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トピックス -企業家倶楽部

2017年07月10日

利益は企業活力の源泉 技術は企業発展の推進力

企業家倶楽部2017年8月号 視点論点


 東芝が苦境に陥っている。企業とはいずれ衰退の道をたどるものだが、目の当たりにするのは忍びない。東芝はこのまま消滅してしまうのだろうか。

 東芝の歴史は日本のエレクトロニクス史そのものであり、テレビなど家電製品から半導体まで作り、日本を代表する企業だった。私が日経の記者時代に赴任していた大分にも半導体工場があり、半導体を実際に見たことがある。優等生だった東芝はなぜ危機に瀕しているのか。今回の騒動を振り返ってみよう。

 2015年12月31日、東芝の子会社であるウェスチングハウス社が原発建設会社のCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社(以下S&W)を買収した。当初の予定では、S&Wは米国での原子炉建設によって年間2000億円の売上げが増加するはずだった。本買収に伴い、105億円ののれんを想定。のれんとは、買取価格が取得純資産の公正価格を超過した金額のことだ。

 しかし約1年後に、突如のれんの計上額が数千億円規模になる可能性が生じたと発表。更に2月14日には6253億円(原子力事業としては計7125億円)ののれんの減損を発表したことで、赤字は1兆円を超す可能性が報道された。東芝は「各事業の収益力は改善している」とコメントしているが、これは日本の事業会社として例を見ないほどの大赤字だ。

 一方、S&Wの識別可能純資産は138億7000万円(16年3月期有価証券報告書より)。「コストの大幅な増加により資産価値が当初の想定を大幅に下回った」とは随分苦しい理由ではないか。東芝の監査を務めるPwCあらたが監査意見を不表明としたのも納得だ。

 監査意見不表明とは、「監査手続が十分行えず、決算書が正しいか分からない」ということ。財務諸表が正しいか判断できないのであれば、その決算書は信頼できない。したがって、上場基準に抵触してしまう。

 決算証明が困難だと判断した東芝は監査人を変更することで調整中だが、東芝の問題はのれんの減損に留まらない。同社は米国のパイプライン会社との間で、パイプラインの利用契約を締結している。契約は19年から20年間にわたり、「一定規模利用すること」が前提で、固定額を支払う義務が生じる。これによる損失計上の可能性は東芝も認めている。

 1年前に医療機器情報部門の東芝メディカルシステムズをキヤノンに売却することで債務超過を回避した東芝。ウェスチングハウス社を連結子会社から切り離しただけでは補いきれないので、今回も半導体事業の売却によって乗り切ろうとしているが、一時的にバランスシート上の辻褄が合うだけに過ぎない。

 会社として根本的な解決をしなければならない。危機にこそ経営者の強いリーダーシップが必要だ。やみくもに稼ぎ頭を手放すことで凌いでいるだけでは、未来はないだろう。

 東芝は軍需や高度経済成長の後押しもあり、急成長を続けてきた。それは確かな技術力に裏付けされた結果であり、技術こそが資産だった。「利益は企業活力の源泉、技術は企業発展の推進力」という考えの下、オイルショックの不況も乗り越えた。その後も将来の糧となる研究を加速させ、世界初、日本初となる技術を多々世の中に送り出すこととなる。

 経済団体連合会会長を務めた石坂泰三氏、土光敏夫氏、日本たばこ産業(JT)の初代会長を務めた岩田弐夫氏ら名物社長を輩出した東芝がなくなってしまうのは寂しいことだ。関連会社への影響も計り知れない。現社長を務める綱川智氏は新卒で東芝に入社した叩き上げの社長。営業畑から東芝メディカルシステムズの社長に登りつめた男である。今後の綱川社長の手腕に期待しよう。(T)



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