2018年03月30日
アパレルからライフスタイルストアへ/ストライプインターナショナル 代表取締役社長 石川康晴 Yasuharu Ishikawa
企業家倶楽部2018年4月号 2012年チャレンジャー賞受賞/2016年企業家大賞受賞
2016年、クロスカンパニーからストライプインターナショナルへと社名を変更。次々と新戦略を打ち出す石川康晴社長。この2 月には「hotel koetokyo(ホテル コエ トウキョウ)」をオープン、ライフスタイルメガストアとして新境地を切り拓く。石川社長の野望はそれだけで終わらない。百貨店のEC プラットフォームに進出、先行するゾゾタウンに挑戦状を突き付ける。死ぬようなこと以外は何でも挑戦したいと語る石川社長のチャレンジ魂に迫る。
石川 20周年おめでとうございます。孫さんやジャック・マーさんを含め、素晴しいグローバルリーダーが選出されて、その後ダイナミックに成長していく、その1つのポイント地点に企業家賞があると思っています。僕たちも今後10年後20年後に振り返った時、あそこが1つのポイントだったなと言えるような場になって欲しいです。
問 精力的に事業を展開していますが、渋谷のkoeがオープンしました。飲食やホテルを併設したのには何か狙いがあるのですか。
石川 アパレル大手としてGAPやH&M、ZARAがありますが、アパレルだけのグローバル戦略は難しい時代になってきていると感じました。
問 日本は構造不況ですが、グローバルでも難しいですか。
石川 ファッションだけの拡大路線は難しいと思いますが、一方で衣食住+文化を束ねたライフスタイルメガストアには可能性がある。新しいライフスタイルメガストアという概念をkoeで作ろうとしています。今回の店は1階には食事ができるフードスペース、2階にはアパレル、3階はホテル、さらに文化としては週末に毎週音楽イベントを開催します。
問 毎週音楽だけのために来店する人もいると。
石川 もちろんそうですね。ここをブランドと顧客の関係性を高める場所にしたいと思っています。ゾゾタウンを筆頭にEコマースがものすごいスピードで成長していますが、これからはリテイルとEコマースは表裏一体で考えないといけない時代。Eコマースだけだとお客様との関係性はすごく薄い。
問 実際のお店も必要ということですね。
石川 今は販売員が服の説明をするだけの店にはお客様は満足しない時代です。koeがプロデュースする音楽が聴けたり、koeがプロデュースする食事ができたりする。ファッションだけだと年に3~4回の来店かもしれないが、食と音楽とファッションを足して、年に10回以上来店してくれれば、ブランドとお客様との関係がより強くなる。koeの渋谷はお客様との関係構築をさらに強固にするための、体験型ストアなのです。「ニューリテイル」と呼んでいますが、新しい小売の概念を作っていきたい。洋服という領域からライフスタイルという領域に変え、より顧客との関係性を高めたいというのが一番の狙いですね。
問 最近アパレルがフードに参入していますが、どんなフードスペースになるのですか。
石川 フードのテーマが「日本のソウルフード」。5つの要素がありまして、1つは居酒屋、2つ目はラーメン。3つ目は洋食屋で具体的にはコロッケやメンチカツ。4つ目はパン。特にやきそばロールとか、メロンパンとか、フランスに無いパンです。5つ目がカフェ。フランスにもイタリアにもカフェはありますが、ドリアやグラタン、パスタを出すカフェはありません。
問 昔の純喫茶のようですね。
石川 この5つの要素を日本のソウルフードと呼んでいますが、インバウンドの人にもkoeのベーカリーレストランは喜んでいただけると思います。
問 何でもありは便利ですね。
石川 koeロビーがベーカリーレストランですが、5つのソウルフードが食べられるkoeのフードスペースになります。ここは新しい日本を代表する業態になるかもしれません。
問 どなたが監修されたのですか。
石川 東京・青山のミシュランの星付きレストラン「ナリサワ」で修行した掛川哲司シェフにお願いした。お茶漬けもメンチカツもラーメンもミシュランのシェフにB級グルメを作ってもらいました。
問 Eモールに参入とのニュースには驚きました。
石川 百貨店を好むお客様をターゲットにしたデパートメントECです。三陽商会やレナウンなどの百貨店アパレルで構成される部分と、秋からはラグジュアリーブランド、来春からはセレクトショップも入る。こうした領域で構成されるプラットフォームが、ストライプデパートメント、通称「ストデパ」です。
問 ここで御社のアース ミュージック&エコロジーは買えるのでしょうか。
石川 買えません。完全なプラットフォーマーになりますので、大人のゾゾタウンと思っていただければ幸いです。ゾゾはターゲットがF1層。僕たちはF2層です。そのマーケットがすっぽり空いていたので、立ち上げることにしました。
問 百貨店に行ってもサイズがあまり無いので、ついEコマースで買ってしまいますからね。
石川 まさにそうした百貨店の課題を解決しようと考えました。ブランド数が減っていて、新規ブランドが入らなくて、地方ではやむなく廃業しているのが今の百貨店。それを解決するためにスタートします。
問 商品はレディースだけではないのですね。
石川 紳士服と婦人服と靴とカバンも入ります。600ブランドからスタート、年内中に1000ブランドにし、3年で2000ブランドにします。最後は新宿伊勢丹と日本橋三越を足したようなサイトになる。Eコマースですが、試着サービスやチャットでの接客サービスもあります。
問 御社は若い人対象ですが、この考えはどういうところから来ているのですか。
石川 僕たちはSPAが強みですが、これからさらに成長しようと思ったら、プラットフォームを持たなければいけない。2年前に買収したスマービーは子ども向けのネット通販の会社で、F1向けにはストライプクラブがある。F2層に向けては今回の「ストデパ」というわけです。全世代に一気通貫して、我々の会員様にサービスを提供したい。
問 熟年層向けが無かったので喜ばれますね。
石川 今のミセスの方々はスマホも使いこなし、パソコンで買物もされますので、5年前とは環境が変わってきている。タイミング的にはちょうど良い。2月15日にオープンし、初年度売上げ16億円と考えています。3年目が100億円。長期的には1000億円にしたい。
問 海外も積極的に攻めていますね。
石川 今年特に強化するのはベトナムです。去年の11月、ベトナムのアパレルを買収したので、そこのNEMというブランドを使って1年間で23店舗出店予定です。あとはインドネシアのECサイト、ボボボボ社とアライアンスを組みました。
問 インドネシアは日本と逆で若い人が多いですからね。
石川 ベトナムとインドネシア、東南アジアを強化していきます。
問 他の国はいかがですか。
石川 中国本土は2級都市にテスト店を出していきたいですね。1級都市中心に今26店あります。台湾と香港を足すと63店。タイにも17店あります。これまで香港、台湾、大陸、タイを中心に出店してきましたが、そこにベトナムとインドネシアが入ってくる。
問 どのブランドで出ていくのですか。
石川 中国の2 級都市はアース、ベトナムはNEM。インドネシアのボボボボ社はECですから、ストライプグループの全ブランドが入ります。
問 海外の5年後の店舗数はどのくらいになりますか。
石川 今、国内外合わせて1500店舗弱で、そのうち海外が100店強ですが、2倍にはなると思います。
問 石川社長が目指すものとは何でしょう。
石川 創業から5年はセレクトショップ、その後15年はSPAで伸びてきました。ここから何をやるかということですが、1つはこの秋・冬に上場を目指している会社として、大きな調達資金も入ってくるので、積極的なM&Aをしていこうと思っています。2つ目はグローバルSPA。これはZARAやユニクロを追いかけながらやっていきます。3つ目はプラットフォーム。これは今回の「ストデパ」、「メチャカリ」が入ります。キーワードがM&AとSPAとプラットフォームです。M&Aが積極的な企業としてはソフトバンク。SPAならばファーストリテイリング。プラットフォームはスタートトゥデイ。だから「ソフトバンク+ファーストリテイリング+スタートトゥデイ」を目指します。
問 5年後の売上げはどのぐらいでしょうか。
石川 今期目標が売上げ1450億円。2020年が1つの節目で、売上げ2000億円、その後の5年間で3000億円、そこからはユニクロが10年で急成長したように、我々も成長していきたい。
問 社長として一番大切にしていることは何です
か。
石川 お客様に寄り添うことです。必ず現場に行き、お客様を見て、お客様の一番近いところにいる販売スタッフと話をすることがルーティンワークです。お客様はどんどん変化、進化しますからね。
問 お客様と一緒に変化していくと。
石川 お客様がどんどん便利な行動に変化してきているので、それに必死に合わせていかなければなりません。逆に先回りして提案することもやっていきたいですね。
問 若い方へのメッセージをお願いします。
石川 死ぬようなこと以外は全て挑戦すべきだと思います。これは自分にも言い聞かせているスローガンです。
■会社概要
事業内容 「アース ミュージック&エコロジー」「koe」を始めとするアパレルブランドを世界展開
売上高 1450億円(2018年1月期見込)
経常利益 非公開
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