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トピックス -企業家倶楽部

2018年03月27日

日本の農業に貢献したい/農業総合研究所 代表取締役社長 及川智正 Tomomasa Oikawa

企業家倶楽部2018年4月号 2017年ベンチャー賞受賞




右肩上がりに成長

問 2017年、品川に東京オフィスを移転されました。

及川 東京近郊の集荷場へのアクセスが良い上に、新幹線の通る品川駅や羽田空港にも近くて便利です。富士山が見えますし、おまけに安い(笑)。良いことずくめですね。

問 事業の方はいかがですか。

及川 お陰様で順調に拡大し、生産者7200名強、集荷場72拠点、スーパー1066店舗を結んでいます。スーパーのうち6店舗は香港です。流通総額、つまりスーパーにおける売上げは前期70億円ほどでしたが、今期は90億円を超える見通しで、売上げも右肩上がりに伸びています。

問 スーパーを選ぶ決め手は何ですか。

及川 基本的にどこでも構いませんが、重要なのは物流拠点となるセンターを独自で持っていることです。弊社の集荷場から全ての店舗へ配送するわけにはいきませんので、スーパー各社のセンターへ納品しています。

問 特に集荷場を増やしている地域はありますか。

及川 やはり人口密集地である東京が最も売れますから、首都圏に向けた拠点を作っています。しかし、近場の千葉県や埼玉県からの供給のみでは、夏や冬に商品が足りなくなってしまう。そこで、17年に北海道と九州に拠点を作りました。今後はこの2大産地での展開を拡大していきます。

問 季節や状況によっては、東京にも北海道や九州の農産物が並ぶわけですね。

及川 近場の農産物を売った方が物流コストも安く、環境にも良いですから、あくまで足りない場合に持ってくるイメージです。また、冬場の北海道のスーパーに暖かい九州で穫れた農作物を送ることも考えています。



香港から海外事業を強化

問 海外はグループ企業の世界市場が手掛けておられますが、いかがですか。

及川 現在、香港のスーパー6店舗に出荷しています。香港での成功が海外進出の第一歩だと考えていますので、まずはこの地を固めていきます。

問 日本全国から出荷しているのですか。

及川 基本的に神戸港から船を回していますので、西日本の生産者からの出荷が多いですね。本来私たちの仕組みでは、売れた分だけ支払うのが原則です。しかし、海外は物流や仕組みがまだ出来上がっていませんし、為替リスクもありますから、現段階では生産者や市場から作物を全て弊社が買い取っています。それを世界市場に卸し、世界市場がスーパーに販売委託している形です。

問 海外に出荷したいという生産者はいるのでしょうか。

及川 たくさんいらして、喜ばれています。生産者から直接仕入れた農産物に関しては、名前入りで売られますからね。最終的には日本・海外に関わらず、希望のスーパーで売れるようにするのが理想です。しかし、まずは物流のプラットフォームを構築し、農作物を動かすことが先決でしょう。その後、様々なニーズを汲み取りながら、状況に応じて仕組みを固めていきます。

問 18年8月期の第1四半期では売上げこそ伸びていますが、利益が少々赤字となっています。これは先行投資をされた影響ですか。

及川 その通りです。私たちは現状に甘んじることなく、日本の農業をもっと良くしていきたい。流通総額が今の10倍の1000億円になった時、このままの体制では耐えられません。急速に拡大するために、物流、人材、ITの3要素に対して投資を行っております。

問 具体的にご教示いただければ幸いです。

及川 最も大きいのは物流です。まずはコストダウン。今でもかなり抑えていますが、さらに効率よく運んでいきたい。そして、弊社は現在72拠点、1066店舗を結んでいますが、時間帯や距離によってはどうしても行けないところができてしまうので、ここをカバーしていきます。

 また、より多くの農作物を出荷する意欲があるにも関わらず、高齢や人手不足のため、袋詰めなどの作業が出来ずに諦めている方が大勢います。それならばバラのまま納品していただき、弊社が少し手数料をいただいて袋詰めを行うなど、様々なニーズに対応した試みを始めています。

問 人手が必要になりますね。

及川 ただ、私が大切にしているのは「持たない経営」です。最初50万円で創業したのでお金がなく、持たなくて良い方法を考えた結果、現在のような形になったのですが、これからも「持たない」ことを強みにして、農業をより良くするための本質的な部分を真剣に考えられる会社にしたいと思います。



1つ飛ばしの戦略

問 未来戦略をお聞かせ下さい。

及川 まずは流通総額を上げていきます。スーパーの店舗数と生産者数は私たちの宝物であり、資本ですから、これを大切に着実に広げていく。今のところ、私たちの売り場の売上げは、スーパー全体のほんの10%ほどです。もう少し卸売りとして食い込んでいけるでしょう。野菜と果物だけでなく、米や花、魚、加工品のジャムなどを売ってもいい。さらにドラッグストア、ホームセンター、コンビニ、ECモールなどの販路拡大も視野に入れています。

 生産と小売は当社の隣にあたるビジネスですが、実は相乗効果が薄いと考えています。ですから生産はせず、生産者へ種、苗、肥料、農薬などの卸をする。小売はせず、外食や食品工場への販売を行う。すると、オセロのように一気に業界も変わるのではないでしょうか。私はこれを「1つ飛ばしの戦略」と呼んでいます。また、私たち市場外流通は成長していますが、右肩下がりの市場流通を何とかしなければなりません。そのために、私たちが市場を運営することも考えられます。

 ECで農産物が販売されていますが、それはEC大手に任せればいい。私たちはあくまで、農業総合研究所に登録すれば「全国数万件のリアル店舗で自由に販売出来る」というリアルプラットフォームに力を入れていきます。簡単にリアル店舗で売れる仕組みを提供すれば、食品だけでなく、日本各地の小さくても良い技術を持った会社や職人の商品、アート、歌などの「事」まで販売できます。面白いクリエイティブな日本を作っていきたい。それに成功したら、今度はそのプラットフォームを海外にも輸出したいですね。



今は良い時代だと認識せよ

問 17年にベンチャー賞を受賞されました。企業家賞20周年にメッセージをお願いします。

及川 20年前、私はまだ大学生で、その頃の企業家は駄目人間のレッテルを貼られたものでした。御誌のようなメディアが情報発信してくれたからこそ、企業家の地位も上がってきたと思います。自分の子どもが「企業家を目指す」と言った時、応援してくれるような社会になるよう、これからも頑張っていただきたい。

問 これから起業する若い方々に一言お願いします。

及川 一番重要なのは「まずやる」、そして「リスクを背負う」ことです。成功の反対は失敗ではなく、「やらない」こと。やったからこそ生まれるものはたくさんあり、それは自分でしかできません。

 そして、今がとても良い時代だということを理解せねばなりません。周囲にも「良い時代だ」と声を大にして言うべきです。皆が「良い時代」と言えば絶対に良くなります。情熱を持ってやりたいことに挑戦すれば、何でも出来る楽しい時代なのです。




■会社概要

事業内容 農家の直売所事業、農産物流通事業、農業コンサルティング事業

売上高 16億5900万円(2017年8月期)

経常利益 1億3000万円(2017年8月期)

上場市場名 東証マザーズ



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