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トピックス -企業家倶楽部

2017年02月16日

資産運用で社員と社会を幸せにする/武蔵コーポレーション代表取締役 大谷義武

企業家倶楽部2017年1/2月号 モチベーションカンパニーへの道 vol.23


(文中敬称略)

 首都圏エリアで富裕層向けの資産運用コンサルティングを行う武蔵コーポレーション。不動産投資を行う顧客のために、不動産売買と賃貸管理を中心に事業展開している。業績は2005年の創業以来、11年連続で増収増益と絶好調。2016年8月期の売上高は前年同期比30%増の46億9200万円、経常利益も前年同期比90%増の約5億円とその成長は止まるところを知らない。競争が激化する不動産業界で彼らはなぜ支持されるのか。



平均単価1億円の投資を支える

「我々の役割は、お客様に安心安全な資産運用を提供することです」

 そう力強く語るのは、武蔵コーポレーション代表の大谷義武だ。不動産というと居住用が一般的だが、彼らが扱うのは「収益用不動産」と呼ばれる商品。物件の購入者は居住せずにオーナーとなり、入居者からの賃料収入によって収益を上げることを目指す。年金問題など将来不安の増大を背景に「不動産投資を行う人は増えている」と大谷。融資を受けて物件を買ったオーナーが、入居者からの家賃収入によって経費の支払いと元利金の返済をする。その上で手元に残る金額が収益になるという仕組みだ。

 だが収益用不動産の平均単価は約1億円、当然リスクを伴う。しかも、運用には膨大な専門知識とノウハウが必要だ。武蔵コーポレーションを訪れるのは経営者を筆頭に本業が忙しい顧客ばかりで、自ら知識やノウハウを蓄える時間的余裕がない。だからこそ不動産の購入から賃貸管理、売却までを手掛ける武蔵コーポレーションへのニーズは高いのだ。

 同社は創業以来500棟を超える売買と仲介、7500戸の賃貸管理の経験を持つ。大谷は「購入のための資金調達なども含めて全てを一気通貫して行うのは、他の会社ではなかなか出来ない」と自信を見せる。資産運用のあらゆる段階において質の高いサービスを提供するため、その取り組みは他社と一線を画すものばかりだ。



入居率97%の賃貸管理

 オーナーの大きな悩みの一つに、物件購入後の入居者確保がある。たとえ良い物件を購入しても、入居者がいなければ賃料収入は得られないからだ。しかも今は人口減の時代。「お客様を獲得するのに熾烈な競争になっていて、入居率を高めるのにはかなりノウハウがいる」と大谷は説く。そこで武蔵コーポレーションでは、オーナーから委託を受けて物件の経営、賃貸管理を行っている。驚くべきは97%という高い入居率だ。その秘密について大谷は「リノベーションと営業の仕方です」と明かす。

 同社では、適切な管理運営が行われていなかった物件を買い取り、リノベーションを行って内装を一新した上で顧客に売っているのだ。「売買の仲介を行う大手企業は多数あれど、自社で物件を買っている大手はいません」と大谷は胸を張る。

 こうした取り組みには大きな意味がある。入居者が集まりやすい物件を提供できるのはもちろんのこと、入居者にとっては生活の質が向上する。また過疎化した地方だと、物件をきれいにすることで地域に人が集まり、町の再生にも結びつくのだ。入居者を集める営業でも、ウェブサイトを作成したり、不動産のチラシを見やすくするなど様々な工夫を重ねている。また、営業社員が1日に数十件の賃貸物件紹介会社を訪問し、地域ごとの入居者事情をオーナーに伝える。「地道な努力です。社員にモチベーションがあるからこそ出来る」と大谷は語る。



社員のための日本的経営を目指す

 大谷が経営で大事にしているのは、まさに「人」だ。「うちは人が全て。だから、社員の幸せが一番だと思っている。それが無ければお客様の幸せもない」と断言する。実は同社では1年ほど前に株式上場の準備をしていたが、大谷はそれを取り止めた。その理由を「私の考えでは、上場するとは欧米的な価値観に立って経営することだと思っています。そこでは会社は株主のものであり、社員の給料はコストになるのです」と説明する。

 武蔵コーポレーションが大事にしているのは、日本的価値観の経営だ。「会社は社員を含めた各社関係者のものだと思っている。社員が幸せになるにはまず給料が必要なので、そこを最大化していきたい」と語る大谷。上場を止めて、監査や内部統制などにかかる年間コスト1億5000万円の一部を社員の給与に充てると決めた。

 だが、給料だけでは社員の幸せは実現できない。そのほかに大事にしていることが2つある。1つは会社の雰囲気だ。社風について「家族的でみんな仲が良い」と言う。社員たちは家族も巻き込んで運動会を開催したり、休日にもバーベキューを行ったりするほど親密な仲だ。「社員同士がコミュニケーションをとって会社のために頑張ろうと思うことが、業績に繋がる」と大谷は考える。

 もう1つは、仕事にやりがいを感じられることだ。大谷は「何のためにその仕事をするのかをしつこく言っている」と明かす。安心安全な資産運用の提供、入居者の生活の質向上、町の再生。そうした社会的意義を伝えるほか、顧客から送られてきた御礼の手紙を会議の場で共有する。こうした取り組みによって、社員が意欲的に働いてくれるというのだ。



三方よしの経営で人の役に立つ

  社員のモチベーションの高さは、確かな結果となって表れている。同社では組織コンサル大手のリンクアンドモチベーションが開発した「モチベーションサーベイ」と呼ばれるツールで従業員のモチベーションを測定。平均値を遥かに上回る数値を叩き出した。大谷は「社員のみんなのモチベーションを客観的に把握することが出来たのが一番良かった。20分ほどの質問に答えるだけなので、簡単に取り組める」と絶賛する。こうした現状把握を踏まえて、その後の行動計画を策定、実行に移すというサイクルに繋げられるという。

 仕事へのやりがいを重視する方針は、彼の創業の理由と深く繋がっている。大谷は大学卒業後に大手不動産会社へ就職。順風満帆のように見えるが「何のために仕事するのかという部分で疑問があった」と振り返る。

 ショッピングセンターを作る仕事に関わった時のことだ。自分の仕事は役には立っていると思う一方で、「その裏側ではシャッター街ができてしまうことも。人を不幸にしているのではないか」と感じたという。そうした出来事が重なり「三方よしで誰かの役に立つ仕事がしたい」と思い退職。ノウハウもない中で一から今のビジネスモデルを作った。それは、物件を売ってくれる不動産会社、買ってくれるオーナー、物件の入居者の誰もが喜ぶ三方よしの経営そのものだ。

 成長を続ける武蔵コーポレーション。今後は、主に2つの取り組みに注力する。1つは、扱う商品の種類を不動産中心から広げて保険商品やリースにも力を入れることだ。「私たちの目的はお客様の資産を守ること。そうすると、他の投資商品を提案した方が良いときもある」と、より柔軟なサービスを目指す。

 もう1つは支店展開の加速だ。これまでは首都圏エリアのみに支店を置いていたが、今後は全国に増やしていく。物件を売るだけならどこにいても出来るが、「各地に支店を置かないと、責任を持って物件を管理できない」と語る大谷。全国に社員を配置するため、2018年入社の採用人数は前年の倍以上に増やす予定だ。同社の原動力が人であるのはこれからも変わらない。武蔵コーポレーションの躍進はまだ始まったばかりだ。



Profile

吉村久夫(よしむら・ひさお)

1935 年生まれ。1958年、早大一文卒、日本経済新聞社入社。ニューヨーク特派員、日経ビジネス編集長などを経て1998年、日経BP社社長。現在日本経済新聞社参与。著書に「進化する日本的経営」「本田宗一郎、井深大に学ぶ現場力」「二十一世紀の落とし穴」など。



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