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トピックス -企業家倶楽部

2017年11月21日

ファッションレンタルで新しい出会いを/エアークローゼット代表取締役CEO 天沼 聰 

企業家倶楽部2017年12月号 モチベーションカンパニーへの道 vol.28


 仕事や子育てが忙しく、ショッピングに行っている時間がない。ドラマやファッション誌を見ている暇がないので、流行が分からない。そんな悩みを抱える女性たちの味方となっているのが、エアークローゼットだ。

 本サービスは、日本初の普段着に特化したファッションレンタルサービス。1カ月のレギュラープランに加入した場合、料金は月額9800円。他に3カ月、6カ月、10カ月とプランがあり、その期間が長いほど料金は割安となる。

 会員登録をすると、自宅に洋服が3着届く。プロのスタイリストがサイズや好みに合わせてコーディネートした服は、返却期限なしで何度でも着ることが可能だ。気に入れば購入することもでき、返却すればまた新しい洋服が3着届く仕組みとなっている。返却時、感想をアプリに入力すると、その情報を基に各人のカルテが作成され、次のコーディネートに活かされる。したがって、サービスを利用すればするほど、自分の趣味嗜好に合った洋服が届くようになるというわけだ。

 創業社長の天沼聰が目指したのは、「日々の生活を変えることなく、新しい洋服に出会える機会を作ること」。新しいファッションとの出会い体験を重視するため、洋服やスタイリストは選べない。これまでは労力を割いて能動的に選ばざるを得なかった洋服に、受け身の体勢で出会えるのが特徴だ。



ファッションの固定概念を崩す

 巷には数多くの洋服がひしめいているのに、自身の固定概念の中で決まり切ったコーディネートをしている人は多い。エアークローゼットではスタイリストが介在することで、無意識に狭められてしまったコーディネートの幅を広げることが可能だ。

 いつもと違う洋服を着ることで、普段は喋らない人から「綺麗な服ですね」と声をかけられたり、「そのお洋服可愛いね」と子どもから褒められたり、ファッションは新たなコミュニケーションも生み出す。商品の入ったボックスは、新しい洋服だけでなくスタイリストのセンス、ひいてはファッションによる感動体験を運んで来るのだ。

 故意にブランドを選べないシステムとしたことで、利用者の多くが「エアークローゼットを使って新しいブランドに出会えた」と喜ぶ。天沼も「以前よりファッションが楽しくなったという声が一番嬉しい」と笑顔を見せる。

 同サービスがきっかけで、新しく気に入ったブランドの実店舗に足を運んだり、eコマースで商品を購入したりする事例もしばしば。ブランド側にとっても、これは願っても無い新規顧客獲得の好機だ。win‐winの関係を求めて、現在エアークローゼットには300以上のブランドが参入している。



他業種から華麗なる転身

 学生時代から起業を考えていた天沼だが、まずは社会を知ろうとIT系コンサルティング企業に入社した。その後転職するも、ファッション業界とは無縁の世界。そんな彼がエアークローゼットの創業に至ったのは、起業する時に守ろうと決めていた三つの条件があったからだ。

 一つ目は、小さい頃から好きだったITを最大限に活用していること。二つ目は、自身が興味を持つシェアリングエコノミーの要素が入っていること。三つ目は、衣食住に関わり人のライフスタイルをより良くするビジネスであること。この三条件を満たし、人々の中に一番笑顔が生まれそうなビジネスがエアークローゼットだった。

 ところが、アイデアが固まってからも問題は山積みだった。ファッションについての知識もなければスタイリストの知り合いもおらず、洋服ブランドに参入してもらうための営業方法も分からなかった。そこで電話や手紙、SNSなどありとあらゆる手段を使って創業を準備。行動してみると、知人の知人にスタイリストがいたり、徐々にメーカーにもアイデアについて共感してもらえたり、地道な努力は次第に実を結んでいった。そして基盤が確立すると、サービス開始に踏み切った。

 天沼の熱い想いが詰まったサービスには、開始前から多くの人が期待を寄せていた。だが、想定外の事態が発生する。2015年2月3日、リリース直後に予想以上の人が集まり、サーバーダウンしてしまったのだ。サービス再構築に向け、リリースは10日間延期されることとなった。

 ただ、その間に嬉しい出来事もあった。全く知らない顧客からメールが届いたのだ。「あなたたちが提供しようとしているサービスは未来を変え、生活を豊かにするものだと思います。風邪を引かずに頑張って下さい」。メッセージに感動しながら、メンバーは理念の正しさを再確認したのだった。

 当初は利用まで時間がかかることもあったが、基盤の拡充と共に待ち時間はほぼ解消し、今では登録者数13万人を誇る一大サービスに成長した。



成長できる環境を作る

 エアークローゼットには「9Hearts(ナインハーツ)」と呼ばれる行動指針がある。採用の時には、まずスキルよりもその人が社内文化であるナインハーツに合っているかを見極めるのだ。

「どれ程賢い方でも、私たちの企業文化とマッチングしないのであれば、その人も会社も幸せではありません。他の企業でもっと活躍できるかもしれませんからね」

 中でも天沼が重視しているのは誠実さだ。自責の念を持つことは人間成長に繋がる。自分の中に目指すべき像があり、「現状で何が足りなくてどういう経験を積めば良いのか」と考えられる人は、モチベーションも高く伸びしろが大きい。会社はあくまで環境であり、その人の寄りかかる木ではない。「一人一人が成長できるかは個人の心意気次第。それぞれが役割を理解し、信頼関係のある組織を作ることが大切です」と天沼は説く。

 一方、会社側は社員が成長するための環境を約束すべきだという。企業理念に擦り合わせるために様々な施策を実施。年に2回の全社合宿では、法人格と自分の性格が合致しているか、成長に必要な役割とは何かを再認識するため、ひたすらディスカッションを行う。月に一度は天沼がナインハーツを基にしたキーメッセージを発信し、それを全社員が共有することで意識を方向付ける。

 また、コミュニケーションを醸成するための努力も惜しまない。ニックネーム制を導入し、互いに話しやすい雰囲気を作る。もちろん天沼も例外ではなく、社内では「アッシュ」という名で呼ばれている。更に帰り際には全員と握手。毎日一人一人と話す機会を設けることで、役職関係なくフラットな組織を心掛けている。



顧客に感動を提供

 天沼には好きな言葉がある。「ディズニーランドは人間にクリエイティビティがある限り完成しない」というウォルト・ディズニーの残した格言だ。「これと同様に、エアークローゼットも創造力のある限り変化し続けるべき」と天沼は語る。現状維持はただの退化。世の中の変化に対してどう進化していくかが大切というわけだ。

 エアークローゼットが目指すのは、顧客に感動を届けるサービス。ユーザーの希望に応えれば、最低限の満足はしてもらえるが、感動は生み出せない。彼らに直接聞いても分からないようなサプライズを、日々本気で考え続けるのがサービスを提供する側の面白さと言える。

 今はまだレディースのみのサービスだが、アクセサリーなどファッションの幅を広げたり、メンズやキッズなど対象を拡大したり、更には日本のファッションとの出会いを世界の人に届けることも考えている。エアークローゼットが今後どのような感動を生み出してくれるのか、期待したい。



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