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トピックス -企業家倶楽部

2018年01月29日

あらゆるものにディープラーニングを搭載する/TomyK Ltd.代表  鎌田富久 ×LeapMind代表 松田総一

企業家倶楽部2017年1/2月合併号 エンジェル鎌田’s Eye


ACCESS創業者で現在エンジェル投資家の鎌田富久氏が、投資先企業の経営者と対談する「エンジェル鎌田’s Eye」。今回は、ディープラーニング領域で注目を集めるLeapMindの松田総一代表をゲストに迎え、同社の強みを語っていただくと同時に、IT 技術の未来を垣間見た。



インテルが認めたベンチャー企業

鎌田 御社が事業領域としているディープラーニングは、一般的にはまだ実態の掴みにくい分野でしょう。まずはその部分をご説明いただけますか。

松田 人間も、幼少期に色々なものを見せられて教えられることで「りんご」や「バナナ」のように識別できるようになりますよね。実はその時、私たちは脳の中に膨大な量のインプットをしているのです。機械も同じで、とにかく大量のデータを覚えさせることで、自律的に複雑な認識や動きをできるようになる。物凄く簡単に言えば、それがディープラーニングです。

鎌田 なるほど。では、御社はこの分野でどのような立ち位置にいるのでしょうか。

松田 私たちの企業コンセプトは、安価かつ小さなコンピュータで、省電力に、迅速な処理を実現すること。ディープラーニングを利用する上で、複雑な認識を要するケースほどデータ量は大きくなります。ただ、従来はそのデータを処理するために、自前で大きなコンピュータを導入するか、もしくはインターネット上のクラウドに上げ、その背後にある膨大なコンピュータパワーを使うしかありませんでした。

 しかし、「18カ月ごとにコンピュータの性能が2倍になる」というムーアの法則が成り立たなくなりつつある今、安価に大きなコンピュータパワーを得るのは難しくなってきています。そこで私たちは、逆転の発想で、「小さいコンピュータでどうやってデータを解析するか」と考えました。そして、解析するデータ自体を小さくする技術を開発したのです。その技術力が認められ、2017年10月にはインテルから出資も受けました。私たちは、この技術を企業に提供して一緒に製品を作ったり、ライセンス提供したりしています。


 インテルが認めたベンチャー企業

安価・小型化・省電力を実現

鎌田 御社の技術によってどのような成果が出るのでしょうか。

松田 従来に比べ、解析すべきネットワークのサイズを500~3000分の1まで小さくすることができます。イメージとしては、「1+1+・・・+1=10」という計算を「1× 10 =10」としている感覚です。

鎌田 御社はハードウェアに関しても研究されていますね。

松田 私たちが半導体を製造しているわけではありませんが、ディープラーニングの計算に特化した高効率な回路を設計しています。半導体の性能は関係無く、安価かつ小型の汎用品で動かせますので、使用電力も少なくて済みます。かつ処理速度は従来の10~40倍。これは自動運転にも使えるくらいのスピードです。

鎌田 それは画期的ですね。そのような安価・小型化・省電力の先には何があるのでしょうか。

松田 私たちが目指すのは、ディープラーニングの社会実装です。従来のような大規模なパワーを駆使する方法ではコンピュータが小さな機械に乗りませんし、そんな膨大な電力も取れません。また、インターネットに接続してクラウドに上げるにしても、山中、海上、宇宙など電波が繋がらない領域は沢山ありますし、コンピュータウィルス、ハッキングなどのリスクがある以上、インターネットに繋ぎたくないケースも多い。

 そうした状況下で実用化するとなると、機械の中に半導体を組み込み、その中で計算を終わらせなければなりません。ニーズは山ほどあるのに、誰もできなかった。だから、私たちのサービスが選ばれるのです。


 安価・小型化・省電力を実現

ディープラーニングを様々な機器に組み込む

鎌田 御社の技術が導入されやすい事例としては、どのようなものが挙げられますか。

松田 例えば人工衛星です。宇宙はインターネットに繋ぐのが大変ですし、衛星自体、使えるスペースが小さい。しかも太陽電池で動いているので、消費電力も少なくなければいけない。そうなると、私たちの技術が生きてきます。

 では、ディープラーニングで何をするか。衛星の意義は、地球表面の観測ですよね。天気を予測したり、不審船などの監視を行ったり、色々な用途があります。しかし、その膨大な画像を人工衛星内で解析しようとしても、従来の方法では必要となるパワーを持ったコンピュータが大きすぎて乗らなかった。そうなると、データを一度地球に下ろして大きなコンピュータで解析しなければなりません。

 一方、ディープラーニングを衛星内に組み込めれば、その場で撮った画像が必要か否か分かります。雲がかかっていたり、夜で真っ暗だったり、衛星で撮れた画像には無駄なデータも多い。今まではそれらも含めて全て地球に下ろして解析していましたが、今後は衛星側で判断して、不審船を見つけた時だけ報告するような芸当が可能となります。

鎌田 衛星以外に、より身近な事例はありますか。

松田 需要として一番大きいのは、工場における自動化の分野でしょう。用途はロボットアームの異常検知です。こちらも異物混入など、下手をすれば人の命に関わりますから、すぐにその場で判断できなければなりません。0コンマ何秒というスピードが命なので、クラウドに上げている暇は無い。なおかつ、コンピュータウィルスの侵入やハッキングの可能性が否めない以上、そもそも工場の方々はロボットをインターネットに繋ぎたくありません。クラウドサービスの運用コストもかさみますからね。

 この業務は、今まで熟練の方が目で見て行ってきました。しかし、高齢化が進んで世代交代する若手もいないという状況。私たちの小型化・省電力の技術を使えば、ロボットアームそのものにディープラーニングを組み込み、全て自動化できます。



跳躍前夜の兆し

鎌田 松田さんと親しくなったのは1年半ほど前からですが、実はリープマインドについては以前から知っていました。

松田 鎌田さんから見て、弊社はどのような印象でしたか。

鎌田 私たちがアクセスを創業して手掛けていたことと本質的に似ていると思いました。ディープラーニングにおける情報処理を小さくコンパクトにし、各種機械に組み込んでしまうという発想が、まさに私たちがアクセス時代に試みていた「インターネットを小さくて様々なものに乗せる」というコンセプトと近い。

 社員50人くらいで、投資も受けているというステージも興味深かった。アクセスで言えば、世界初の携帯電話によるインターネット接続サービス「iモード」を始める直前期に相当します。私たちはiモードの発表後すぐに上場しましたが、社員数も急に50人から500人に増えたので、似たような成長曲線を辿るのではないかと期待しています。松田事業構造が似ているため、私たちもアクセスはベンチマークしています。打つべき手やパートナー企業など、お手本になります。更に当事者ご本人からもお話を聞けるわけですから、この出会いは運命的です。

鎌田 ベンチマークされたからには、是非成功してもらわないと(笑)。日本には相変わらずメーカーが多いので、お客さんはたくさんいます。また、インテルに限らずグローバルなプレイヤーと組んでいる点も良いですね。是非とも跳躍していただきたい。



ヒットを見極めるのは至難

鎌田 松田さんがディープラーニングに着目されたきっかけを教えてください。

松田 私は元々、機械と人間の境目を無くして融合したいと考えてきました。機械側が人間を見守っていて、さりげなくサポートしてくれるようになれば、両者の境目が無くなってくるのではないかと思い、ディープラーニングに目を付けました。

 もはや誰も「私はインターネットを使っています」とは言わないですよね。これと同じで、じきに「弊社はディープラーニングを取り入れています」などとは誰も言わなくなるはずです。私が鎌田さんを尊敬しているのは、インターネットが当たり前の世界を遥か前から志向されていたこと。私たちはディープラーニングの領域でそれを目指します。

鎌田 あらゆるものにディープラーニングを組み込んでいく上で難しいのは、どのモデルが一番儲かるのか分からないところでしょう。冷蔵庫、ドローン、人工衛星……まだ限定できるような時期ではないので、とにかく広く網をかけねばなりません。

 私たちがiモードを開発した際には、携帯やゲーム機に搭載したモデルがヒットしましたが、それは結果論であって、最初から狙っていたわけではありません。携帯への搭載を始めた時など、50名の社員の中で私を含め2~3名しか関わっておらず、むしろ携帯が本当に売れるのか懐疑的な人が多かった。電子ピアノ、ワープロ、デジカメ、工作機械……様々なものにインターネットを乗せたのは、どれが跳ねるのか見極めるのが難しかったからです。しかし、そこからヒット商品が出てくれば、投資回収ができるようになります。

 いずれ、あらゆるものにディープラーニングが搭載された時、半導体はインテル製であっても、その裏方は全てリープマインドの技術という時代が来る。言わば「『インテル入ってる』に入ってる」というわけです(笑)。最後に、10年後の未来展望をお聞かせください。

松田 10年後は半導体をより小型化、省電力化して、爪に乗るくらいのサイズにしたいですね。最終的には目では見えない大きさのナノマシンを作りたい。それを体内に入れて情報を取り、病気を防いだり、決済をしたり……そんな世の中が来れば面白いと思います。



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