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トピックス -企業家倶楽部

2017年09月11日

リスクを取って突き進むのがベンチャーである

企業家倶楽部2017年10月号 第19回企業家賞 シンポジウム


第19回企業家賞受賞者によるシンポジウムが開催された。登壇したのは、クリーク・アンド・リバー社の井川社長、メディアドゥの藤田社長、リネットジャパングループの黒田社長、農業総合研究所の及川社長、MUJINの滝野CEO。進行役にはブロードバンドタワーの藤原洋会長を迎え、5人の企業家が革新的な事業内容や危機突破のストーリーについて熱く語った。

■進行

ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長 CEO 藤原 洋(ふじわら・ひろし)

■シンポジウムの模様は、Web ページ「企業家倶楽部」内の「企業家チャンネル」でご覧いただけます。




藤原 まずは事業内容についてお話し下さい。

井川 私達は、クリエイターや弁護士、建築家、医師などフリーランスで活動する方々のエージェンシー業務を中心に行っています。能力のある方たちを組織としてサポートし、きちんとした業務に携われるようなネットワークを構築しています。

 私は起業する以前、フリーランスでドキュメンタリー番組のディレクターとして働いていました。その折に感じていた「こういうサービスがあったらいいな」という想いを元に、29歳で会社を興しました。

藤原 個人事業主だったご自身の経験を活かして起業されたのですね。それでは次に藤田さん、お聞かせください。

藤田 私は元より企業に就職する考えが無く、自分を成長させるために米国留学を考えていました。しかし、留学資金を集めるために始めた事業をそのまま続けた方がより成長できるのではないかと考え、大学を卒業した翌月、現在の会社を設立しました。

 現在は電子書籍の流通事業を中心に行っています。各出版社から電子書籍コンテンツを仕入れ、アマゾンのキンドルや楽天のKobo、LINEマンガなどの電子書店に卸しています。今年度、売上げは400億円にまで伸びました。今後、人工知能(AI)の導入も検討し、売上げ1000億円、利益100億円を目指しています。

藤原 藤田さんと私は、同じ1996年の創業ですね。年齢は一回り以上違いますが(笑)。続きまして黒田さん、お願い致します。

黒田 弊社では大きく2つの事業を行っております。まず一つは、創業当時から行っている中古本のインターネット販売事業。そしてもう一つが、新たに立ち上げたレアメタルのリサイクル事業です。

 「都市鉱山」という言葉を聞いたことがある方も多いと存じます。日本は資源が無いと言われていますが、これまで作りためられた携帯電話やパソコンなどの製品に眠っているレアメタルの埋蔵量は資源大国並み。これらを掘り起こしていくのが私たちの新事業です。また、東京五輪のメダルを都市鉱山から作るプロジェクトも正式に採択され、全国の自治体と共に取り組んでいます。




藤原 地球環境を考えられた事業ですね。

黒田 弊社の経営理念は、「ビジネスを通じて『偉大な作品』を創る」。弊社では、ビジネスの仕組みのことを「作品」と言っており、収益と社会性を両立するような作品を生み出したいと思っています。都市鉱山のリサイクルはその一つです。

藤原 ありがとうございます。それでは続いて及川さん、お願い致します。

及川 弊社は、和歌山県発の農業ベンチャー企業です。主に、スーパー内に直売所を開設して、これを全国の農家さんに開放していく事業を行っています。私は東京農業大学を卒業後、一般企業に就職し、営業の仕事をしていました。しかし、在学中に抱いていた「衰退していく日本の農業を何とかしたい」という想いが残っていて、妻の実家がある和歌山で起業しました。

 起業に至るまでは、農家として「生産」と、八百屋として「販売」の二つを経験しました。分かったことは、作るのも売るのも大変だということです。農業を変えるには、この二つの境目にある「流通」を変える必要があるのではないかと考え、農業総合研究所を立ち上げました。

藤原 農業への使命感があって、起業されたということですね。では滝野CEOお願い致します。

滝野 弊社は産業用ロボットの脳に当たるロボットコントローラを製作しています。昨今の人手不足もあって、産業用ロボットは注目されていますが、まだまだ活躍できる場所が限られています。ロボット市場を拡大するために、より賢く使いやすいコントローラの開発を進めています。

 私は元々イスラエルの会社に、技術営業として就職しました。自動車や電機のラインを作る地味で油まみれになる仕事でしたが、価値の無い物を加工して価値ある物に変えていくモノづくりの楽しみを実感、この道に進もうと決めました。

藤原 ありがとうございます。受賞者の皆さんがどのような事業を展開していて、どのような経緯で起業されたかお分かりいただけたかと思います。

 それでは次に、「危機突破」についてお伺いしたいと思います。企業経営は、常に順風満帆というわけにはいきません。皆さんはどんなことに苦労され、その壁をどのように乗り越えたのか。まずは井川さんからお聞かせください。

井川 起業してから最初の1年は仕事がほとんど無く、様々なバイトを掛け持ちして食いつないでいました。それから徐々に仕事をいただけるようになり、会社が大きくなればなるほどお金がかかるものだと実感したものです。銀行から1億円を借金した時はドキドキしましたが、開き直りの精神で乗り切りました。

藤原 藤田さんはいかがでしょうか。

藤田 弊社が一番苦労したのは、新しくIT関連事業に進出した時です。「事業を任せること」と「マネジメントを任せること」を混同してしまった結果、マネジメントにおける失敗をしてしまいました。何とか3年ほどで這い上がりましたが、それ以降「全てのマーケティング、マネジメントは自分でやる」と決めています。

藤原 本当に苦労して乗り越えられたのだと感じます。黒田さんも苦労話をお聞かせ下さい。

黒田 弊社は6年間、赤字が続きました。売上げは伸びているにもかかわらず、利益が出ない。3年で黒字に転換する予定だったのが、いつまで経っても赤字でした。中古本のeコマースは非常に単価の安い商売ですから、いくら4000坪ある商品センターに200万点の商品があっても、これらを考え無しに回しているとなかなか利益が出ません。前職であるトヨタ自動車の「トヨタ生産方式」も導入して、こつこつと地道に改善を進めることで生産性を高めていき、ようやく採算が取れるようになりました。そういった地道な積み重ねは、現在の強みに繋がっていると思います。

藤原 6年間赤字が出ていてもやり続ける。信念があってこそだと思います。それでは及川さん、農業ベンチャーの苦労をお聞かせ願います。

及川 たくさんありますが、最初の100円の売上げを作るのに一番苦労しました。全く経営知識の無いまま、起業したものの仕事が無い。農業の流通を変えるためにまず始めたのが「農業営業代行コンサルタント」でした。ミカン農家からミカンを預かって、大丸などの高級スーパーに売り、小利を作っていくばくかの農産物をいただくというビジネスです。そこでいただいたミカン50箱を、和歌山市の駅前にゴザを広げて売ったのが、弊社初の売上げです。その後、和歌山県内で「東京から来た兄ちゃんに野菜や果物を与えると、高く売ってきてくれるらしいよ」と噂になりました。それが今のビジネスに繋がっています。

藤原 ゴザを広げて売ってらっしゃったとは驚きです。滝野さんはいかがでしょうか。苦しい時もあったかと思いますが。

滝野 創業する以前、共同創業者でCTOのロセンと二人で「御社に使える技術を提供できる」とメーカーをたくさん回り、大きなチャンスを掴みました。ロボットメーカーを集めて、社長や取締役の前で実演する機会です。ただ、これまで50年間、誰も実現できなかったものを開発するのは大変で、問題は山積。徹夜しても、発表を延期しても、その当日になっても、会場に到着しても結局プログラミングが終わらず、頑張って時間を稼いでいたのですが、いよいよ諦める覚悟を決めました。ところが、私が「すみません、間に合いませんでした」と言いかけたその時、デモが動き始めたのです。あの奇跡の出来事が、弊社の原点になっています。それから私たちの会社は「最後の一秒まで諦めない」ことを肝に銘じています。

藤原 安全な道を取るのではなく、自ら追い込んでいく姿勢ですね。

滝野 リスクがあるなら、それを取るのがベンチャーだと思います。リスクと成長余地の大きさは常に一緒のはずです。何かを変えたいと思うのならば、必ずリスクは取らなければならない。それが我々ベンチャーの存在価値だと思います。

藤原 素晴らしいお考えですね。

及川 僕も「自分を信じること」が危機を突破する決め手になると思います。自分を信じるためには誰よりも苦労、努力をしなくてはなりません。よく人から言われるのは「お前のやっていることは正しいのか」。そんなことは分からないですよね。僕らは企業家なので、事業を始めました。これが正しいかなんて、将来自分が死んだ時に周りの人が判断するだけの話です。正しいかどうかより、死ぬまでやり続ける気持ちがあるかどうかが重要なのではないでしょうか。今はとても良い時代です。弊社のように現金50万円から始めた会社が8年で上場できる。これは、諸先輩方が頑張って良い時代を作ってくれたからだと思います。「今が恵まれた時代だ」と認識して、情熱を持ってさえいれば何でもできると思っています。



受賞者プロフィール

井川幸広(いかわ・ゆきひろ)

1960年、佐賀県生まれ。県立佐賀東高等学校卒業後、79 年に上京。毎日映画社に就職、23 歳でフリーランスとして独立。90 年、29歳の時にクリーク・アンド・リバー社を設立。2000 年6 月、ナスダック(現JASDAQ)上場。16 年2 月26日、東証二部へ市場変更、同年8月31日、東証一部へ市場変更。


 受賞者プロフィール


藤田恭嗣(ふじた・やすし)

1973年徳島県生まれ。94 年、名城大学三年時に携帯電話販売業で創業。96年、大学卒業と同時に法人設立。音楽配信事業を始め、現在は電子書籍事業を中心に、国内はもとより世界に流通できるコンテンツ流通プラットフォーム事業を展開。2013 年に東証マザーズ上場、16年に東証一部に市場変更。




黒田武志(くろだ・たけし)

1965年、大阪府生まれ。大阪市立大学商学部卒業。89 年、トヨタ自動車入社。98年、ブックオフコーポレーションの企業家支援制度でブックオフウェーブを設立、社長に就任。2000年、オンライン中古書店「イーブックオフ」を開設(現ネットオフ)。13 年リネットジャパングループに社名変更。16年東証マザース上場。




及川智正(おいかわ・ともまさ)

1975 年生まれ。97年、東京農業大学農学部農業経済学科卒業後、巴商会入社。2003年、和歌山県にて新規就農。06年、エフ・アグリシステムズ(現フードディスカバリー野菜のソムリエ協会)関西支社長に就任。07年農業総合研究所を設立し、代表取締役就任。16年6月、東証マザーズ上場。




滝野一征(たきの・いっせい)

米国大学を卒業後、ウォーレン・バフェットが保有し、製造業の中でも世界最高の利益水準を誇る事で有名なイスカル社でキャリアをスタート。生産方法を提案、構築する技術営業として受賞も経験。現場のプロとして多くの実績を積む。その後世界的ロボット工学の権威である魯仙博士と出会い、2011年にMUJIN を設立。



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