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トピックス -企業家倶楽部

2017年02月21日

徹底したシステム化で外食世界一を目指す/遠藤商事・Holdings.代表取締役 遠藤優介

企業家倶楽部2017年1/2月号 注目企業


(文中敬称略)

ワンコインのピザを90秒で提供する

 東京都内にあるイタリアンのファーストフード店「Napolis’PIZZA&CAFFE(以下ナポリス)」。店内に入ると、異国の雰囲気漂うレンガ造りの壁と棚に飾られたワイン、間接照明や大きなソファなどおしゃれな内装が目に入る。看板商品のマルゲリータピザを頼むと、わずか1分半ほどで運ばれてくるから驚きだ。焼きたての一枚は大人二人でシェアしても十分な量かつ味も本格的で、気付けば完食。何より信じられないのはその値段、たったの350円だ。

 運営しているのは、FC展開を軸に外食事業を行う遠藤商事・Holdings.(以下遠藤商事)。運営する約90店舗のうち70店舗を占める主力事業が、前述のナポリスとイタリアンレストランの「PIZZERIA BAR NAPOLI(以下ナポリ)」だ。その他にも、カフェからスペイン料理店まで幅広い業態を展開している。2011年に創業したばかりにも関わらず、売上高は既に42億4200万円にのぼる。

「値段が高く職人ありきだった料理を、安く早く誰でも提供できるようにする。日常の身近な存在になれる飲食店を作りたい」

 事業のコンセプトをこう語るのは、遠藤商事代表の遠藤優介だ。本格的なイタリアンとなると、料理を作るのは熟練の腕前を持つシェフだ。ピザに関しても、日本で馴染み深いのは2000円~3000円が相場のデリバリースタイルだろう。だが遠藤が実現しようとしているのは、リーズナブルな値段で本場イタリアさながらの味を提供できる店だ。「今まで本格的なイタリアンレストランのチェーン店も、ピザのファーストフード店もほとんど無かった」と差別化を実現している。


 ワンコインのピザを90秒で提供する

職人技を再現できる「EPシステム」

 ナポリスでは350円のマルゲリータを筆頭に、ワンコインから900円弱でピザやパスタなどが食べられる。食材は本場イタリアから取り寄せるというこだわりぶりだ。ナポリでも、800円から1000円前後のメニューでランチを楽しめる。こうした庶民的な価格帯が支持を呼び、若者や家族連れからお年寄りまで幅広い層の顧客が店を訪れるという。しかも、「他のピザ屋よりリピーター率が高い」と遠藤は明かす。何度も足を運んでもらえるのは、値段の安さだけでなく、料理の提供の早さと味の良さもあってこそだろう。

 その秘密は、職人ありきだった調理手法のシステム化にある。代表例が、誰でも約90秒で本格的なピザを提供できる「EPシステム」だ。独自のピザ窯「ENDOME(エンドーム)」と生地製延機の「P-SLIDE(ピースライド)」の頭文字を取って名付けられた。ピザの原料であるイーストは温度変化に敏感なため、生地の状態はたった数分で大きく変わることもある。延ばした生地を窯で焼くのも、薪一本で何百度も温度が変わる繊細な作業だ。ゆえに調理には長年の経験が求められ、素人には手が出ない。

 だがEPシステムなら「早い人は2~3日、遅くとも2~3週間あれば誰でもできる」と言うから驚きだ。特注設計のエンドームでは、500度の高温による安定した焼き加減を維持できる。生地を伸ばす作業も長い修行を積まなければ出来なかったが、ピースライドなら生地の状態に合わせて均一に生地を延ばしてくれる。こうした仕組み化は各業態で導入しており、スペイン料理ではパエリアを2、3分で提供できるという。「うちの強みはシステム化。飲食のシステム業態といったらうちだと言われるようにしたい」と遠藤は力強く語る。


職人技を再現できる「EPシステム」

イタリアで運命の出会い

 そんな遠藤が起業に至るまでの経歴は波乱万丈だ。もともと13歳という若さでイタリアチームのプロサッカー選手となり海外生活を送り始めるが、思うように試合に出られない日々が続く。そんな時に、興味を持ったレストランで働いてみると目覚ましく上達した。それがきっかけで、彼はミシュランガイドに載る店でただ働きをするなど料理の道へのめり込んでいく。

 彼の人生を変えたのは、イタリア南部で初めて食べたナポリピザだ。それは、古ぼけたお店の中で、70歳ほどのおじいさんがさびついた棒で作ったいびつな形のピザだった。遠藤は不安に駆られたが、一口食べてみると「信じられないほど美味しかった」と言うのだ。値段も日本円で270円という安さで、町の人々からも愛されていた。衝撃を受ける一方で、「職人だから作れるのだと感じた。こういう素晴らしいものを誰でも作れるようにして、誰でも食べられるようにしたい」と決心した遠藤。その店で修行して必死にノウハウを身に着けた。この時の体験こそが今のビジネスモデルの原点となっている。

 帰国後も様々な企業で働き、転機が訪れたのはコンサルタントを務めていた時だった。イタリアンのファミレス作りを手伝っていたが、クライアントが撤退せざるを得ない状況になってしまう。そこで彼らは、「あなたが代わりに店舗運営をしたいなら任せてもいい」と言ってきた。「自分も将来的にイタリアンの店を開きたいと思っていたので、タイミングが合った」と遠藤は振り返る。こうして2011年5月にオープンしたのが、吉祥寺にあるナポリ本店だ。



まずは全ての業態を日本一にする

 今では業績も絶好調だが、「オープン当初は大変でした」と遠藤は明かす。今では人気のワンコインピザも、その安さから顧客に心配されたという。「お客さんの信頼を得るには実力で見せつけるしかない」と悟った遠藤。1、2カ月間は自らホールに入って、一人ひとりのお客の意見や好みを聞くなど顧客獲得に奔走した。その徹底ぶりは、「お店の前を通る人は皆、自分のことを知っていた」と言うほどだ。そんな地道な努力が実を結び来店者数は増加。 顧客獲得が難しいと言われた深夜帯も店内は満席になった。すると今度は、他地域での出店を希望する声が多くなる。遠藤は全国展開に踏み切ることを決意した。

 その戦略の柱に据えたのがFC展開だ。遠藤商事では、計70店舗にのぼるナポリ、ナポリスのうち60店舗がFC店で、全体でも直営は20%しかない。「直営で新業態を始めて店舗数が増えてきたら、より知名度を上げるためにFC店を出す。それを見本に、更に別の業態にも活かす」と遠藤は説明する。設立からたった5年で90店舗まで拡大した苦労は計り知れないが、本人は「今までは全く苦労のうちに入っていない。どんなに厳しい状況でも、どう挽回するかしか考えていない」と言い切る。常に前を向いて果敢に挑戦した結果が飛躍的な業績の向上なのだ。

 それでも、「自分の中では何も始まっていない。2、3年後の上場を目指しているが、それが実現してようやく始まる」と遠藤は至って冷静だ。それもそのはず、彼の目指す頂きは遥か高い。「世界で勝つために、まずは全ての業態を日本一にしなければいけない。売上高5000億円は目指したい」と意気込む。

「やるかやらないかです。自分はそれだけで生きてきた」と、企業家志望の若者にシンプルだが説得力あるエールを送る遠藤。決して妥協しない熱い信念を胸に、遠藤商事は世界一への道を真っ直ぐ突き進んでいく。



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