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トピックス -企業家倶楽部

2017年07月14日

龍馬の交渉術と現代の薩長同盟/APRA議長 臥龍こと角田識之

企業家倶楽部2017年8月号 伸びる企業家は歴史や偉人に学ぶ vol.4





 日本人の好きな偉人で、必ず上位に入る一人が坂本龍馬。人間は、自分にない魅力の人物に惹かれます。坂本龍馬や織田信長が日本人に人気なのは、コツコツとルーティンを繰り返す農耕民族にない魅力、いわば狩猟民族のような発想と行動力に惹かれるからです。

 土佐(今の高知県)出身の一介の剣術修行者であった龍馬が、志に目覚めたのは、19才の時に見た黒船の衝撃からでした。日本に植民地化の危機が迫っている。今は国難期との自覚でした。夢・目標は自分の中から湧き出るやりたいもの、志・使命感は、時代や社会の希望に応えてやるべきものです。志士・龍馬の誕生です。現代も、幕末に匹敵する国難期です。企業家の志が求められています。

 26才になった龍馬は、閉鎖的な土佐藩から脱藩し、浪人となります。浪人龍馬が成しえた大事業の一つが、薩摩(今の鹿児島県)と長州(今の山口県)の同盟を実現した「薩長同盟」です。これを現代に置き換えれば、脱サラした青年が、トヨタとパナソニックの提携をまとめるような話です。この不可能を可能にした龍馬の魅力、龍馬流交渉術とは何だったのでしょうか?幾つかのポイントを挙げてみます。




(1)最大の武器は「大局観」や「国家観」

 金儲けは、結局は人儲けといわれます。龍馬は、時のキーパーソンを発見するアンテナが鋭く、またその懐に大胆に飛び込み、かつ好かれます。可愛がられます。なんともいえない愛嬌があったようです。若き企業家にとって、「じじころがし」が、一種の誉め言葉であるのと同様です。

 龍馬がまず飛び込んだキーパーソンが勝海舟でした。幕府の要職にありながら、海舟はざっくばらんでした。「世界に目を向けよ」。この時代、人々における国とは「藩」でした。海舟が龍馬に与えた最大の武器は、「藩視点」を超えた「日本国視点」、つまり「大局観」や「国家観」でした。投資家を動かすプレゼンテーションには、企業家の独自の視点が必ずあります。

(2)「やるしかない」という発想

 当時、薩摩一藩、長州一藩では、幕府に対抗できませんでした。幕府を倒し、日本を植民地化から守るには、薩摩と長州が一緒になればいい。これは多くの有識者の知るところでしたが、その同盟は不可能と決めつけていました。それほど薩長は「犬猿の仲」でした。路上で会えば、斬り合いが始まってもおかしくないほどでした。しかし龍馬は、「できるできない」ではなく「やるしかない」と考えた好漢でした。固定概念を持たないで、あるべき姿から発想できるのも、企業家の条件です。

 龍馬は、勝海舟の紹介で、数々のキーパーソンに逢っていきます。薩摩の中心人物の一人、西郷隆盛、長州の中心人物の一人、桂小五郎でした。龍馬は、藩と藩との同盟とはいえ、最後は人物と人物との信頼と合意であると考えたのです。この当たりが、金儲けではなく人儲けの所以です。

(3)既成事実を創る

 龍馬は、本家筋が商人ということもあり、武士からぬ発想に出ます。それが長崎につくった日本初の会社といわれる亀山社中であり、後の海援隊でした。この会社は、海軍養成所という学校と貿易商社が一緒になった「軍学産共同体」でした。構成員も脱藩のものが多く、縛りのない行動力が魅力でした。

 龍馬は、薩長和解のためには、理屈よりも既成事実つくりが重要と考えます。その代表が、薩摩から長州に贈った鉄砲購入の代理権でした。当時、幕府に睨まれていた長州は、大っぴらに外国からの武器購入が出来ませんでした。これを、龍馬が仲介したのです。ついで、薩摩に不足していた兵糧米を長州から薩摩に贈らせます。こういう既成事実が、徐々に薩長同盟の下地となっていきます。お互いにメリットのある既成事実を創る。これも、企業家の条件でしょう。







4)独自のポジショニング

 浪人である龍馬には、西郷や桂が持つような軍事力や財力はありませんでした。しかし、彼らになかったものを有していました。それは、海舟譲りの「日本国視点」でした。西郷や桂は藩を背負っているので、往々にして「藩視点」になりがちです。龍馬に会うことで、藩を超えた国視点、国あっての藩だということに気づかされます。これによって、過去の遺恨を乗り越える道が選択できたのです。

 龍馬たち海援隊には、脱藩浪士としての機動力以外にも、土佐人の明るさという武器がありました。薩摩人は西郷に代表される寡黙タイプ、長州人は桂に代表される理論派で饒舌タイプ、合わないのです。そこの潤滑油になったのが、土佐人の明るさだったのです。小が大に勝つといわれますが、実際には、大にはない独自の魅力を発揮するから市場でのポジションを確保できるのです。

 臥龍自身も、一種の現代の薩長同盟を多数まとめた経験があります。それが、「兄弟企業縁組」です。まるで兄弟のような固い契りを交わし、とことん本音で付き合う、そして真摯に助け合う企業縁組を仲人するのです。

 その代表例が、2012年9月15日に交わした、日本を代表する外食産業・物語コーポレーションと、中国を代表する外食産業・上海一茶一坐の兄弟企業縁組でした。両社に縁ある臥龍は、その企業文化の本質に「人本主義・ヒューマンスタンダード」という共通項があることを知りました。

 兄弟企業縁組の10年前に、先ず行ったことは、それぞれのトップの顔合わせでした。思想が同じなので、予想通りの意気投合する出会いとなりました。次いで、台湾から中国本土に進出し、多店舗展開に入った上海一茶一坐の幹部リーダーを来日させ、物語コーポレーションで学習させました。業態開発と人財開発の両面から、物語コーポレーションは、惜しみなくノウハウを公開しました。これがないと、上海一茶一坐の急展開は、絶対にあり得ませんでした。

 そして、物語コーポレーションは、満を持して11年から中国展開に入ります。事務所は、上海一茶一坐の本社の中です。そして、中国における店舗開発、人財の採用と育成、行政との付き合い方など、今度は、上海一茶一坐が全てを物語コーポレーションに注入していきます。流石の物語コーポレーションでも、このノウハウ注入がなかったら、苦労の度合いは倍化したであろうと予想されます。まさに兄弟の付き合いです。そして、頃合いを見た臥龍は、12年9月15日、大阪にて500名の立ち会いの元、両社の兄弟企業縁組を仲人しました。

 今後、ますます日本企業の海外展開は加速していきます。臥龍がお勧めするプランの一つが、トップ同士の事業観や人間観が合う兄弟探しです。その中でも、格別の親日国である台湾企業家とのパートナーシップをお勧めしています。台湾に兄弟をつくり、スクラムを組んで海外市場を開拓する。これは検討に値する「人儲け戦略」だと思います。この出会いを、臥龍が主宰する日本と台湾と上海での人本主義思想を実践する経営者勉強会であるAPRA(エープラ)と企業家倶楽部のスクラムでご支援できたらと考えています。



Profile

臥龍(がりゅう:wolong ウォロン)こと角田識之(すみだのりゆき Sumida Noriyuki)

APRA(エープラ)議長&一般社団法人「志授業」推進協議会・理事長

「坂の上の雲」の故郷、愛媛県・松山市生まれ。23歳のときに「竜馬がゆく」を読み、「世界の海援隊」を創ることを志す。人の幸福を主軸とする「人本主義思想」の素晴らしさを経営の場で実証推進する和僑(日本)と華僑(台湾・上海)合同の勉強会「APRA(エープラ)」を設立し、日本全国そしてアジア太平洋各国を東奔西走中。最近では、一般社団法人「志授業」推進協議会の理事長として、小中学生の大志確立を支援する「志授業」の普及、民族肯定観を上げるための「歴史・偉人」の講話にも注力中。詳細は「志授業」でご検索ください。



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