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トピックス -企業家倶楽部

2017年04月07日

人事とは人と組織で業績を伸ばすこと

企業家倶楽部2017年4月号 ベンチャーリポート


リンクアンドモチベーションは1月30日、東京・六本木アカデミーヒルズにて「Strategic HRSummit」を開催した。本イベントでは、「経営者はCHRO(最高人事責任者)をどう育成すべきか」と題し、リンクアンドモチベーション執行役員の麻野耕司氏とサイバーエージェント取締役人事管轄の曽山哲人氏が戦略人事のあり方について対談した。(文中敬称略)



オペレーション人事はもう古い

麻野 なぜ今、CHROが求められるのでしょうか。従来は設備投資が重要となる製造業が主流でしたが、ITなど第3次産業中心に移り変わったことで、サービスを届けるためには人材が何よりも重要となりました。この流れの中で、人事の位置付けは益々高まるばかりです。

 これまでは右肩上がりの経済成長のもと、新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった固定化されたシステムをオペレーション人事で運用してきました。しかし、それが徐々に機能しなくなってきたのです。新卒採用に加えて中途採用も増え、人事手法が多様化。求人広告、人材紹介業者、社員からの紹介、SNS採用など、選択肢が増えています。さらに、契約社員や派遣社員など正社員以外の多様な雇用形態があり、人事制度も今までと同じでは通用しなくなってきました。

 その中ですべきことは、多様な採用や制度の在り方から、会社に合わせてカスタマイズし、仕組みそのものを作り上げていく戦略的な人事です。ただ、多くの会社ではオペレーション人事から抜け出せていないのが実情。だからこそ、戦略人事を司るCHROが重要なのです。

 曽山さんがサイバーエージェントの人事責任者として注力された施策はありますか。



信頼関係が組織の業績を伸ばす

曽山 人事は部門長全員と連絡を取り、月に1回は上司と部下で面談を行なってもらうようにしていました。私は以前、百貨店の人事部長でしたが、上司と部下の対話が年に一度しか行われておらず、社員はバラバラ。業績を伸ばしている組織を調べると、週1回はランチや面談が行われ、少なくとも月に1回は、上司と部下が対話の場を持っていることが分かりました。このことから、業務以外の時でも1対1で話せる関係を築くと、そこに信頼関係が生まれ、組織がまとまっていくことを実感。そのため、週1回は難しくとも、月1回の面談は強く推奨しています。

 さらに月1回、人事として気になる情報を役員会に上げています。ポジティブな話と、少し心配なネガティブな話を1枚にまとめた「社員の小耳シート」です。経営の課題として「こんな意見もある」と伝えるのは大事なポイントだと思います。

 ただ役員も人間です。ネガティブことばかり聞かせると疲れてしまいますから、必ずポジティブな情報とネガティブな情報を半分ずつにすることを心がけています。

麻野 経営陣が人事の話を聞くメリットを作っていったのですね。経営陣には届いていない、現場に落ちている情報を拾って伝えることで価値を提供したと言えるでしょう。

曽山 人事の価値は、経営陣が知らない情報をどれだけ持っていけるかに懸かっています。人事とは、人と組織で業績を伸ばすことなのです。



問題を未然に防ぐミスマッチ制度

麻野 一般的にオペレーション人事は、退職者が増えた後に解決策を打つなど、問題が起きた後に対策を採るケースが多いですね。

 しかし本来、人事は未来を創る仕事であり、組織の未来を予測した上で、今何をやらなければならないのかを先回りして対応することが肝要。問題が起こってから対応するのでは遅いのです。

曽山 そうした考えが反映されたサイバーエージェントの施策は、ミスマッチ制度ですね。これは、ある方が会社の考え方と合っていないと思われる時に、イエローカードを出す制度です。

 ある時、社長の藤田晋から「終身雇用の会社を目指そう」との提案がありました。一方で社長は実力主義を重視。年功序列は行なわず、実力主義と終身雇用を合わせた会社を作ろうというメッセージでした。

 長期雇用や終身雇用を掲げると、社員が意図せずその安定にぶら下がってしまう可能性があります。そのため、安定志向に陥りかけている社員に対して早めに忠告し、変化してもらうのがミスマッチ制度の本義です。

 ミスマッチは必ずしもその本人だけが悪いわけではなく、上司と合っていないケースもあります。その原因が何であれ、合っていない状態をミスマッチと認定し、変化を与えていくことが重要だと考えました。



GEPPOで組織改善

麻野 オペレーション人事の特徴は、経験や勘での組織作り。しかし、人事にも定量指標、物差しが必要です。ダイエットを成功させるにはエクササイズやサプリも良いですが、それ以前に体重を測ることが大切ですよね。現在の体重、理想の体重を照らし合わせ、進捗を見ながら改善に繋げる。これと同じ作業が組織運営にも必要なのです。

曽山 この物差しとして、弊社ではGEPPO(ゲッポー)と呼ぶ月次報告を行っています。月間の自分のパフォーマンスをアンケート形式で回答してもらうもので、毎月全社員に3問程度の質問をします。

 1問目は先月の成果を天気で表す質問。これで主観情報を定量化して簡単に知ることができます。同じ質問を取り続けることで、例えば、晴れが続いていたのに突然雨が付いた場合にはフォローアップする。2問目は毎月質問を変えており、先月の稼働状況、将来のキャリアの目標などで、3問目はフリーコメントです。

 2500人が対象ですが、非常に簡単なので、90パーセント以上が回答してくれています。アンケートは、簡単で良いので毎月取ることが重要です。年に一度、大規模に行われるような調査では、集計するだけで時間がかかり、解決策を講じた時にはすでに手遅れになってしまう可能性がありますからね。



社員の声を聞くのが人事の仕事

麻野 第2次産業においては、誰が仕事をしようと、どんなコンディションであろうと、生産性に大差が無いようにオペレーションすることが是とされてきました。しかし現在の第3次産業では、どのような人がどのようなコンディションで働くかによって、生産性が大きく変わります。

 最も顕著なのはプロスポーツでしょう。バレーボールの試合を見ていても、監督はタブレット端末でデータを確認しています。刻一刻と変わる選手のコンディションや、他の選手との相性を見ながらマネジメントしている。会社の人事もこのような世界が近づいていると思います。

 最後に、人事としてコミュニケーションを取っていく上で大切なポイントはありますか。

曽山 人事が努力しなければいけないのは、社員と話すこと。週に1回は必ず現場と話すといった範囲を決めておくのが大事です。私は毎月約80人、年間1000人近い声を聞くことで、自信に繋げています。



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