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トピックス -企業家倶楽部

2017年05月19日

志授業と草莽崛起/臥龍こと角田識之

企業家倶楽部2017年6月号 伸びる企業家は歴史や偉人に学ぶ vol.4





 現代は国難期と呼んでもいいくらいに、厳しい局面です。内憂外患、急激に進む少子高齢化による国力低下と米中露の大国綱引きの中で不安定化する東アジア情勢の狭間で、日本丸は浸水の危機に瀕しています。幕末の植民地化の危機という第一の国難期を打開したのは、坂本龍馬や高杉晋作や西郷隆盛など、昨日までは無名だった若者たちでした。敗戦の焼け野原という第二の国難期を打開したのも、松下幸之助、本田宗一郎、盛田昭夫など、昨日までは無名だった青年実業家たちでした。今回の第三の国難期に、果たして「志士予備群」は用意されているのでしょうか?

 日本史の中で、最も「志士予備群」を育成した人物として名前が上がるのが、吉田松陰先生でしょう。松陰先生が、叔父の玉木文之進から引き継いだ松下村塾は、「志塾」と呼ぶべき教育機関でした。何しろたった一年半、約80名の塾生を教える中から、総理大臣二名、国務大臣四名、大学創設者二名をはじめ、実に数々の志士を輩出しました。

 その教育の本質は、「志育」です。知育・何のために学ぶのか?体育・何のために身体を鍛えるのか?徳育・何のために心を磨くのか?それは「志」を遂げるためであるという「志育」を軸にしていました。松下村塾の近くには、藩校・明倫館がありました。上士の子息というエリート達が通いながら、幕末の志士はほとんど誕生していません。それは、何のために学ぶかという目的が欠如していたからですが、これは現代でも同様です。

 ある新聞に、大学と企業が必要と考える人物像が載っていましたが、共に二位が「志」、一位が「挑戦」です。そして、これを備えた人物育成のキーワードも、大学と企業で「主体性」と一致していました。ところが、それらが出来ているかという問いかけに対して、大学の78%が「出来ている」、受け入れる企業の実に85%が「不満」、ここで大きなギャップが現れます。企業側では、「大学でのキャリア教育が、採用面接対策や就職に有利な資格取得に偏っている」と見ています。つまり大学に「志塾」要素が欠如し、ゴール設定が「内定」なのです。大学生の三年内離職率は約35%、三人に一人ですが、問題はその理由です。天職を求めての就職ではなく、親や友達に格好のつく会社に入る就社、つまり「内定」がゴールだったということです。大学も大学生も親も「就社」がゴール、ここに大きな課題があります。「志を立てて、以て万物の源となす」(松陰先生の言葉)つまり、志が明確になることが、人生の源流点なのですが、それが立っていないから、意欲が枯れていくのです。

 臥龍と同志でこの10年間、小中学生の立志を支援する「志授業」の出前授業を行い、約二万人の子どもたちに届けてきましたが、それはある意味、子どもたちを子ども扱いする親や教師の偏見や固定概念との戦いでした。「小中学生には、志や偉人の話は難しい、90分の授業は無理、社会人としての自分を想像する力はない」と言われ続けました。しかし私たちは、「子どもたちは未来からの使者、子ども達の可能性を信じましょう」と譲りません。これは、松陰先生の「草莽崛起(そうもうくっき)」の想いに通じます。松陰先生は、「この国難期に当たり、古い制度や慣習に囚われた幕府や諸侯では頼りにならない。志を持った民、すなわち草莽が一斉に蜂起するしかない」と記しています。武士は勿論のことだが、志さえ持っていれば、身分や職業に囚われないで共に学び、共に時代や社会のお役に立とうという想いです。「志授業」の中では、南米に伝わる「クリキンディ」という名のはちどりのお話をします。落雷でもあったのか、森が火事となります。瞬く間に広がる火災の中、焼け死んでは大変と、動物たちが逃げまどいます。やれやれと見上げた空に、一羽のはちどりが行ったり来たりを繰り返しています。見ると、水辺に降りては小さなくちばしに水を含み、燃え盛る森の上からポトリと一滴を落とします。それを見た動物たちは、「そんなことして、何になるんだ」と笑います。しかし、クリキンディという名のはちどりは、「私は私に出来ることをしているの」と、毅然と応えます。それを聞いた動物たちは、「火は消せないかもしれないが、皆で力を合わせれば、延焼を防ぐ溝は掘れるかもしれない」と火事に立ち向かっていきます。

 クリキンディの「私は私に出来ることをしているの」は、子どもたちに大きな感動を与えます。そこで臥龍は、「大きな問題が問題ではないのだ。大きな問題の前に、無力感で立ち止まってしまうことが問題なのだ。君たちは無力ではない。微力はある。一人ひとりが微力の一滴を絞り出せば、それが集まり、いつか時代や社会を動かす大河となる。かつての偉人のように、君たちが、この時代や社会を切り拓くクリキンディなのだ」と、子どもたちの背中を押しています。

 七年前に、臥龍の「志授業」を受けた小学六年生のA君が、図のような「お役立ち山」を描き、子ども達の志の発表大会である「立志フォーラム」で、熱く発表してくれました。彼の素晴らしい点は、総理大臣になるのがゴールではなく、日本を世界一幸せな国にするために、政治をよくすることが目的だということです。彼の発表で印象的だったのは、「クリキンディのように、誰に何と言われようが、諦めないで自分の志を貫きます」の一言でした。想像ですが、彼が「総理大臣」と言ったとき、多くの嘲笑を受けたのではないでしょうか?聞いたのが松陰先生であれば、「素晴らしい志だ。君なら出来る!」と励ましたはずです。




  三月にアメリカで初の「志授業」を実施しました。対象は、アメリカ長期駐在者の子ども達でした。二時間半の授業を集中して聞き、感想文を猛烈な勢いで書く姿に、教師や保護者は驚愕していました。その帰国の機内で、ある雑誌を手に取った臥龍は、思わず落涙しました。そこには、東大合格生へのアンケートが掲載され、A君の「総理大臣になる」の一文が目に飛び込んできたからです。彼は、この七年間、素志貫徹、ぶれない生き様を貫いてくれていたんだと知ったとき、日頃の苦労が吹き飛びました。

 実はA君以外にも多くの子ども達が素志を貫き、医師や弁護士など自分の夢を叶えています。「立志フォーラム」の場に付き添ってきた保護者が口を揃え、「臥龍先生、ありがたいことに、子どもが立志した後は、“ 勉強しなさい”という必要がなくなった」とおっしゃいます。自らの「お役立ち山」が明確になった子どもたちは、自分で登山道を見つけ、知育・体育・徳育の準備に入ります。松陰先生亡き後も、松下村塾の出身者が我が道を貫いたのも、主体性があったからです。

 閉塞感あふれる日本、規制や慣習を打破し、希望ある未来を創造する「草莽崛起のベンチャー事業家」が多数出現し、第三の国難期を力強く乗り越えていくことを、日本の先人は望んでいます。そして、成功の社会還元の一つとして、小中学生の立志支援を行う「志授業」の普及をご支援いただくことも、先人から託された恩送り事業と信じます。是非、インターネットで「志授業」と検索し、クリキンディ精神でのご支援をいただければ、望外の幸せです。



Profile

臥龍(がりゅう:wolong ウォロン)こと角田識之(すみだのりゆき Sumida Noriyuki)

APRA(エープラ)議長&一般社団法人「志授業」推進協議会・理事長

「坂の上の雲」の故郷、愛媛県・松山市生まれ。23歳のときに「竜馬がゆく」を読み、「世界の海援隊」を創ることを志す。人の幸福を主軸とする「人本主義思想」の素晴らしさを経営の場で実証推進する和僑(日本)と華僑(台湾・上海)合同の勉強会「APRA(エープラ)」を設立し、日本全国そしてアジア太平洋各国を東奔西走中。最近では、一般社団法人「志授業」推進協議会の理事長として、小中学生の大志確立を支援する「志授業」の普及、民族肯定観を上げるための「歴史・偉人」の講話にも注力中。詳細は「志授業」でご検索ください。



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