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トピックス -企業家倶楽部

2016年12月28日

他者との関わりが「力」をくれる/現代アーティスト 小松美羽 (こまつ・みわ)

企業家倶楽部2017年1/2月号 アートは言葉である vol.2





 ふと思う。ゆっくりでも急いでも結局大いなる流れの中での選択に違いはないのだと。だからこそ、今やりたいことが今でなかった時の意味を考え、大切にしなくてはいけないと感じる。

 5年前に私はニューヨークの地を初めて訪れた。そこはアートの中心地だけあって、ビル内の壁面にはアートが溢れ、かっこいいだろと見せつけるように溶け込んでいた。ギャラリーの数も多く、これだけたくさんのアーティストが世界には存在するのかと知る。大きなアートフェアーやオークションも開催され、華やかなその一部を見つめているだけで、自分の存在がどこにもなくて、この地で絵を描いて自分を誇示してやるんだと言う傲慢な気持ちがじわじわと心を覆ったまま帰国した。

 今思えば、本当に若かったと思うのだけれども、その悔しさには自分中心の世界でしかなくて、アートの力やテーマ性なんてこれっぽちもなかった。ただただマスターベーション(自己満足)の様に流れる不調和音な絵をぶつけてやりたいような卑しい気持ちしか当時はなかったように思い返す。

 ふと宇宙を見上げる。吸い込まれそうな大いなる力の中で涙が流れる。

 それからの5年間は、人々の出会いで導かれるように日本の伝統的な物と引き合っていった。少しずつだけれども、自分中心だった世界から他者と関わるようになっていき、伝統的な下地に自分の絵を描く事が宿命であるかの様にのめり込んでいった。そして、制作にはいつも他者がいて、いつの間にか大いなる力の中で絵を描いている事に魂の歓びを覚えるようになっていく。

 その一つが有田焼の狛犬だ。大英博物館のコレクションに私の作品が入ったのも、私の絵だからだけではなく、一番はそれが今年400年を迎えた有田焼だからこそだったから。

 5年間の静かで燃えるような想いがあったからか、私は今年のGWに久しぶりにニューヨークを訪れた。そこではたくさんの出会いがあり、在住のキュレーター・佐藤恭子さんとの出会いで今年の11月末からの展覧会に参加させてもらう事が叶った。

 素直に言おう。私はまだまだだ。だけれども、5年間関わって来た伝統工芸が、今私がテーマとしている「魂の美しさ・持続」に大きな力を与えてくれている。

 無鉄砲に海外へ進出することができなかった自分を実はずっと恥じていた。でも、そうじゃなかった。日本でやるべき事があった。そこをクリアしていったからこそ、今ようやくニューヨークで制作の準備を始められているのだ。本当の意味でのリベンジがそこにある。

 何を選択していかなくてはいけないかなんて分からないことばかりだけれども、魂が呼応する運命の流れを感じることが我々にはできるはずだ。何が未来に繋がるかなんてわからないのだから、導かれる試練に立ち向かう武器を選択することが大切だ。

 今思えば、その準備の5年間だったのだ。そしてその間に、たくさんの人と出会い結びがあり、大きな波となってアートが紡がれていく。それから静かに瞑想する、絵を描く。目をつむると、今ではたくさんの人々の顔がまぶたに映り込む。

 ああ、どんな業もすべて関わりで成し遂げるものなのだと、傲慢に自分を誇示しそうにならないように受け止めてくれる人がいる。画家はチームプレーで突き進んで行くのだ。



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