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トピックス -企業家倶楽部

2018年01月18日

冬の五輪はこのままでいいの?/日本経済新聞社客員 和田昌親

企業家倶楽部2018年1/2月合併号 地球再発見 vol.12


和田昌親(わだ・まさみ)

東京外国語大学卒、日本経済新聞社入社、サンパウロ、ニューヨーク駐在など国際報道を主に担当、常務取締役を務める。




「冬のオリンピック(五輪)」が近づくと考えることがある。いつまで、赤道付近や中南米やアフリカを無視したまま、「平和の祭典」を続けるのだろうか、と。

 単純な話である。オリンピックは世界のどこの国でも参加でき、「同じルール、同じ条件」でスポーツを競い、世界平和に寄与することと言われる。「夏の五輪」はその通りだろう。2020年東京五輪・パラリンピックも大いに盛り上げたらいい。

 いわゆる「夏の五輪」の第1回大会は1896年にアテネで開かれたが、その時は五輪マークがなかった。平和の象徴としての五輪マークが登場したのは1920年のアントワープ大会からである。第一次世界大戦が終わり、「もう戦争は嫌だ」と世界に訴える意味があった。

 ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアの5つの輪が重なり合う絵柄は完全に定着した。ところが、スポーツには冬の競技もある。「冬の五輪もつくったらどうか」と誰かが提案したのだろう。飛びついたのは国際オリンピック委員会(IOC)だった。そして初の「冬季五輪」が1924年にフランスのシャモニーで行われた。

 しかし、IOCは重大な問題を見落としていた。冬の五輪に参加したくても、雪は降らない、スケートリンクもない。気温はいつも摂氏30度近い。そんな南の国でどうやってウインタースポーツをやるのか。

 冬季五輪が始まるとはっきり欠陥が見えてきた。参加国の数を比較してみよう。

 最近の冬季五輪の参加国数を見ると、06年のトリノ冬季五輪は80カ国・地域、10年のバンクーバーは82カ国・地域、14年ソチは88カ国・地域だった。おおむね80~90カ国が精一杯。おそらく18年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪もおなじようなものだろう。

 これに対し、同時期の夏季五輪はどうだったか。08年の北京五輪は204カ国・地域、12年ロンドン五輪も204カ国・地域、そして16年リオ五輪は205カ国・地域だった。

 つまり冬季五輪には夏季五輪の半分以下しか参加していない。世界の半分以上の国は冬季五輪を見放したことになる。

 冬季五輪に参加しない国からすれば、「あれは五輪なのか?」ということになる。ウインタースポーツ自体が知られておらず、当然選手もいない。北半球で極寒の2月は南半球では真夏だ。14年のソチ冬季五輪が開かれた時、ブラジルはカーニバルの真っ最中だった。カリブ諸国や東南アジアではみんな海水浴を楽しんでいる。

 そもそも「夏季五輪」「冬季五輪」という言い方もおかしい。南米で初開催となった16年リオ五輪を取材した日本のマスコミはテレビも新聞も当初は「夏のオリンピック」と報道していた。しかし、取材しているうちに、そのおかしさに気付いたのだろう。単純に「リオ五輪」と呼ぶようになった。

 もうすぐピョンチャン冬季五輪がやってくる。日本選手の気合も入ってきた。男女のスキージャンプ、フィギュアスケート、スピードスケートなどはメダル争いにからみそうで、応援にも熱が帯びている。

 それでも冬季五輪の今後が気になる。IOCに運営を任せてもいいが、「五輪」の呼び名を「ウインタースポーツ世界選手権」と変えてみてはどうか。そして開催時期はたまには南半球の冬(北半球の夏)を選ぶ。場所はアルゼンチン・パタゴニアやニュージーランドにすれば、南の国々も納得するかもしれない。

 冬季五輪にはもうひとつ難題がある。地球温暖化の影響で、北極周辺は凍結部分がどんどん減っているらしい。ピョンチャン五輪の関係者も心配しているが、五輪会場に雪が降らない場合もある。冬季五輪の未来はいばらの道だ。



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