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トピックス -企業家倶楽部

2016年12月24日

止まらないFinTech革命

企業家倶楽部2016年12月号 ベンチャー・リポート


金融庁と日本経済新聞社は9月20、21日、東京都千代田区の丸ビルホールで、「FinSum(フィンサム):フィンテック・サミット」を開催した。国内外の関係者によるシンポジウムでは、経済全体や既存の金融機関への影響、地域金融など様々な議論が交わされた。また、大手コンサルティング会社や金融機関が審査を務めるビジネスコンテスト「ピッチ・ラン」や、学生がフィンテックを活用した金融業界の課題解決案を提言する「アイデア・キャンプ」なども同時に開催。FinTech(フィンテック)が創る未来の姿が、様々な視点から語られた。(文中敬称略)



爆発するフィンテック投資

 昨今、新聞や雑誌の紙面を飾っている「フィンテック」という言葉。「金融(Finance)」と「技術(Technology )」を掛け合わせた造語であり、文字通り金融テクノロジーを意味する。1990年代にインターネット企業が新たな産業を生み出したが、フィンテックもまた、AI(人工知能)などと並ぶ新技術として注目されている。まさに「フィンテック・ブーム」の到来と言えよう。

 その盛り上がりは世界のフィンテック企業に対する投資額にも表れている。コンサルティング会社、米アクセンチュアによると、2013年には46億ドルだった投資は、翌年には約3倍の127億ドルに急増。この熱は冷めることなく、2015年には223億ドルにまでのぼった。日本経済新聞など各種メディアで頻繁に取り沙汰されるようになったのもこの頃からである。

 金融業界に革命をもたらし、新たなインフラとなる可能性がある技術のため、日本も国を挙げて支援している。フィンサム当日には、財務大臣・金融担当大臣を務める副総理の麻生太郎が登壇。1880年にピエール・キュリーが発見した「水晶に圧を掛けると電力が発生する」という学説が、クオーツ時計として活用されたのは100年後であった事例を出し、「技術は身近なものとして広まるには時間がかかることが多い」と説きながら、「新しく発明された技術も世間に便利なものとして受け入れられなければ意味がない。アイデアだけでなく、モノづくりの技術を持ち、新しいモノが出てくる国にしたい」と期待をあらわにした。



銀行の支店が手のひらに

 フィンテックは既に私たちの生活の身近なものとなりつつある。いち早くサービスを提供し、顧客に選ばれようと、ベンチャー企業だけでなく大企業や大手金融機関も着目している分野だ。

 9月15日には、ソフトバンクとみずほ銀行が新融資事業の合弁会社を設立すると発表した。現在は、銀行から融資を受けようと思えば、現状の収入や資産を元に審査を受けなければならない。これでは、お金は無いがこれから起業や留学をしたいと志す人は借りることが出来ない。しかし、新サービスではAIを活用することで、未来の資産を予測して貸し出す。

 また当日、丸ビル1階にはフィンテック関連企業がブースを連ねていた。中には、仮想通貨の代表格であるビットコインの取引所を展開するbitFlyer(ビットフライヤー)の姿も。同社のユーザー数は30万人を超え、日本でのシェアは6割を占める。消費者はビットコインを使うことで、送金したい相手に銀行を介さず直接支払うことが可能となる。その際の手数料は無料あるいは格安となり、C2C市場拡大を後押しするものとして期待されている。

 仮想通貨はビットコインだけではない。自社オリジナルの仮想通貨の発行を支えるサービスもある。その中の一社がorb(オーブ)。通常、仮想通貨の開発には時間がかかるが、同社のサービスを活用すれば簡単に発行することができる。例えば「1万円分の仮想通貨を購入すれば、500円分キャッシュバックされるが、60日後には価値が2割少なくなる」といった設定も可能。SBIホールディングス社長の北尾吉孝も「地域通貨としての利用も考えられる」と着目する。

 消費者の生活が便利になる一方、既存の金融機関の収益力低下が懸念されている。コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーの試算によれば、2025年までに銀行の消費者向けローンの4割、決済の3割の収益が失われるという。

 しかし、フィンテック企業は金融機関と対抗するものとは限らない。両者の多くは共存の道を選んでいる。現に以前、銀行ATMが登場した際にも、銀行の窓口の人員が不要になると考えられたが、今日も銀行に行けば、窓口で人が出迎えてくれる。 ネットバンキングが浸透し、まさに手のひらの中にATMがある時代。今後は新興企業の活躍により、スマートフォンがATMに留まらず、銀行の支店の役割を果たすと言っても過言ではない。


 銀行の支店が手のひらに

地域再生の一手となるか

 当日に開催されたシンポジウムでは、「地域金融とフィンテック」と題し、SBIホールディングス社長の北尾吉孝、クラウド会計を提供するfreee代表の佐々木大輔、クラウド家計簿を開発したマネーフォワード社長の辻庸介、資産運用をサポートするウェルスナビ社長の柴山和久が登壇。こうしたフィンテック業界の先駆者たちによって様々な議論が交わされた。

 仮想通貨やAIの金融業界への進出について、北尾は「ビットコインなどはあくまで技術の一つに過ぎない。重要なのは、これを活かせるプラットフォームの構築だ」と一掃。柴山も「技術は目標を達成するための道具です」と頷く。彼らは「今まで築いてきた顧客基盤やサービスの信頼性こそ優位に繋がる」と自信を覗かせる。

 金融機関は業界の性質上、新たな技術を導入するのが容易ではない。今後に関して、辻は「ベンチャーだけでは新たなサービスの浸透は難しい。例えば、地域に密着している企業の協力が必要」と説く。現状として、まだIT化が進んでいない上、得られた情報をデータに加工する技術も確立されてはいない。それでも佐々木は「起業した頃は成功するはずがないと思われていた。自分のビジョンを信じることが大切」と今後に期待を寄せる。

 まだ収まりそうにないフィンテック旋風。この先にどのような未来が待っているのか。目が離せない。



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