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トピックス -企業家倶楽部

2017年05月22日

人々の生活に必要な製品を開発したい/テクノシステム代表取締役社長 生田尚之 

企業家倶楽部2017年6月号 フォーカスチャレンジングカンパニー




ポンプの技術力が強み

「世界にはまだ慢性的な水不足や、不衛生な水しかないことが原因で、人が命を落としている国が存在する。自分の強みであるポンプの技術力を使って問題を解決したい」と、テクノシステム社長の生田尚之は熱く語る。

 水の豊かな日本で生活をしていると信じられないが、安全な水が得れずに普通の生活が困難な国はまだ多くある。そんな現実を知り、人々の安全な生活を支える社会貢献度の高い事業をするため、生田は2009年に開発型ベンチャーを起業した。

 初めに手掛けたのが、海水や泥水を飲水に変えるウォーターシステム事業である。人間の体で言うと心臓の役目を果たすポンプで泥水を吸い上げ、圧力を掛けて浸透膜に通すと、不純物が除かれて飲用水が出来る。海水も同様にRO膜(逆浸透膜)というフィルターを通すと、主成分であるナトリウムイオンを取り除くことができ、淡水化が可能になるという仕組みだ。

 テクノシステムの特徴は、超微細な孔を通すことで水に含まれる細菌や不純物を取り除き、飲用可能な水を作り出す工程を小型化した装置で、太陽光や風力といった省エネルギーで動かすことが出来る点にある。


ポンプの技術力が強み

震災時に活躍する製品

 小型化のきっかけになったのは、2011年3月11日に起こった東日本大震災である。生田が最初に開発した淡水化装置はコンテナ型で大きかった。自治体から災害対策用の緊急給水システムの要望があったため、車両積載が可能な小型化を進め、トラックサイズの自走式にした。さらに太陽光パネルや風力発電を浄水装置と組み合わせ、無電源状態の被災地に駆け付けることが出来るようにした。

 現在ではさらに小型化に成功し、スーツケースサイズのものもある。このサイズであれば、道が寸断されていても人さえ歩ければ被災地まで届けることが出来る。災害時に緊急避難所に指定された学校などで、近くの海や河川、プールの水から1日2トンの飲用水を作ることが可能で、水や電気などのライフラインが復旧していない地域でも、素早く支援活動が出来るようになった。

「淡水化装置は必要とする水の量によってサイズを変えられる。工場用の大型のものから中型の家庭用、非常時に使用する小型のものまで幅広く作れるのが弊社の強みです」

 実は生田の父親も根っからの技術屋タイプの経営者で、新製品の研究開発に没頭する背中を見て育った。研究開発に熱が入る性格は父親から受け継いだ。


震災時に活躍する製品

「水」から「食」へ

「水は人々の生活に欠かせないが、食もまた欠かせない重要なものです」と生田は話す。海水から飲用水を作るウォーターサーバー事業が立ち上がると、生田が次に手掛けたのがフードサーバー事業だ。淡水化装置と同様に強みとするポンプの技術力を応用し、フード事業用に開発したのが主力製品「デリシャスサーバー」である。

 特徴は、誰でもボタン一つ押すだけで、温かいスープやカレーなど、設定した一定量を定温かつ均一に盛り付けることが出来る。保温ジャーは密封されており、酸化を防ぎ、衛生的だ。電気代は一日8時間使用しても30円程度と省電力で済む。オペレーションを簡素化でき、厨房も不要になるため、人件費・設備費・光熱費のコストカットが図れ、現在ではアミューズメントパークや大学の食堂、外食チェーン店、コンビニエンスストアなどで導入が進んでいる。

 人々の生活に必要とされる「水」と「食」を事業の柱にし、研究開発型のベンチャーとして順調に業績を伸ばしてきた。2016年11月期は、売上げ105億3205万円、経常利益8億2598万円となり、株式上場も視野に入れる。


「水」から「食」へ

課題に直面し開発魂に火がつく

 カレーやクラムチャウダーの具材を均等に撹拌するのは人の手を使っても難しい。それを自動化するとなるとさらにハードルは高くなる。生田は装置に使う金属の素材を変えたり、構造に改良を加えたりすることで最適化していく。課題があればそれを解決する、根っからの研究開発が好きな技術者の顔を持つ。

 食材を保温しておくジャーの中には、縦に2層になった羽のある回転軸が入っている。その向きを調整することで、具材を撹拌しながら、ボタンが押された数秒の間にポンプは設定された1人前の分量だけ取り出さなければならない。そして、もうひとつ大きな課題は、このフードサーバーの製造コストである。利益を確保するためには技術者だけの視点ではなく、経営者の視点も必要となるのだ。

 2016年4月に熊本で大きな地震があった。以前から食材の商談で熊本と縁があった生田は他人事とは思えず、すぐさま支援に乗り出した。体育館で避難生活を続ける被災者に温かい食事を提供したいと考え、大型トラックに物資と自社のフードサーバーを積み込み、地震直後に被災地入りした。社員とともに温かいカレーやパスタを3000食、炊き出し支援を行った。

「自社開発の淡水化装置とフードサーバーに太陽光パネルや風力発電を組み合わせると災害対策用トラックの開発が可能」と生田は語る。社会貢献度の高い事業を今後も続けていきたいと高い志を語るテクノシステムから目が離せない。

会社概要

会社名:株式会社テクノシステム

所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1横浜ランドマークタワーC棟19階

設立:2009年12月16日

資本金:1億3000万円

事業内容:海水淡水化事業、ウォーターシステム事業、再生可能エネルギー事業



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