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トピックス -企業家倶楽部

2017年03月28日

データ分析でマーケティングを最適化/シャノン社長 中村健一郎

企業家倶楽部2017年4月号 新興市場の星たち




IBM、オラクルを制し首位に

 無闇に数だけ集められた潜在顧客リストを片手に行う営業ほど消耗するものはない。もし商品・サービスに関心を持つ人に、ニーズが高まる的確なタイミングで営業できたなら、どんなに良いだろうか。きっと成果に直結し、営業担当者の意気も上がり、顧客の利益にもなることだろう。そのために各社が行うマーケティング活動は、インターネット、そしてスマートフォンの登場で、質・量ともに驚異の速さで進化し続けている。

 2017年1月末に東証マザーズ上場を果たしたクラウドマーケティングの雄、シャノン。創業者の中村健一郎は1977年生まれの39歳だ。2000年、慶應大学在学中にシャノンを創業。現在に至るまで、マーケティングの支援システムを開発・提供してきた。2016年10月期の決算では売上げ15億3400万円、経常利益4500万円となっている。 彼らの誇る「シャノンマーケティングプラットフォーム」には大きく二つの柱がある。一つはイベントマーケティング。大規模な催事場で行われるイベントやセミナーに必要な、オンライン上での申し込み、決済、当日の入場認証、バーコードやQRコードのついた入場証・出展者証の発行、イベント後のフォローなどの運営システムを提供している。

 もう一つはマーケティングオートメーション。自社のターゲット層、実際の店舗を訪れた顧客、インターネットの閲覧情報や問い合わせなどからデータを絞り込み、スコア化することで、商談にもちこめる可能性の高い人の情報をリアルタイムで営業に提供する。

 この二つの柱は組み合わせて導入することで、より相乗効果が期待できる。あくまでマーケティング活動の一環としてセミナーやイベントがあり、そこに来た潜在顧客を一括して管理できるからだ。メールの配信リストやセミナーに参加した顧客名簿がバラバラでは、ターゲット層の関心を追うことが難しくなる。どの業種の、どの企業の、どの部署の、誰が、どの商品に関心を持っているか。大企業であればあるほど、情報をどの部署に回すかが重要だ。企業によっては、社内に全く異なる事業を抱えていることも珍しくなく、適切な部署に的確な情報を渡さねば効果は得られない。こうした理由から、シャノンの顧客の半数以上が日本を代表する大企業というのも頷ける。

 シャノンマーケットプラットフォームのシステム利用料は月額制で、多数のオプション機能を利用する大企業では数百万円にもなるが、必要最低限の機能では数万円と、規模に合わせて利用できる。シャノンはSaaS(必要な機能だけを選択して利用できるようにしたソフトウェアサービス)の領域において使い勝手の良さが評価され、IBMやオラクルなど錚々たるグローバルIT企業との競争の中、「マーケティング支援市場2016」の統合型マーケティング支援市場におけるSaaSベンダー別売上金額およびシェアで1位を獲得。日本国内において同分野で6年連続シェアナンバーワンとなっている。



きめ細やかな対応力で勝つ

 なぜシャノンはこれだけ強さを発揮できるのか。シャノンマーケティングプラットフォームのオプション機能は700以上あり、あらゆる業種、細やかな日本企業のニーズに対応可能なことが大きい。

 マーケティングにおいては、店舗やウェブ上など様々なルートから集められたデータを統合し、重複や誤記を探し出して、適切に削除・修正できるかが肝要となる。統合されていないままのデータでは使い物にならない。間口の異なる複数のデータから関連付け、同一人物かどうかを統合していく難しさは、同姓同名や住所表記に全角半角日本語アルファベットが混在する日本市場において特に顕著だ。これに対応できるシャノンは、まさにかゆい所に手が届く存在。日本企業のニーズを汲み取っていると言えよう。

 また金融機関の持つ個人情報を国内で保管するなど、金融庁が定める「FISC安全対策基準」のクラウド利用に対する基準条件をシャノンは満たしている。金融機関での利用トップシェアという実績から、シャノンに信頼を寄せて採用を決める企業も多い。

「“テクノロジー”と“サイエンス”で、企業のマーケティングの課題を解決する」と理念を掲げるシャノン。ワンストップでマーケティングの課題を解決できる点が強みだが、「これ一つで何でもできる」と言われても使い方に困ってしまう。

 そこでシャノンでは、マーケティングの戦略コンサルタントだけでなく、サービスの導入コンサルタントを派遣。その企業にどのような課題があり、どのようにデータを集めて解析し、問題解決のためにはどの機能が必要かまでしっかりサポートする。また、運用する人材がいなければシャノンで代行し、メールだけでなく電話でのサポートも行うなど、きめ細やかな対応に余念が無い。



目指すは世界市場

 マーケティングは進化し続けている。スマホがまだ一般的ではなかった10年前と、日本国民の半数以上がスマホを所持している現在のマーケティングテクノロジーは大きく変わった。SNSの登場で、コミュニケーションは形態、質、量において様変わりしている。今や誰もが使っているLINEだが、サービスを開始したのは2011年の夏。東日本大震災の際には安否確認に使われていなかったと聞けば、この市場の変化の激しさが分かるだろう。それでもマーケティングを専門に行う人材、部門は少なく、大企業の多くではジョブローテーションの中でマーケティング業務が行われているのが現状だ。

 シャノンは今でこそマーケティングシステムの会社と思われているが、「マーケティングの問題解決を行う上で、現在最も効率が良いサービスを提供しているだけ」と中村は語る。マーケティングは新しいテクノロジー、コミュニケーションによって常に変化していく。変わり続けることを前提に開発や提携を進め、シャノンのマーケットプラットフォームさえあればマーケティングに関しては全て対応可能なようにするのが彼らの目標だ。「マーケティングのことならシャノンに相談しようと、多くの人に考えてもらえるようになりたい」

 シャノンの今後の展開は、上場企業として知名度と信頼性を向上させること。そして海外展開も視野に入れている。現在の海外拠点は上海。「ここから地の利を生かしてアジア、そしてヨーロッパへと広げていきたい」と中村の鼻息は荒い。その時に頼りになるのが、日本国内で積み上げてきたマーケティングのノウハウと知名度、実績だ。未来のマーケティング市場において、確固たる存在感を発揮できるか。シャノンの挑戦は始まったばかりだ。

P L O F I L E

中村健一郎(なかむら・けんいちろう)

1977年生まれ。2000年8月大学4年時に有限会社シャノン設立、代表取締役に就任。2001年3月慶應義塾大学理工学部卒業。2002年4 月 シャノンを株式会社化し、現在に至る。



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