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トピックス -企業家倶楽部

2018年03月26日

企業家はもっとメガベンチャーを目指せ/ファーストリテイリング 代表取締役会長 兼 社長 柳井 正 Tadashi Yanai

企業家倶楽部2018年4月号  2004年企業家大賞受賞


今や売上げ1 兆8600 億円と、アパレルで世界第3 位の企業に駆け上がったファーストリテイリング。総帥の柳井正会長兼社長は、「世界をより良い方向に変えていくためにチャレンジし続ける」と、その手綱を緩めることはない。2017年には東京・有明に有明オフィスを完成させ、真のグローバル企業を目指し世界に挑む。「日本の若い企業家はもっとメガベンチャーを目指せ」と鼓舞する柳井社長に、企業生き残りの極意を伺った。




問 柳井社長は2004年に企業家大賞を受賞されて、その後審査委員としてご活躍いただきました。20周年に寄せてメッセージをお願いします。

柳井 日本が今後生き残っていくには、本当の意味のアントレプレナーが出てこないといけないが、非常に少ない。今の若い企業家は上場が引退興行にならないようにしなければなりません。上場がスタートライン。スタートラインに向けてダッシュすることと、社会を良い方向に変えるような企業を作ってもらいたいと思う。もっとメガベンチャーを目指し、それこそ孫さんくらいにホラを吹いて、実行してもらいたい。経営は実行なので、自分が言ったことを実現する方法をよく考えて、最後まで諦めず挑戦してもらいたいと思います。



経営者は24時間仕事のことを考えよ

問 みんな思うだけで、実行しないですね。 

柳井 人がやったことの思考回路を辿っているだけで、自分で考えていない。

問 孫社長や柳井社長は、自分とは違う特別な才能があると思っているようです。

柳井 そんなものは何もありません。実行したかどうかです。自分の仕事が自分の命だと思って、仕事にエネルギーをかけないと。エネルギーのかけ方が足りないと思います。特に会社を立ち上げた時、お金がいつまで続くのか。会社が潰れたら皆が困ることになる。そういう危機感がもっと必要です。服はシーズン商売なので、そのシーズン中に全部現金に換えない限り、資金繰りが出来ない。こうしたお金の大切さを実感してきたので、生き残れたんじゃないかと思う。

問 資金繰りで寝られないような時もあったのですか。

柳井 僕は寝られていた。というのも疲れ果てて寝ていた。いつもシーズンが変わる2月と8月に倒れるんです。倒れて発熱と嘔吐で1週間くらい寝ていた。今は年を取ったので、毎日同じリズムで仕事をするようにしていますけどね。

問 若い時は本当にギリギリまでという感じだったんですね。

柳井 それくらい仕事をしてなんとか生き延びられるということ。昔のことを思ったら今の仕事は楽なもんですよ。

問 働き方改革で、日本は楽な方向へ行こうとしています。

柳井 あれは危険だと思う。本当に経営者になりたいと思ったら、24時間自分の仕事のことを考えていないと、経営は出来ないと思う。それを苦しいと思うのか、楽しいと思うのかの違いで、楽しくして問題解決することで自分も成長するし、部下も成長する。今はそういう体験をさせなくなった。過保護ですよ。

問 ちょっと山を越えたと思って安心すると、すぐまた次の山が現れる。

柳井 それはしょうがないよね。人生ですから。

問 好きなことをやっていて、ころっといけたら最高ですね。

柳井 最高ですよ。よく「何でも叶えてあげると言われたら、どんなことを希望しますか」と聞かれるが、僕は「今のままでいいです」と答えます。好きなことをやっていますから。

問 それでもゴルフと同じでアゲインストとフォローの風はありますか。

柳井 それはあります。でもアゲインストよりもフォローの風の時に気を付けなければいけない。邱永漢さんからもらった「失敗する原因はいつも得意になっている時、成功する原因はいつも自分が苦しんだり拒否したりしている時」という標語があって、六本木のオフィスに掲示しています。売れている時が一番危険。自分が成功していると思っている時が一番危険だと思います。ユニクロがブームになった後、売れなくなってむしろホッとした。社員みんなが商品は自動的に売れると思ったら危険ですから。

問 売れなくなって安心したということですか。

柳井 そうです。正常になって安心した。特に中間管理職とか、新しく会社に入ってきた人が「自分たちが優れているから成功している」と思い始めたら、それは危険です。



時代に合わなければ会社は潰れる

問 ナンバー2や共感者をどうしたら得られるでしょうか。

柳井 そういう人が欲しいと思わないといけない。そこの会社が正しい考え方で、経営者が強く思っていたら、必然的にそういう人は現れる。身分相応です。100億円しか売らないのに1000億円とか1兆円できる人が来るわけがない。仮にそういう人が来ても100億円の会社で能力を発揮しようがない。だから身分相応を考えないと。

問 相応しい人は欲すれば現れるものですか。

柳井 そういう人が欲しいと言い続けなければいけない。ほとんどの人は言わずに、会社の規模が変わっても、そのままの人材で済ませている。それでは成長しない。

問 ステージを上げていかなければいけないんでしょうね。

柳井 でも一番強いのは時代ですね。時代に合わなければ会社は潰れる。

問 時代というのは自分の感性とか感覚が大事ということですか。

柳井 時代がどういう風に流れているのかという情報を自分のアンテナで集めないといけません。


時代に合わなければ会社は潰れる

有明から世界に発信

問 この有明オフィスはそのスケールの大きさと随所にこだわりがあって驚きました。

柳井 僕のこだわりというよりも、これを作ったのはジョン・C・ジェイという当社のプレジデント・オブ・クリエイティブ・ディレクターです。彼が世界一のクリエイターだと思っているが、15年かけて口説いてうちに入ってもらった。

問 彼の何が違うんですか。世界観ですか。

柳井 世界中のクリエイターを全部知っているし、それだけの実績を上げてきた人です。

問 ジョン・C・ジェイさんと一緒にプロジェクトを作り上げたのですか。

柳井 こういう人に設計を頼んで、こういう風に作ったらいいんじゃないかというのを僕と討論しながら、うちの社員も入れて作っていった。家具が好きで、その選定も全部やってくれましたが、やっぱり彼の趣味は良いですよね。 

問 ユニクロチームがこちらに移転して1年、手応えはいかがですか。

柳井 変わりつつあるんじゃないかな。我々で有明プロジェクトにコミットするということが世界に伝わってきたので、世界中から問い合わせや一緒に仕事をしたいという人が増えてきた。それだけでもここを作った意味はあると思います。

問 来訪者はアパレル業界に止まらないのですか。

柳井 それこそ色々ですよ。世界が広がりますし、ここに来たら空間が広くて、色んな国籍の人がいて一緒に仕事をしているのでみんなびっくりします。

問 色んなものが化学反応を起こすわけですね。

柳井 将来的にはここがグローバルヘッドクオーターになっていかないといけない。今はまだジャパンヘッドクオーターにしか過ぎない。

問 売上高の海外比率が国内を超えましたね。

柳井 超えましたが、まだ「日本の企業」が世界に出ているだけで、「日本の企業であってグローバル企業」が世界に出るところまでいっていない。


有明から世界に発信

アジアの中産階級が台頭する今はチャンス

問 柳井社長はどこまで行くのか、というのが注目されています。世界3位になって、昨年はZARAの本拠地のスペインに出店、今年はH&Mの本拠地のスウェーデンに出店すると発表されました。いよいよですね。

柳井 今世界中で色んな紛争があって心配する人が多いですが、昔に比べたら色んな国に出店しやすくなりました。むしろ今は良い時代なんじゃないかなと思っている。世界的に見たら、史上初めてアジアの人たちが中産階級になっていく。アジアの人口は世界の半分です。その人たちが中産階級になれる、良い時代だと思います。

問 中国人も80万円くらいの年収になったら海外旅行に出かけるそうですね。

柳井 皆さん勘違いしている。中国でもアジアでも管理職以上、経営者の年収は日本よりよっぽど高い。中国のGDPが日本の2倍くらいになっている。あれだけの人口を食わせて統治しているということは、すごい政治力だと思います。

問 AI化、EC化が進み、アマゾンの寡占が心配されていますが。

柳井 どんな会社であっても全部独占できるわけがない。AIは人間のヘルプをするだけで、単純作業は置き換えられても、人間には考える力がある。最後に残るのはクリエイティビティ、イノベーションの2つではないかと思います。AIを使おうと思ったらAIの前に自分の頭を使わないと。AIを使って正解が出るわけがない。

問 柳井社長の今後の夢・目標をお聞かせ下さい。

柳井 夢は特にないですね。今既にやっていますし、僕が今からやらないといけないのは後継者にどうやってバトンを渡すかという問題です。

問 残すのはイズムですか。

柳井 イズムもだし、会社自体の基本的な生き方、あり方みたいなものを残し、よりブラッシュアップして本当に良い会社にしていく。そういうことだと思います。

問 今、後継者を育てているということですね。

柳井 経営者育成が僕にとって最大の課題です。1人じゃなくて、200人経営者を育成しようと。

問 FRMIC(ファーストリテイリングマネージメント&イノベーションセンター)は今も続けておられるのですか。

柳井 ええ、やっています。

問 今その方たちの育成度合は、柳井社長からご覧になって何合目くらいですか。

柳井 まだ3合目でしょうね。

■会社概要

事業内容 ユニクロ、ジーユーなど衣料品ブランドをグローバルに展開

売上高 1兆8619億1700万円(2017年8月期)

営業利益 1764億1400万円(2017年8月期)

上場市場名 東証1部



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