トピックス -企業家倶楽部

2009年12月27日

日本最大級の賃貸斡旋ネットワークを武器に4時間睡眠で全国を奔走/アパマンショップホールディングス社長 大村浩次

企業家倶楽部2009年12月号 頑張るしなやか企業


国内外約1000カ所の営業拠点の情報を集約し、賃貸斡旋事業を主軸とした不動産トータルサービスを提供するアパマンショップホールディングス。社長の大村浩次は20年以上も4時間睡眠、早朝5時出社、毎朝の掃除を欠かすことなく続けている。新規入居者やFC加盟店のオーナーから強い支持を集めるアパマンショップホールディングスの魅力に迫る。(文中敬称略)



国内外約1000カ所の営業拠点で不動産トータルサービスを提供

 1999年に創業したアパマンショップホールディングス(以下、アパマンショップ)は、国内外約1000カ所の営業拠点の情報を集約し、賃貸斡旋事業を主軸とした不動産トータルサービスを提供している。09年8月末時点における加盟契約店は900店舗、直営店は60店舗を数え、年間の賃貸斡旋件数は約37万件、賃貸管理戸数は約58万戸に及ぶ。2001年3月にナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)に上場したアパマンショップは現在、店舗数・シェア・契約件数・賃貸管理戸数において日本一を誇っている。

 住宅へのニーズは一人ひとり違う。交通の便のよい駅の近くに住みたい人もいれば、近くに線路があると子供から目が離せないので避けたい人もいる。「お部屋探しを適正な情報開示の元でやっていくことは、国民の生活にとって大変な価値があります」

 大村はそう語る。例えば、県内で引っ越す人は来店者の半分ほどで、残りの半分近くの来店者は県外からの移転者だ。そのため、ある特定地域だけの情報では不動産サービスの幅に限界がある。そこで、アパマンショップでは加盟契約店のネットワークや共有のデータベースを作り、賃貸管理・賃貸斡旋にフォーカスしたサービスを提供している。

 アパマンショップがFC(フランチャイズ)の最優先課題に掲げているのが、既存加盟店の向上である。一般的には、新規加盟店への営業活動に注力するところであるが、アパマンショップでは新規勧誘セミナーをここ5年間1度も開いていない。勧誘しなくても、「加盟したい」という声が殺到しているのである。「嬉しい悲鳴ですが、我々としては新しく加盟店が増えることよりも、既に加盟している方々の業績が向上して、もう一店舗展開することが本当の良さだと思っている。アパマンショップに加盟したいけれど、中々難しくて入れないFCという位置づけになりつつある」と大村は語る。



日本最大級のデータベースで情報を一元化

 アパマンショップの人気を支えているのが、4つのフランチャイズサービスである。1つ目がシステムサービス。賃貸斡旋店舗の次世代システムとして開発したアパマンショップオペレーションシステム(AOS)を駆使することで、情報の一元化を推し進めている。家賃や写真などの物件情報や顧客情報などを一元化することで、加盟店全体の生産性を飛躍的に向上させている。ただ、データベースを一元化するためにはお互いの信頼関係が必要となる。たとえば、自分たちがいつも物件の写真を撮りに行って、他の加盟店が転用してばかりいては、不協和音が生じてしまう。「信頼関係をベースとしたデータベース一元化が大事だ」と大村は話す。AOSでは、日本全体の40%の物件情報となる約555万件が登録されている。例えば、北海道の人が福岡県へ転勤の時に、パソコンに繋げばすぐさま福岡市内の住宅情報を比較・検討できる。

 2つ目が反響サービス。一人ひとりの要望に合わせて、学生向け、法人向け、オーナー向け、訳有り物件、北海道、九州など特徴によって分類された900ものウェブサイトを展開している。どのサイトから入っても最終的にはアパマンショップの本店に取い合わせが集まる仕組みだ。さらに、ブランド戦略にも注力している。上戸彩が登場するアパマンショップのCMはインパクトがあり、街中での目印代わりになっている。

 3つ目が研修サービス。全国各地で年間200回以上のセミナー・勉強会を徹底している。大村自身も大阪、名古屋、東京と移動の毎日だ。大村が研修サービスにおいて、FC店のオーナーに繰り返し伝えるのが「ネットワークを通じ業界の質的向上に貢献する」、「加盟店皆様の収益向上に貢献する」という2つの経営理念である。

「お客様に喜んでいただくために、とにかく真面目に謙虚にしていく姿勢がスタートだと思います。弊社の社員は全員紺のシングルスーツしか着ていません。多分これだけいても全社員白のワイシャツだと思います。店での対応も物件の公開もすべて店長の判断によるため、いい加減な態度を許すとたちまち業界全体の質を下げてしまいます。判断基準のものさしを、お客様に喜んでもらうことに据え置けば、この判断基準が悪い方に流れることはありません。哲学と実務能力のバランスが取れてこそ、魅力ある接客サービスが出来るのです」

 4つ目が加盟店支援サービス。取引法人数640社、提携法人数209社を誇るアパマンショップのネットワークによって、毎年多くの入居者を加盟店に紹介している。


日本最大級のデータベースで情報を一元化

経営者は最低18時間働かなければならない

 大村が不動産業の扉を開いたのは、中学生の時である。元々子供の頃から不動産に興味を抱いていた大村は、中学校2年生の頃に建築現場に顔を出しては手伝っていた。大村の父親は「会社で働いて、働いて、後は見事倒れてそこで死になさい」と指導していた。「仕事をしてそこで死ぬのが当たり前だと言っていました。たまに『倒れるまで働いたか』と聞かれて、『倒れていない』と答えるとひっぱたかれました。昔の仕事は身の危険になることが多かったので、それを考えると今のビジネスは優しいものです」

 大村が出社するのは朝5時だ。東京駅前の本社までは自宅から徒歩1分のため、目覚めてから20分後には会社の席に座っている。まずメールのチェックを済ませると、約20年続けている会社周辺の掃除を始める。5年前、ある情報誌から日本で一番働く社長ランキングという紹介があった時、上位の日本電産社長の永守重信、CoCo壱番屋創業者の宗次徳二を抑えて1位に選ばれたのが大村だった。

 8時になると仕事の手を一旦休ませ、近くのトレーニングセンターでジョギングを行う。トレーニングが終われば、シャワーを浴びて、朝ごはんを食べ、また始業時間の9時から仕事する。出張も多く、毎月のスケジュールの3分の2は全国を飛び回っている。「昨日は朝早くから仕事をして、お昼に飛行機へ飛び乗り、1時から6時まで勉強会を行い、その後親睦会に参加してきました。帰ってきたのは夜ですが、ジョギングや仕事をしてから寝る感じですね。土日も関係ありません。若い頃は大体4時間睡眠ですが、最近は5時間寝ています。といいながら、今週はほとんど2時間しか寝ていません。社員に強要してはいけませんが、少なくても経営陣は一身を捨てて仕事をしなければなりません。最低18時間働くのが、経営者としては普通だと思います。日本は休みが多すぎます。年に3日あれば十分ではないでしょうか」と大村は笑顔で話す。



業界の質的向上に貢献したい

 サブプライムローンを発端に、不動産業界は苦境が続いている。それはアパマンショップも例外ではない。08年9月期は売上高592億1800万円、経常利益4億2100万円、当期純損失70億3300万円と赤字に転落している。販売用不動産等の時価が著しく下落し、評価損を計上したのが原因だ。だが、今期は本業の賃貸斡旋事業が無事回復してきている。09年9月期は売上高525億円、経常利益6億円、当期純利益6億円と黒字を確保する予定だ。

 大村は今、利用者への情報提供の質的向上を目指している。「業界全体として、利用者から全面的な信頼をまだ得ていない一番の問題は情報開示です。例えば、実際に住んでみたら予想以上に建物が老朽化していて隙間風が入ってきたり、隣の住人がうるさいなど、生活に関連する問題は非常に多いです。だからこそ、我々が情報を正確に開示することが必要だと思います。ウェブ・対面接客を問わず、値段が安いのはこういう理由がありますと、マイナスの情報も正確に説明することを徹底しなければなりません」

 また、敷金・礼金は地域によって慣習が違うため、問題の種となりやすい。全国的には、礼金をもらってないケースの方が圧倒的に多いが、敷金はデポジットと捉えられているため、大半のケースで認められている。敷金について、北海道では0~1万円、大阪では4~5万円、九州では3万円程度と大分開きがあり、統一が図られていない。

「こういった領域は、法も含めて整備することが望ましいです。法人であれば、良くも悪くも契約書通りなので、問題になるケースは極めて少ない。しかし、個人のお客様にとって書面以上に重要になるのが、洩れなく説明義務を果たしたかどうかです。この一点に尽きます。それでも問題が発生すれば、基本的には消費者保護を優先すべきです」

 なぜ、大村はそこまで仕事へ熱中するのか。大村が抱くのは、仕事を通じて日本の国益に貢献したいという強い思いだ。

「仕事が大好きです。これ以上楽しいことは有りません。それに、業界全体の質を良くしたいという使命感と、社員の生活を守りたいという責任感があります。FC合わせてグループ全体で1万人以上が働いている今、トップである私が誰よりも働くのは当然です。私は子供の頃、筑豊炭田で父親たちが働いていた様を見ていました。ピッケルを持って石炭を掘ることを毎日繰り返し、時には落盤で命を落としてしまいます。それと比べれば、何十時間働き続けようと、たいしたことではありません」




会社概要

社名:株式会社アパマンショップホールディングス
創業:1999年10月20日
資本金:55億5606万3070円(2008年11月30日現在)
本社所在地:東京都中央区京橋1丁目1番5号セントラルビル
取扱証券取引所:大阪証券取引所(ヘラクレス)



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