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トピックス -企業家倶楽部

2017年10月30日

人と関わり続ける山神から得た!/現代アーティスト 小松美羽

企業家倶楽部2017年12月号 アートは言葉である vol.7





「悪い子はいないかー」地響きのような声。雪の深い年の暮れに、山道を松明灯してやってくる。包丁片手にやってきて、仕事もせずに囲炉裏で暖をとってばかりいたなまけ者のナモミを剥いで押し問答。泣く子供、ご馳走を振る舞う親、ずっと続くこの光景は秋田県の男鹿半島に伝わるナマハゲの一部分だ。

 テレビに映るナマハゲたちは、赤や青のお面を被り、包丁や神の印である御幣を持ち、藁の衣装を身に纏い恐ろしい声をあげながら家々を回る。そんな映像からは衝撃的な印象しか記憶に残らず、これはきっと鬼の風習なのだろうと私は思っていた。

 そんな認識の私に突然、秋田朝日放送から開局25周年イベント内でのライブペイントの依頼を頂いた。さらにナマハゲとのコラボレーションで描くのだと聞いて、頭よりも先に心が躍った。それからすぐに先述のような印象を思い出しつつ、ならばきちっと現地に行って学びを経て描かなければと奮起。今までも現地で経験し得ることを何より重要とし描く糧にしているため、放送局から招待して頂いたご好意を片手に現地へと飛んだ。

 もともと、旅が好きだった。日本国内の文化に触れることで創作活動のエッセンスをいただき、生の学びを吸収することに喜びを感じていた。日本各地を飛び回ることで、そこから見える氏神様の気配と醸し出される和の精神に心が揺さぶられる。どうして生きるのかという問いの答えの一つに、学びを得るためであると答える。生きる時間をいただけている中で学びからスピリットとの距離が近づいていくような、そんな感覚からたまらなく魂の熱を感じるのだ。

 秋田の地に降り立ってすぐに向かったのは男鹿真山伝承館。そこでは実際に使われている各地区の数々のナマハゲのお面が展示されており、今までのイメージとの誤差の修正に脳が自動上書きを行う。そして何より実際のナマハゲが体験できるというのだから心躍る。が、体験した感想は想像の通り怖かった。

 また、体験や地元の方のお話を聞いて初めてわかったことが、ナマハゲは山の神様でありご神事であるということ。鬼ではないのだ。地元の方の語りから、いかにこの神事が神聖なものであるのかが伝わってくる。

 そして何より、伝承館から歩いてすぐにあります真山神社に足を踏み込むと、さらに山神の息吹に近づいた感覚をいただける。この神社の山からナマハゲが里に下りてくるのだ。そこから各民家を渡り歩くのだそうだが、神様が可視化されていて人と密に接触するというのは珍しい事であり、素晴らしい。

 そこから得た経験をもとに一旦東京に戻った私は、ライブペイント用のキャンバスを2枚制作した。そしてイベント前日、私は再度秋田の地に降り立った。秋田朝日放送と会場で奏でられるナマハゲ太鼓のみなさんと共にステージに向き合い、本番がきた。制作時間は1時間半ほど。連動でテレビ生中継をしていただきながら無我夢中でキャンバスと向き合う。そうして出来上がった作品は一対の赤と青のナマハゲ、そして山神を守護する秋田犬の狛犬。

 ライブペイントが終わっても私の興奮は収まらなかった。このまま第二部もいけるほどの余力があった。描くことで山神様と繋がったような感覚があり、たまらなく幸せだった。何より観客の皆様の視線から感じるエネルギーも清々しくライブの醍醐味も愛おしかった。私の脳みその奥でレベルがアップしたような音が鳴り響く。ああ、この瞬間からたまらなく光を感じる。すべてが必然で偶然で授かりもので、しっかりととりこぼさずに経験し、この恵みを何倍もの活力にしてあなたにお見せいたします。



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