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トピックス -企業家倶楽部

2017年02月28日

【ベンチャー三国志】vol.42 孫正義、トランプと意気投合!

企業家倶楽部2017年4月号 ベンチャー三国志


孫正義とアメリカの大統領、トランプは意気投合した。だが、ちょっと早すぎたようだ。相次ぐ大統領令でトランプは四面楚歌。孫正義は思案投げ首だ。少し様子を見ることになるだろう。その間、やるべきことはいっぱいある。ビジョンファンドの投資先やスプリントの経営など課題が目白押しだ。残された時間はあと10年。孫正義の夢は実現するか。(文中敬称略)


写真提供:共同通信社

【執筆陣】徳永卓三、三浦貴保、徳永健一、相澤英祐、柄澤 凌、庄司裕見子




 孫正義とトランプが昨年(2016年)の12月6日午後に会談した。場所はニューヨークにあるトランプの私邸「トランプタワー」である。トランプは得意のツイッターで「マサ(孫)は米国に500億ドル(約5兆7000億円)を投資し、5万人の新たな職をつくることで合意した」とつぶやいた。

 ソフトバンクは米国の通信会社、スプリントとTモバイルの経営統合を計画、2014年夏に交渉が頓挫していた。オバマ政権が経営統合を認めず、孫正義は涙を飲んだ。

 トランプ政権が出来るとみるや、孫正義はさっそく、動き出し、スプリントとTモバイルの経営統合を画策した。トランプとの会談はこうして実現した。

 トランプの「500億ドル(5兆7000億円)」はすでに計画済みで、新しく5万人の雇用を産むのみである。それも、ソフトバンクが出資を決めた米衛星通信ベンチャーのワンウェブが米国で合計8000人雇用する計画を明らかにした。残り4万2000人である。



トランプ、世界の鼻つまみ

 スプリントとTモバイルの経営統合が成功すれば、4万2000人なんてすぐ雇用できるだろう。事実、スプリントの株価は上がった。

 問題は大統領トランプの評判である。あまりにも、とっぴな大統領令を連発するので、世界が戸惑っている。おそらく孫正義はどうしたものかと、思案投げ首状態であろう。

 ライバルの楽天の三木谷浩史はさっそくトランプ批判をやらかし、点数を稼いでいる。漁夫の利を得た格好だ。

 ここで大統領トランプの出現について筆者の考えを書く。トランプは2017年1月20日に正式に45代大統領に就任した。トランプは2016年10月にヒラリー・クリントンに勝利してから、一躍脚光を浴びた。



新聞、テレビはこれまで“王様”だった

 それまでは、ヒラリーが勝つだろう、と予想された。実際はトランプが勝った。メディアの予想では僅差ながらヒラリーが勝つだろうと思われていた。だが、トランプが勝った。

 ここから、「旧メディアである新聞、テレビは信用ならない」という評判が立った。逆にツイッターやフェイスブックなど、ネットの新メディアが俄然、脚光を浴びた。

 トランプは自分が負けると予想した旧メディアに選挙後、ことさらに冷たくあたった。ツイッターでしか発言しなくなり、新聞、テレビの記者会見は大統領に就任するまで一切、行なわなかった。

 それまで、新聞、テレビは“王様”だった。政治家は新聞、テレビの前では跪き、記者はそれを当然のこととし、傲慢だった。トランプ大統領の記者会見で初めてそのことを知らされた。

 トランプも傲慢だ。今年1月20日に大統領に就任するやいなや、大統領令を連発し、世界の鼻つまみ者になっている。しかし、「シリアからの移民は当分の間、入れない」とか「メキシコとの間に壁をつくる」と無茶なことを言っている。

 外から見ていると無茶でもアメリカ人はトランプを支持しているのである。トランプは大統領の就任直後の支持率は45%だが、イスラム圏7カ国の市民や難民の入国を禁止する大統領令に関しては49%(署名直後)である。

 アメリカ人は半数がトランプを支持、もう半分が反対し、真二つに割れているのである。 こんなことを言う人もいる。トランプは選挙公約を果たしたことを見せるために、就任と同時に大統領令を乱発しており、司法や議会で否決され実行できないことも計算ずくなのではないか。公約が果たせれば支持率は上がり、公約が果たせなくともトランプが日和ったり、失策したためではないとアピール出来るというのだ。



日高の見方は違う

 ところで、早くから大統領選挙はトランプが勝つ、と言っていた人がいる。ハドソン研究所首席研究員、日高義樹である。日高は元NHKのワシントン支局長を勤めた人で、企業家倶楽部で再三紹介した。

 その日高が2016年11月、『トランプショックがせまる貿易戦争・核戦争の危機』という本を海竜社から出版した。この本の中で日高はこれまで以上に弱肉強食の世界になるだろうと書いている。

 書き出しはこうだ。「20世紀に入って以来、アメリカ政治史上初めてと言ってもよい異色の大統領が誕生した。公職に就く訓練をまったく受けていない土地不動産王のドナルド・トランプは、アメリカのマスコミや既成政治勢力が全力をあげて反対するなか、優勢だったヒラリー・クリントンに逆転勝ちを成し遂げ、ホワイトハウスへの切符を手にした。

 ドナルド・トランプの当選はある意味では奇跡で、アメリカでしか起きえない政治現象といえる。ドナルド・トランプは大統領の座を、数々の衝撃的な発言で勝ち取ったが、彼の暴言にはアメリカの多くの人々の本音が含まれていたのである。

 日高は言う。「迫り来る貿易戦と核戦争の脅威」「2020年台湾侵略をあらわにする中国」「2024年に始めるプーチンの東欧侵略」「国家主権をいまも握り続ける(アメリカの)州政府」「世界的危機をもたらす中国経済の崩壊」。

 アメリカを知り尽くした日高ならではの警鐘である。



少し、早すぎた孫

 孫正義とトランプはそうした中で会談した。機を見るに敏な孫正義だが、少し早すぎたか。しかも、IT企業はこぞってトランプに反対している。トランプが世間から袋叩きの頃に会談した。しかもソフトバンクが売りたい対象はトランプが米国入国を拒否している人たちだろう。しばらく静観するしかないだろう。

 2月8日午後、都内のホテルでソフトバンクグループの2017年3月期第3四半期の決算発表が行われた。席上、社長の孫正義は昨年12月6日のトランプとの会談について尋ねられた。

 第3四半期の決算でもあり、欠席することも考えられた。しかし、孫正義は予定通り、記者団の質問に応じた。記者たちの質問はトランプとの会談に集中した。

 まず、記者たちの「7カ国の入国制限についてどう思うか」という問いに関しては「政治の話についてはコメントを差し控える」と述べるにとどめた。アップル、グーグルなどIT企業100社がトランプに反対しているのにソフトバンクが賛成というわけには行かない。

 ビジネスについては「様々な規制緩和が行なわれることは歓迎すべきことだ。大統領に会うことは当然の行為だ」と語った。


 少し、早すぎた孫

アメリカ市場に行くまで

 ここで孫正義のアメリカ市場についてのおさらいをしよう。初め孫正義は中国上陸を試みた。しかし、中国は携帯電話には規制が厳しく、孫正義が得意なM&Aは受け付けない。情報統制が厳しいのである。

 そこで孫正義はやむなくアメリカ市場に鞍替えしたふしがある。アメリカは人口3億2000万人強で、まだ伸びている。一方携帯電話数は3億8200万台でまだ伸びる余地がある。

 孫正義がアメリカ市場に目をつけたのはさすがである。しかし、オバマ政権下では、スプリントとTモバイルの合併が認められず、涙を飲んだ。今回晴れてトランプと合意した直後にトランプバッシングが起こり、静観せざるを得なくなった。

 オバマ政権下で手をこまねいていたわけではない。アジアで中国以外で成長著しい国はどこか、と考え、インドとインドネシアに白羽の矢を立てた。インドではネット通販大手のスナップディールなどに投資したことがある。インドは10億の人口を抱えており、中国に次いで世界第2位の人口大国を誇っている。インドネシアも人口2億5000万人と中国、インドに次ぐ人口を誇っている。

 孫正義の目の付けどころは間違っていない。ヨーロッパ、中東と足をのばし、最後はアフリカにも足をのばすだろう。ロシアのプーチンと仲良くしているのも、携帯を売り込もうと思っていたのかも知れない。 

 前回、ちょっとだけ紹介した、ファンドもつくった。名称は「ビジョンファンド」。サウジアラビアと共同でつくり、ファンドの規模はこれまでの全世界のファンドの合計より大きい。全世界のファンドで65ビリオンだが、ビジョンファンドは1社だけで100ビリオン(邦貨換算で約10兆円)、大きさが知れよう。将来、アメリカの通信ベンチャーで最近ソフトバンクが投資したワンウェブも、ビジョンファンドに組み込まれる。

 このほか、余裕があれば投資しておきたい企業に、カネがないので見送ったケースもあるが、ビジョンファンドで10兆円あるので、「ドンドン投資していく」と孫正義はソフトバンクグループの2017年3月期の第3四半期決算記者発表の席で語った。やはり買っている時の孫正義は生き生きとしている。

 孫正義の夢は世界一の会社をつくることである。売り上げも利益も世界一を目指し、情報産業の雄を狙っている。時価総額だけはアップルなどに後れを取っているが、日本を本拠としているだけに致し方ないだろう。


 アメリカ市場に行くまで

孫の夢

 孫正義は今年2017年8月11日で還暦(60歳)を迎える。紅顔の美少年も早や60歳だ。盟友のスティーブ・ジョブズ(アップル創業者)は鬼籍に入った。だが孫正義はあと10年は頑張れる。その時ソフトバンクの売り上げはどうなっているだろうか。

 今、9兆円強(2016年3月期連連結)だから、10年後には30兆円になっているかも知れない。もしかすると、トヨタ28兆4000億円(2016年3月期連結)と首位を争っているかもしれない。10年後が楽しみだ。

 次回はシンギュラリティについて書く。



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