しまず耐え抜く強さを身に付けていったごく普通の人(クリストファー・リーブ映画俳優スーパーマン)

 みんなのお父さんお母さんのことです。先生のことです。ヒーローとは特別の人の事ではなく克己の人です。YY塾っ子はみんなのヒーローになれます。努力を惜しまず耐え抜く強さを身につけるヒーローになりなさい』

 クリストファー・リーブは1978年にアメリカ映画「スーパーマン」で主人公クラーク・ケントを演じたことで知られる俳優だが、1995年に落馬事故によって首から下が麻痺、2004年に52歳という短い生涯を終えた。そんな彼が生前残した言葉が塾の教育を通して子どもたちに伝えられている。

「ヒーローとは何か」「正義とは何か」。テレビに映るヒーローに憧れる子どもは多い。しかし同塾ではテレビのヒーローが教えてくれない正義の本質を子どもたちに伝承しているとも言える。冊子に書かれた漢字には一切ふりがながふられていない。読めない言葉、意味のわからない言葉は子どもたち自身が辞書を引き調べるのだ。数多くの言葉を索引してきた彼らの辞書にはまるで剣山のように無数の付箋が付けられ、大きく膨らんでいる。どうしてもわからない言葉があっても近くの大人に頼ることはない。子どもたち同士で教え合い、協力して困難を乗り越えるのだ。



強さの秘密2

人間力を学ぶ塾

 幼児活動は、YY塾を東京・五反田、神奈川・たまプラーザ、埼玉・三郷の三ヵ所で展開している。就学前の幼児2歳から5歳を対象とした幼稚舎コース、幼稚園児や保育園児、小学生2年生までを対象としたBコースがあり、長い子で5年間、塾に通う子もいる。

 幼児活動の本社から最も近い五反田校の様子を紹介しよう。JR五反田駅から徒歩3分、車通りの少ないビルの一角に五反田校はある。玄関に着く前の外観からも、子どもたちの溢れんばかりの元気な声が伝わってくる。玄関から入ると生徒の靴を入れる下駄箱が目に入るが、驚くことにその下駄箱に入っている靴は脱ぎ散らかした様子が一切ない。皆きれいにつま先を合わせピシッっと並べてあるではないか。奥に進むと縦に長い教室が目に飛び込んでくる。中心にホワイトボードを挟んで右に幼稚舎コースの園児、左にBコースの小学生が座学を行っている。小学生たちは自分の学校の授業を終えるとまっすぐにこの塾に向かう。16時から18時半までの2時間半、学校とはまた違う人間力を学ぶのだ。

 一般的に教育機関などで評価されるIQや学力、記憶力と呼ばれるもの、これらは「認知能力」として区分される。一方、YY塾五反田校では「自尊心」や「社交性」「勤勉性」「協調性」そして「利他の心」など一般的に人間力と呼ばれるものを「非認知能力」と区分し、これらの能力を伸ばす教育に注力している。一般の学問塾が「いい学校」に入ることを目指す教育なら、同塾での教育は社会貢献のできる立派な人間を育てることにある。

 授業が始まるとその日のリーダーの子が一人ひとり出席者の点呼をとる。名前を書いたカンペはない。呼ぶ子の目を見てはっきり名前で呼びかける。呼ばれた子は「はい!」と元気に答える。全員の点呼を終えると暗唱を始める子どもたち。しかし彼らが声高く読み上げるのは童話ではない。小学校の国語の授業でよく読まれる谷川俊太郎でもない。なんと二宮尊徳の「積小為大」である。この「積小為大」は子どもたちがBコースに入った際覚えるものだというが、先に入塾した子や上のクラスの子が暗唱しているのを見て覚えていくという。

 同塾の教育は、座学だけではない。子どものみなぎる元気を爆発させるその体操教育も大きな魅力の一つだ。「すべての子どもに可能性がある!」と豪語する彼らの体操指導は他とは一線を画す。地下にある体操場に集った子どもたち、指導員から「今日は君がリーダーね」と言われた子が一言「集合!」と声をかけると瞬時に集まる幼児たち。「前へならえ!」声に合わせて両腕を正面にまっすぐ突き出す。

 全員が整列したところでいよいよ体操教育の始まりである。この地下体操場で行われる種類は豊富だ。まずは徒競争。約10メートルほどの短距離を2人ずつ全力で走る。反対側の壁にはマットが敷いてあるが子どもたちは勢いを落とすことはなくマットにぶつかっていく。たとえ10メートルであっても1対1の真剣勝負なのだ。続いて逆立ち歩き。全体重を腕で支え、足でバランスを取りながら一歩ずつ着実に進んでいく。「10メートル逆立ちで歩いてみせる」と一生懸命に歩を進めていく子どもたち。たとえ転んだとしてもその表情は笑顔だ。成果が伸び悩んでいる子には全員が「頑張れ!」の声援。それは、大人に「やりましょう」と言われて行われる手拍子とリズムに乗った「がんばれ♪がんばれ♪」といったものではない。自らの意志で発する心からの応援「がんばれ!」である。塾の教育方針である非認知能力「利他の心」が子どもたちに浸透している証拠だ。


 強さの秘密2

強さの秘密3

全国1000以上の園が導入「気づく」子が育つ

 幼児活動の体操教育は一般幼稚園にも取り入れられている。幼児活動のプログラムを教育として導入している幼稚園・保育園は日本全国で1000園以上にのぼる。幼児活動では正課体育指導という形で全国の幼稚園に幼児活動の指導員を派遣している他、課外教室として「コスモスポーツクラブ」や新体操を中心とした「コスモ新体操教室」を開催している。

 東京都西東京市田無町にある『田無いづみ幼稚園』。ここも幼児活動の体育指導を採用。正課体育指導をカリキュラムに取り入れる他、課外授業として放課後にコスモスポーツクラブも開催。現在は園全体で300人以上もの児童が在籍する。この園を運営する理事長の小林保は1992年に幼児活動のセミナーを受講。山下が力説する幼児教育の大切さや未来像に感銘を受けると同時に「この教育を近隣の園に導入されたら負ける」と危機感を感じ、幼児活動の指導法を導入した。

 幼児活動と25年近い付き合いのあるこの園、門をくぐると元気あふれる園児たちがお出迎え。皆、弾けんばかりの笑顔で音楽の練習や運動会の準備、国語の学習などに夢中だ。園児全員が初対面の来客に対して人見知りをせず元気よく「こんにちは!」と挨拶をする。挨拶は全てのコミュニケーションの基本。しかし、大人になってもきちんとした挨拶ができない人間は多い。幼少期から「当たり前」として徹底して教えることにより大人になってからでも忘れず活かすことができるのだ。

 しかし、礼節や学びの他に驚くべくは幼児たちの「気づき」の力だ。時刻が12時に差し掛かり昼食の弁当の準備が始まった頃である。廊下で一人の。園児が突如「あっ!」と声を上げる。その幼児は一旦教室の中に入り雑巾を持ち出すと再び廊下に戻ってきて床を拭き始めた。お茶がこぼれていたのだ。普通の幼稚園児ならここまで自立した行動を起こさないだろう。しかし彼は誰に言われるわけでもなく、誰に任せるでもなく、自分がすべきことと認識して自ら考え率先して床を拭きに来たのだ。幼くして自立に向けた大きな一歩を踏み出しているといえよう。



強さの秘密4

磨かれた人間力で強い信頼関係を構築

 さて、なぜここまで幼児活動のYY塾や正課体育指導が日本全国で評価され1000以上もの園に導入されているのか。それは他ならぬ指導員側の徹底力、そして教育者としての人間力の高さ故というほかない。

 幼児活動の指導教員は世間一般でいう体操の時間だけ現れる「体操のおにいさん・おねえさん」ではない。本来、幼稚園の体操指導員は派遣形式の場合、出勤は体操の授業が始まる10分前か5分前というのが一般的だ。しかも出勤の格好は授業で着るジャージそのままである。そして担当の授業を終えると閉園を待たずして帰路へつく。

 しかし幼児活動の体操指導員は朝から違う。まず、他の園の先生と同じ時間に出勤。子どもたちに負けない元気な挨拶で「おはようございます!」と一礼する。格好は白のワイシャツにネクタイを締めたスーツスタイルだ。子どもたちが来るまでの間、掃除や開園の準備を園の先生とともに行う。

 そして体操指導の時間。ジャージに着替え指導の場所へと赴く。9月10月は各園で運動会や発表会が行われる関係で指導にも一層熱が入る。緻密に練られたカリキュラムは、子どもたちにやる気を与える。たとえ失敗や困難にぶつかったとしても、それを乗り越える力を身につけていくのだ。

 そんな指導員たちの活動を目の当たりにする園の先生たちの評価は高い。皆が口をそろえて「他の指導員とは違う。挨拶や礼儀が素晴らしい」という。幼児活動の社会目標には「社会人として指導者として恥ずかしくない立派な人格、人間形成を目指す」とある。教え子は教育者の言葉よりその背中を見ている。そして真似ることもある。指導員は子どもたちの手本である以上、人一倍人間として磨かれていなければならないというわけだ。

 そんな彼らの真摯な態度は派遣先の園そのものの評価にも影響する。特に大きなものとしては保護者の評価だ。親の立場から指導員を評価する目線は鋭く、そして厳しい。しかし幼児活動の指導員は、そんな保護者からも好評だ。それは保護者の質問や要望に真摯に答える人間性、確実な成果、そしてなによりも家に帰った子どもたちが喜々として「ねぇお母さん、僕今日○○ができるようになったんだよ!」と語る姿が故である。幼児活動の指導は導入した園の近隣(4園)には正課体育指導を行わない。これは「その園のため」を一番に考え、他にも競合の園を生まないために行っている施策だ。徹底した信頼関係を築く幼児活動と園の絆は固い。

 しかし、これは人間対人間の仕事。全てが上手くいき常に高い評価を貰えるわけではない。ミスによって信頼関係に揺らぎが生じることもある。その揺らぎは「クレーム」という形で現れる。ビジネスにおいてクレームはつきものだがどの企業もその処理に手を焼く。しかしクレーム対応にこそ幼児活動の強さの真髄が現れると言っても過言ではない。

 特筆すべきはその対応のスピード。クレームの連絡があったら即現場に赴く。「申し訳ありませんでした!」と頭を下げるのだ。必要とあらば重役だろうが幹部だろうが山下自らであっても即出向く。現場までの距離は関係ない。考えられうる最速の手段で、飛行機だろうが船だろうが直行する。山下自身、飛行機を使って謝罪に向かったところ逆にクレームを出した相手の先生の方がその速さや真摯な姿勢に感銘を受け「こんな遠くまで申し訳ありません」と頭を下げたほどだという。クレームはより絆を深めるチャンスなのだ。

 現在1000以上の園による導入実績もこまかな事に妥協せず、向かい合う姿勢が花咲き、園の先生に信頼され、保護者に信頼され、子どもに信頼されてきた成果そのものと言えよう。


 強さの秘密4

強さの秘密5

徹底した社風をつくる山下イズム

 これらの強みを生み出す裏側には、山下自身が社員に継承し続けている山下イズムが大きく影響している。一言で表すなら「凡事徹底」。現場以外でも社内における来客時の挨拶や応対、汚れ一つないトイレ掃除などその一つ一つが園や園児の親など周囲との信頼を深め、会社そのものの強みとして機能。基本を大切に妥協しない徹底力を磨き上げてきた。それは確実に社員一人ひとりの血肉となって流れている。

 最初はできてないことも山ほどあった。園に指導で行くときもスーツではなくジャージだった。トイレの掃除も甘かった。しかし少しずつ、着実に足場を固めてきた。それが今日までの幼児活動そのものの社風を創り出している。

「お客様を喜ばし、社員を喜ばす」

 この言葉は嘘ではない。いやそれ以上ともいえる。喜ばす対象は社員の両親にも及ぶのだ。「親孝行が一番だ」と山下は語る。誕生日を迎えた社員には「今日は自分が生まれたことを祝う日じゃない。自分を産んでくれた両親に感謝する日だ」と言い、逆に両親へのプレゼントを買うように促す。社員の両親はプレゼントを受けとり「自分の子は本当にいい会社に入社できた」と喜ぶという。

 山下率いる幼児活動は今後も「できない子どもはいない」から「できない大人はいない」そして「できない人間はいない」と謳い、持ち前の強さ、信頼を武器に躍進し続ける。ブレることのないその行く末を我々も「できる」と信じ見つめていこう。



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