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トピックス -企業家倶楽部

2017年09月26日

理念浸透こそ業績向上への近道

企業家倶楽部2017年10月号 モチベーションカンパニーへの道 vol.27


組織コンサルティングを手掛けるリンクアンドモチベーションは、東京・銀座の本社にて「経営者セミナー」を開催した。本イベントでは、「『日本一働きたい会社』創りの秘訣とは」と題し、リンクアンドモチベーション執行役員の麻野耕司氏(右)と、ライフル執行役員人事本部長の羽田幸広氏(左)が戦略人事のあり方について対談した。




麻野 弊社は、クライアント企業の社員の方々に簡単な質問項目にお答えいただき、その会社の組織状態を把握する「組織診断サーベイ」を実施しております。現在2400社、60万人分という日本最大級の組織に関するデータベースとなっていますが、ライフルはそのサーベイにおいて、昨年283社中1位に輝きました。まずは御社についてご説明ください。

羽田 弊社は1997年の設立。主な事業は、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」です。従業員数はグループ全体で1140名、業績は2017年3月期で売上げ299億円、当期利益28億円と順調に成長しております。

麻野 しかしこのライフルとて、最初からこうした企業だったわけではありません。今回は、羽田さんにここまでの道のりを振り返っていただき、「日本一働きたい会社」創りの秘訣を伺います。



社員が役員の言動をチェック

羽田 弊社はまず、経営理念の浸透を目指しました。私が入社した2005年当初、不動産業界をより良く変革したいとの想いに共感した社員は集まっていましたが、社是の利他主義や経営理念の実現に関しては、ピンと来ていない人が多かったのです。そこで有志の社員を集め、「いかにビジョンを浸透させ、本気で実現するチームを作るか」を話し合いました。

麻野 具体的にはどのような施策を試みたのでしょうか。

羽田 例えば、経営理念を軸として全部門にビジョンを創りました。すると、一営業マンにとってどこか遠い存在であった経営理念が、自分の仕事と結び付くようになりました。

 また、ビジョンを共有する上で肝要なのは経営陣がしっかりそれを発信していくことですから、役員の心得を徹底しました。「ビジョンと一貫性のある指示を出す」「ビジョンを分かりやすく伝える」「ビジョンの実現を心から願う人だけ登用する」といった具合です。

 更に社員には「この役員は心得を守っていると思いますか」といったアンケートを取りました。これにより、ビジョンと異なる施策を打とうとしていた役員に対して厳しいコメントが入ることとなり、徐々に修正された結果、役員からビジョンが浸透するようになったのです。

麻野 弊社のサーベイには16領域64項目ありますが、項目によって影響度が異なります。最も影響度が高いのは、理念・戦略。このスコアが高いと、制度・待遇や上司への満足度も上がります。

 最近はどんな企業でも理念を策定していますが、往々にして現場に浸透していません。いくら社長や人事が「理念が大事」と言っても、現場の事業部長は「理念で業績は上がらない」と思っているのです。皆、理念を作りっぱなし、伝えっぱなしで終わる。その点、ライフルはアンケートを取ることで浸透を試みていますね。



理念への共感を最重視

麻野 理念を浸透させるためには、それに共感する幹部やミドルをいかに揃えられるかが重要です。組織が崩れている会社はスキル重視で管理職を登用し、全く理念が浸透していません。スキルはまだ足りなくとも、理念への共感度が高い人を登用していくと、組織が良くなって、業績も上向いていくことが多い。

羽田 まさに弊社でも、規模の拡大に伴って即戦力を採用した結果、文化が乱れたことがありました。百戦錬磨のビジネスマンが中途で入ってくると、どうしても短期的に売上げを伸ばす施策が増えるのです。

 採用について考え直す必要があると判断した私は、採用基準としてビジョンや企業文化との合致度、そしてポテンシャルを重視し、現状でのスキルを一番下に置きました。例えば新卒採用でも、セミナーでは業務内容の話はほぼせず、経営理念や中長期戦略の話ばかりする。ここで「違うな」と思った人は自動的に辞退します。

麻野 ライフルに合うか否かの評価軸はありますか。

羽田 成長欲求が一番の人は合いませんね。成長とは、何かやりたいことを実現するために努力した結果として得られるものですから。逆に採用するのは、アプリを作って出しているなど、やりたいことに向かって実際に行動しているタイプです。



人事の役割は変わった

麻野 企業文化を醸成する上で大切にしているのは何でしょうか。

羽田 内発的動機です。その人が挑戦したいと思ったことに対して、全力で機会を提供する。「挑戦できない」という言い訳が通用しない会社を目指しています。研修でも、こちらから教える内容では飲み込みが悪くなりがちですが、本人がやりたいことの勉強ならば、何も言わずとも勝手に努力するものです。これには教育研修投資を抑える効果もあります。

麻野 具体的にはどのような仕組みがあるのでしょうか。

羽田 「新規事業に携わりたい」「他部署に異動したい」といった要望を書いてもらうキャリアデザインシートがあります。これを提出した人の5~6割は希望が叶う。3年後や5年後に目指すキャリアを示し、そこから逆算して、この部署にいたいか別の部署に異動したいかを問うのです。したがって、現在の部署に止まることにも意思を持たせています。

 弊社では「薩摩の教え」を重んじており、挑戦して成功した人が一番偉い。次が挑戦して失敗した人。ダメなのは挑戦しなかった人です。ある社員が新規事業を立ち上げ、結果的に撤退することになっても、皆でその人を褒め称えます。そして、セカンドチャンスを提供する。評価制度としても、失敗が連動しないようにしています。少し成績が悪かったとか、事業で撤退したからといって、降格はしません。こうして挑戦する文化が出来ている。

麻野 組織を構築する上で、気を付けていることは何でしょうか。

羽田 ビジョンや戦略といった難しい話をする前に、仲良くなっておくことですね。弊社では、4月の段階でチームビルディング研修を行います。一人1~2万円の予算を付けて、部門ごとにBBQ、料理対決、サバイバルゲームなど、各部門長が考えた皆で楽しめることをします。

麻野 そうした施策には時間もお金もかかりますが、きっかけはあったのでしょうか。

羽田 ビジョンや戦略は、伝えるだけではなく受容してもらうことが重要です。上から言っても下が受け付けず、事業が回らないことが過去にはありました。反対に成果が出ている部署は、誰か個人の能力が高いというより、メンバーがビジョンを理解し、役割を果たして仕事をしていたのです。

麻野 万が一、上手くできないチームやマネージャーについてはどうされるのですか。

羽田 支援を依頼されれば人事がコンサルティングに入ります。ヒアリングをし、課題を抽出して手を打っていく。ただ、複数回フィードバックをしても改善できなかった場合は、組織のリーダーを変更することもあります。

麻野 ライフルはこれからの人事のモデルケースになり得ますね。これまでは新卒採用・終身雇用・年功序列という固定化されたシステムを運用するのが人事の役割でした。しかし今は、環境変化も激しくなり、システムの運用だけでは組織が立ち行かなくなっています。人事が現場に出て行って、事業側と議論しながら今後の方策を練らねばなりません。弊社も、組織診断サーベイなどを通して、そのサポートができれば幸いです。



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