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2017年08月15日

ICOがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!ブロックチェーン・トークン発行経済/日本テクノロジーベンチャーパートナーズ投資事業組合代表 村口和孝

企業家倶楽部2017年10月号 日の丸キャピタリスト風雲録 vol.57


村口和孝 《むらぐち かずたか》

日本テクノロジーベンチャーパートナーズ投資事業組合代 表 

 1958年徳島生まれ。慶應大学経済学部卒。84年ジャフコ入社。98年独立、日本初の独立個人投資事業有限責任投資事業組合設立。06年ふるさと納税提唱。07年慶應ビジネススクール非常勤講師。社会貢献活動で、青少年起業体験プログラムを、品川女子学院、JPX等で開催。投資先にDeNA、ジャパンケーブルキャスト、テックビューロ等がある。



ICOがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

 クラシック音楽がまじめな教養の常識であった時代に、1966年6月29日、ビートルズは日本にやってきた。それが日本のロック音楽の幕開けだった。武道館での前座を何とお笑いのドリフターズが務めたことは有名な話だ。(その頃、 A Hard Day's Nightを「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」と邦訳した。)

 大音響でエレキギター鳴らすロックバンドに観客が熱狂する武道館の前で、右翼はビートルズが武道を汚すと、マイクで出て行けコールを繰り返した。ロックは、当時、不良の音楽と決めつけられていた。それでも多くの人がビートルズの訪日の中に、日本の未来の進むべき方向を見出し、ロック音楽の分野に留まらず、当時の若者たちが様々な新しい挑戦をして日本の発展をリードした。あれから既に50年が経った。矢沢永吉もサザンオールスターズもいい歳になったが、いま日本でロックが不良だという人はいない。時代は変わったのだ。

 新規上場を意味するIPOをクラシック音楽に例えれば、ICOはエレキギターのロック音楽に例えられるだろう。IPOは、発行体が株式への増資を通じで、事業の立ち上げへの資金調達を実現し、株主総会という20世紀風の会議でガバナンスを実現する。その株式も最近、GoogleやFacebookがそうであるように、株式そのものの持つ買収危険性などから、議決権劣後株の上場が増えた。日本でもサイバーダインが実行した。

 ICOによる資金調達方法は革命的で、「バイオリンが、発行体が発行する株」だとすると「ネット上のブロックチェーンで記録された電子トークンはITが必要なエレキギター」で、そもそも議決権などない。ICOによるトークンの売り出しは、まさに不良のロック音楽なのだ。



仮想通貨の時代

 2009年に運用を始めたビットコイン相場が今年(17年)に入ってブレイクしてきている。パブリックルールによって運営されているブロックチェーンの分岐問題が話題になって下がったけれど、一瞬ですぐに相場は回復した。市場が巨大化しているのだ。数年前まで、途中いろいろな議論があってネガティブなことを言う人が多かったけれど、17年現在、仮想通貨の普及は常識となり、いわゆる、キャズムを越えつつある。ビットコイン以外に、MONAやXEMなど仮想通貨も今やポピュラーだ。既にネット上に仮想通貨取引所がいくつもあり、テックビューロ社(朝山貴生社長)は、Zaifを提供して、多くの仮想通貨やトークンを取り扱っている。(17年4月施行の改正資金決済法上の仮想通貨交換業として登録申請中)

 現在、日本政府もフィンテック産業振興の名のもとに日本の成長産業にしようと動き始め、さらに今や、銀行証券など古い金融業界の構造すら根本から変えてしまうかもしれないと予想する専門家が少なくない。何たって振込手数料がパケット代だけになってしまうかも知れないのだから。電報ハガキ郵便事業が電子メールの登場でガタガタになってしまったのとデジャブである。振込手数料がなくなったら銀行事業は大打撃で、ATMサービスも維持できなくなり、駅前の景色が変わる危険性すらある。ただ、金融の世界はエリート層の就業人口が多く、特に日本では高給で終身雇用で、文系エリートが就職する人気上位業界が長年続いたため、今さら構造を変えないでよ、という古い業界人の恨み節も聞こえてくる。


仮想通貨の時代

ブロックチェーン時代

  暗号通貨ビットコインの技術的なベースとなっている、「ブロックチェーン」(ピア2ピアの履歴記録の分散処理技術)の可能性が注目を浴びている。ブロックチェーンは単にビットコインの基盤技術であるだけでなく、様々な分散システムによるデータ履歴記録方式として、応用が提案され、世界各国で実験されつつある。特にパブリックな仮想通貨的な使われ方と異なり、プライベートなブロックチェーンの応用も研究が進み、実験が進んでいる。

 例えば、日本のテックビューロ社は、mijinというプライベートブロックチェーンを構築運用できるプラットホームを提供し採用が続いている。例えばベルギーのアントワープ市が進めるデジタル行政システムとして、住民データの改変不可能な、消えない、ローコストのブロックチェーンを応用したmijinシステムの試験導入を決めている。ほかにも、テックビューロ社は数百の事例を誇り、事例はますます増加している。またテックビューロ朝山社長が代表副理事を務めるブロックチェーン推進協会(BCCC、平野洋一郎代表理事)には、多くの会員が集まって、活発に普及活動が議論されている。



急成長のICOとは

 ICOとは、取引と保有者の移転を確実に記録する方法を基盤として、発行体がデジタル・トークンを、インターネット上で同時に世界中で販売し、資金を集める方法だ。変更不能で履歴が間違いなく残るブロックチェーン技術を使う。発行されたトークンは、ネット上のトークン取引所(Zaif等)で上場して取引される。トークンの購買者は、ICO後取引所で売買されて形成された相場によって、値上がり期待もあれば、すぐ仮想通貨等に換金も期待できる。(私も自分のVALUを売り出して体験中だが、VALUの法人版がICOと言える。VALUは個人向けの面白いサービスで、ICOによって何が起こるのか、体験的に学ぶことが出来る。)

 日本は歴史的に大衆投資先進国であり、素質としてICO大国になり得る。なおICO世界市場は17年前半だけでも、1.2億ドルに達し、VC投資額を超え、世界でICOが急成長を始めている。ただその内容は、玉石混交と言われ、詐欺的なものも含まれていると見られている。

 それでは法整備と言う事になるが、デジタルトークンをトレーディングカード(例えばポケモンのレアカード)のように発行しているだけなので、規制が難しい。そこを規制すると、従来の質屋や中古品店や切手古銭屋など、何もできなくなってしまうからだ。また、法整備しようにも、ICOは基本的にネット上で、すなわちグローバルに売買がされるため、ある国だけの法整備が非常に困難だ。ただ、各国の従来の金融商品取引法などの法律がどう扱うかについては、17年7月、アメリカ等で、あるトークンの発行が有価証券とみなされ法規制に引っかかる事例が出はじめた。これは全面規制ではなく、徐々に法律による規制適用の線引きが明らかになって来た、ということだ。詐欺的ICOは規制淘汰されるだろうが、まともなICOが、ちゃんと合法的に実行出来る社会的な環境が徐々に整いつつある。なお、ICOの発行体の収入には税金がかかるので、課税関係にも注意が必要だ。

 一方スタートアップの株式投資を業とするVCのビジネスを、ICOが置き換えられるという見方もあるが、それは暴論で、クラシック音楽が全てロック音楽になると言っているようなもので、そうはならないだろう。


急成長のICOとは

ICOトークンの設計ポイント

 会社が発行するトークンは、有価証券でなく、前払い支払手段とみなされないように設計が必要で、そうしないと、金融商品取引法や資金決済法をはじめとする法律の制約を受ける。法的制約に注意しつつ、ICO用のトークンは、やはり資金調達の本質からして、「事業の発展のエコシステムに寄与する設計」が重要。つまり、トークン発行によって事業に関連する社会貢献活動(例えば水の会社であれば天然水源の保全など)や、トークンによる割引権(例えばマイレージカードのような特別サービスや商品購入時の割引特典)が設計される。

 さらに、トークンの保有者にとって重要なことは、IPOの世界の自社株買いに等しい「Burnするルール」を導入する。あるICOで行った事業から生じた成果に対して、ルールに基づいて市場から発行済トークンを買入消却するのだ。発行済トークン量が、自社株買い同様減ることによって、トークン相場が強気になることが期待される仕組みだ。(顧客百万人達成バーンとか)

 Burn以外にも、「リフェラル・ボーナス」と言って、ICOがネット上拡散する貢献をした者にトークンを一定量配布するプログラムや、ICO成功に貢献した者に配布するルールを設け得る。そこでは、ICO成功と、その後の発行体の「経営・経済活動の成功に基づくトークンの配布ルールの公平性が、極めて重要」になる。



便利なCOMSAがやって来る!

 ICOを発行体が実現するには、「制度制約確認→ICO設計→事前準備ホワイトペーパー作成→ICO→プレセール→トークン市場上場→トークン活用→価値最大化」という作業の実行が求められ、英語化も必要で、結構面倒だ。それを、一つのパッケージにしたグローバルなサービスが、日本からリリースされた。それが、テックビューロ社のICOプラットホームCOMSAだ。  

 第一弾として、テックビューロ社自身が、COMSAトークンを発行すべく、17年10月ICO実行を計画しており、すでにトークンセールス開始の案内が始まり人気となっている。第二弾として、11月には、東証二部上場企業のプレミアムウォーターホールディングス(萩尾社長)が、水をテーマにCOMSAで上場会社初のICOを検討・準備している。上場会社が、ICOをするのだ。株価に影響がどうか、また決算や監査、開示との関係など、注目を集めている。その後、第三弾として、クラウドファンディングのCAMPFIRE(家入社長)が年内のICOを検討中だ。

 日本から世界に通用するICOプラットホームCOMSAが誕生することで、従来のベートーベンのIPOの景色が一新し、いずれICOからエルビスプレスリーやビートルズ、マイケルジャクソンが登場するのを人類は経験することになるだろう。17年後半、ICOの動向から目が離せない!



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