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トピックス -企業家倶楽部

2018年01月16日

選択と集中で未来創造企業へとチャレンジ/エイチ・アイ・エス会長兼社長 澤田秀雄 

企業家倶楽部2018年1/2月合併号 新春インタビュー


旅行業の不振から2016年11月社長に復帰、自ら陣頭指揮を執り、改革に取り組む澤田秀雄会長兼社長。不振部門の削減はもとより、M&Aを加速、世界で勝ち残れる旅行会社へと脱皮を急ぐ。「変なホテル」は世界一生産性の高いホテルとして世界から注目を浴びる。しかし澤田会長兼社長のチャレンジはこれでは終わらない。エネルギー、植物工場、ロボットと矢継ぎ早に新事業を仕掛ける。永遠のベンチャー経営者にその真意を聞いた。聞き手は:本誌副編集長 三浦貴保




問 社長に復帰されてこの1年間、精力的に活動されましたが、何に一番注力されましたか。

澤田 エイチ・アイ・エスはこの3~4年伸び悩んでいましたので、社長に復帰してまず、実施したのは赤字部門の撤退です。例えばリムジンサービスの部門を撤退。またスマ宿という宿泊予約サイトは、楽天やエクスペディアに勝てないなら止めてしまえと撤退しました。おかげで1年間で経費を約25億円削減できました。将来性のある事業は赤字でも残しますが、勝てない事業部や子会社はスパッと切りました。

問 これは社長に復帰しないとなかなか出来ないことですね。

澤田 切った部門の人員は今後伸びる部門に配置転換したのでリストラはしていません。ホテル部門や法人団体向けやクルーズ、インバウンドのセクションなど伸びる部門に戦力を集中します。



「変なホテル」の展開を加速

問 今「変なホテル」に力が入っていますね。

澤田 2017年舞浜に作って、その後夏には愛知県のラグーナテンボス、12月に西葛西ができ、年明けにも赤坂、銀座と1年以内に10棟作ります。3年以内にホテルを100棟前後、海外は上海に作る予定です。

問 一棟で何億円と利益が出るそうですね。

澤田 ロボットを活用した新しいビジネスモデルです。経費があまりかからない。フロントに人がいると質問に答えるなど接客するので時間がかかるが、ロボットには質問しないのでチェックインが早いのです。1号店はロボットバーやロボットカラオケを入れたりと、ドンドン進化しています。

問 人件費がかからないということですね。

澤田 そうです。生産性が高く利益率が高い。ホテルは人件費と光熱費ですから。そこで、来年作る3号棟には今までの4分の1くらいの値段で最新の太陽光発電を入れます。

問 3号棟はどこに作るのですか。

澤田 ハウステンボスの中に作ります。目指しているのは世界一生産性の高いホテルのビジネスモデル。今でも世界一ですが、満足度をいかに上げられるかが重要です。そして人件費だけでなくエネルギーも削減したい。

問 「変なホテル」は世界で注目を浴びていますね。


澤田 世界から取材に来られますね。海外ではハウステンボスより「変なホテル」の方が有名になっています。


「変なホテル」の展開を加速

ホテルカンパニーで利益1000億円に

問 今赤坂に計画しているのも同じ仕様ですか。

澤田 若干違います。そうでないと飽きられますから。赤坂は遠隔クリニックを入れます。泊まったら健康診断から健康相談までできる。「変なホテル」は色んなタイプを作ります。

問 ロボットが働くという意味ではフォーマットが出来上がったということですね。

澤田 3年でホテルを100棟にします。「変なホテル」だけではなく、4つ星も作る。ニュージーランドとベトナムはリゾートですから、4つ星のホテルにします。

問 ホテル事業に力を入れるということですか。

澤田 ホテルカンパニーを別会社にして、ホテルを全世界に展開していきます。1棟で利益を2~3億円出せば、100棟で2~300億円。将来利益だけで1000億円まで持っていきます。

問 利益で1000億円とはスゴイ。それはいつ頃になりそうですか。

澤田 100棟作るのは3年以内ですが、利益1000億円となると、500棟必要になりますのでもう少しかかります。でも10年以内には実現したい。1から2作るのは大変ですが、10から20作るのは結構楽。100から200はすぐ作れます。



旅行市場はまだまだ拡大する

問 エイチ・アイ・エスの支店を全世界に展開していますが、IT化してもそのまま残しますか。

澤田 今現在270前後拠点がありますが、現地のサービスやアクティビィティはIT化できないので残します。予約はOTA(オンライン・トラベル・エージェント)化していくが、末端には人を残します。

問 インバウンドについてはどう考えていますか。

澤田 現地から日本に来られるインバウンド、現地で言うアウトバウンドは、今後アジアで伸びますね。前は中国人だけでしたが、いまやフィリピン、ベトナム、タイ、インドネシアとドンドン増えています。それに合わせてサイドビジネスも広がっています。

問 旅行業界の将来の市場をどう見ておられますか。

澤田アジアの人たちがいよいよ旅行をし始めましたので、まだまだ拡大します。アジアのマーケットは日本の10倍ですから。インバウンドは今2400~2500万人。来年には3000万人になる。日本から出国する人は今1800万人ですが、これも我々が運動をして2000万人にします。インもアウトもうちのターゲットですから。旅行業界はまだまだこれからです。国内店舗はハワイ専門店とかヨーロッパ専門店などを残し、徐々に縮小していきます。

問 今後はOTA化していくところが残りますか。

澤田 ただ、逆を言えば彼らは現地で何かやろうとしてもできない。我々は現地に支店がありますから、サービス面の開発ができる。予約のシステムはOTA化していかないと勝ち残れません。



自ら仕掛けるM&Aを加速

問 この1年間M&Aもかなり進めたのではないですか。

澤田 M&Aはだいぶ実現しました。全世界のランドオペレーターを巻き込み、ミキ・ツーリストも買収、売上げ700億円ぐらいのカナダの旅行会社も買いました。社長に戻って1つ目は経費の削減。2つ目はM&Aです。今M&Aをどんどん進めていますので、今期は一気に売上げが1000億円以上増えることになります。

問 今狙っているところはありますか。

澤田 ホテルだけでなく、旅行会社もドンドン買収していきます。日本では海外旅行でやっとJTBを抜き始めましたが、JTBと競争するのではなく、世界の旅行会社として勝ち抜きたい。それがOTA化であり、現地の旅行会社のM&Aです。そうすると数年で1兆や2兆円にすることができる。これまではハウステンボスなどマイナーのM&Aを頼まれてやりましたが、今年からは仕掛けるM&Aでいこうと思います。

問 ハウステンボスは稼ぎ頭になりましたね。

澤田 順調で100億円前後の利益が出ています。もう安定したと思いますので、今は若手に任せている。我々は世界戦略とホテル展開に力を入れていきます。

問 電気の販売にも参入しましたが、いかがですか。

澤田 順調で今年は売上げ50億円程度ですが、来年は100億円になります。電気販売は一回その家に入ると毎年変えないので積み上がっていく。

問 ロボット関係はどうですか。ハピロボというロボットの会社を作られましたね。

澤田 18年1月に渋谷のエイチ・アイ・エスの店舗の中にロボットカフェをオープンします。店長は1人だけ。ロボットが淹れて渡す。人件費とコストをかけず、生産性を優先しますが、お客さんには美味しいコーヒーを楽しんでいただけます。

問 これも全国展開していくのですか。

澤田 ここで成功したらロボットカフェを全国展開する可能性はありますね。既存のチェーンより美味しくて値段が安くて楽しいカフェ。お客さんの満足度を上げるにはヒューマンコミュニケーションが一番良いのですが、いかに満足度を上げるかにチャレンジします。

問 ロボットを軸にすると色んなことが出来そうですね。

澤田 ロボットバーを作りましたが、そこではAIのテストもできる。女性のロボットがいて、「何にしますか」「カクテルをお作りしましょう」などと会話する。学習していくし、音声認識のレベルが上がってきているので、将来は大概のことはロボットができるのではないかと思いますよ。

問 富田社長はハピロボを世界一のロボット会社にすると言っていました。

澤田 彼らは技術集団であり頭脳集団。既に色んな会社のコンサルをやっていますが、これからですね。



新開発エネルギーにも注力

問 そういう意味ではエイチ・アイ・エスグループは何の会社と言えますか。

澤田 5年したら変わります。今、発電所を作っていますが、電力会社になるかもしれません(笑)。「変なホテル」3号棟で実験しようとしている太陽光と蓄電池を使えば、1~2年で減価償却が終わる。つまり3年目から電気代が無料になる。リチウム電池は価格が高く、大きなモノを作ると熱を持ったりする。一方、我々が作る植物電池は性能も良く、蓄電能力も10倍です。太陽光でこれまでの4分の1くらいの値段で電気を作り、各家に導入すれば、大型発電所は要らなくなる。自分の家の自然エネルギーでまかなえますから。それをいよいよ3号棟で実験して、良ければこれを世界に売っていこうと考えています。

問 この発電所はどこに作るのですか。

澤田 東北に作る予定です。太陽光発電と最高の植物蓄電池をセットで使うので、リチウムみたいな資源は要りません。

問 植物蓄電池とは初めて聞きました。

澤田 既に埼玉県の桶川にテスト工場ができています。その製品をハウステンボスの3号棟で実験して、良ければいよいよ世界に発表する。

問 それはいつ頃になりそうですか。

澤田 テストが終わるのが18年の暮れか19年です。今はテスト工場ですが、いけるとなったら大きな工場を作ります。将来それは車でも使われるようになると思います。熱を持たないし、充電回数が今のリチウムイオンの10倍あります。既にドイツの認定機関のテストも終了しています。コストも4分の1になる。


新開発エネルギーにも注力

エネルギー、ホテル、植物工場、ロボットの4本柱

問 もしかするとエイチ・アイ・エスは5年経たずにエネルギーの会社になってしまうのではないですか。

澤田 1つはエネルギー、1つはホテル、そしてもう1つは植物工場を作る。これはまだ2~3年かかります。

問 植物工場ですか。

澤田 これはイスラエルの技術と提携しています。昔投資したイスラエルの会社がようやく花開いた。「Mankai」という世界一小さな植物で水と光だけで繁殖するのですが、その繁殖力がすごい。もちろん食べられますし栄養価も高い。イスラエルでの実験がほぼ成功していますから、そのテスト工場を3年後に作ろうと考えています。

 従ってエネルギー、ホテル、植物工場、そしてロボット。この4本柱です。旅行業は世界で競争に勝てるような旅行会社にしていきます。旅行人口はまだまだ増えますし、平和産業ですから。

問 エネルギーやホテルは5年後くらいのイメージですか。

澤田 来年からドンドンやっていきますが、本当に大きくなるには3~5年かかるでしょうね。全部旅行部門を抜いていくと思いますよ。

問 最近の仮想通貨ブームについてはどうお考えですか。

澤田 ハウステンボス内で使える仮想通貨を18年に作ります。金に裏付けする初めての仮想通貨。1トンの金を買いました。今のところ50億円分の仮想通貨しか作れませんが、園内だけなら十分です。園内でテストして問題ないとなったら、どこでも使えるようにしたい。

問 ブロックチェーンの技術はどこかと組んだのですか。

澤田 福岡のベンチャーと組みました。金を1トン買って、ハウステンボス内に「黄金の館」を作ります。金なので暴落することはないでしょう。金が足りなくなった時のためにモンゴルに鉱山を買って、ボーリングしたら金と銅とガラスが出てきた。そこからは多分1000トンくらい掘り出せます。

問 まさに運を持っておられますね。澤田さんの夢は何ですか。

澤田 エイチ・アイ・エスを世界有数の旅行会社にしたい。後は世界の平和に貢献できるようなエネルギー、植物工場を作る。戦争の原因は石油の取り合いなどエネルギー問題と食料問題ですから。また将来のテクノロジーに貢献できるロボット事業も展開していきたい。そして我々旅行業は平和産業ですから、皆さんに楽しんで、喜んでいただく事業を広げていきたいですね。




P r o f i l e

澤田秀雄(さわだ・ひでお)

1951年大阪府生まれ。高校卒業後、旧西ドイツマインツ大学に留学。80 年インターナショナルツアーズ(現エイチ・アイ・エス)を設立、95 年株式を店頭公開。96年スカイマークエアラインズを設立、98 年新規参入を果たす。99 年協立証券を買収し、エイチ・アイ・エス証券(現エイチ・エス証券)を設立。04年6 月エイチ・アイ・エス会長。モンゴル銀行、ウォーターマークホテルを展開する。10年4月ハウステンボス代表取締役社長就任。16 年会長兼社長就任。99年第1回企業家大賞を受賞、現在は企業家賞名誉審査委員長を務める。



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