2018年04月02日
銀だこで世界中の人を笑顔にしたい/ホットランド 代表取締役 佐瀬守男 Morio Sase
企業家倶楽部2018年4月号 2015年企業家賞受賞
佐瀬 企業家賞20周年おめでとうございます。2015年に企業家賞「大衆和食文化創造賞」を受賞しました。我々が挑戦してきたことを賞の名前にしていただき、すごく励みになりました。この賞を得て、今も活躍されている方は多いですし、この賞を目指して奮闘しているアントレプレナーの方もいると思います。今後も続けていっていただきたいです。
問 今はたこ焼に止まらず、「築地銀だこハイボール酒場」やたい焼、キッシュ、コーヒーなど色々と展開しておられますが、やはりたこ焼が断トツですか。
佐瀬 銀だこが主流です。今500店くらい展開しています。
問 居酒屋スタイルの「築地銀だこハイボール酒場」もよく見かけます。
佐瀬 こちらは今、40店くらいですが、銀だこの店は少し飽和感が出てきていますから、今後は銀だこハイボール酒場を100店、200店と増やしていきたいと思っています。
問 キッシュとコーヒーの事業はいかがですか。
佐瀬 キッシュやアイスクリーム、コーヒーについてはフラグシップ店を絞って、そこで得たブランドを活用し、市販品の展開という方向に舵を切りました。
問 先般、冷凍食品の話をされていましたね。
佐瀬 群馬県と埼玉県に工場を持っており、ブランドを活用したアイスクリームやキッシュ、冷凍たい焼を製造しています。これらは市販品として通販や、ネット販売、コンビニなどに卸し、メーカーとしてのポジションを築いていこうという戦略です。
問 冷凍の銀だこはいかがでしょうか。
佐瀬 昨年10月に工場を新設し、銀だこのブランドで出しました。一個一個、職人が丁寧に焼いたものを瞬間冷凍しています。従来レンジアップするとパリッと感が無くなりますが、今回はパリッとさせることに成功しました。
問 買いに行かなくても、自宅で楽しめますね。
佐瀬 他には無い「冷凍たこ焼」のジャンルを作っていくつもりです。12月から大手カラオケ店でテスト販売をしていただきましたが、大変好評でしたので、今後生協ルートやECサイトにも販路を広げます。
問 銀だこは認知度が高いですから、一気に人気になりそうですね。
佐瀬 キッシュやコールドストーンのアイスクリーム、銀のあんのたい焼も、この冷凍需要に乗せて拡張していきたいと思います。
問 外食だけでなく、冷凍食品の企業として業容が広がりますね。
佐瀬 今後、飲食店は人不足が深刻になりますので、舵の切り方としてはこれがいいと。
問 方向転換だけでなく、メーカーとしての価値を高めるわけですね。たい焼も需要がありそうです。
佐瀬 13 年に出したクロワッサンたい焼は一大ブームとなり、皆さんの記憶に残っています。スーパーやコンビニでも売れるのではないかと、この4月に新しい製造ラインを作り売り出そうと考えています。
問 実際にやられてみて、メーカーとしてはいかがですか。
佐瀬 手応えはすごくあります。今の時代、地代、建築費、人件費を考えると出店は大変です。たこ焼はカラオケ店や映画館でも売れますし、おやつや夜食にも食べていただける。市場は無限にあるのではないかと期待しています。
問 海外展開についてはいかがでしょうか。
佐瀬 海外を多店舗化するのが遅くなりました。理由は食材リスクや技術、値段の問題です。しかし、新たな機械を開発し、タコ以外のものをたこ焼の中に入れるという工夫をしています。
問 たこ焼の中に何を入れるのですか。
佐瀬 例えば、焼きそばやすき焼きなどを入れ、丸い形のたこ焼ボールを日本のファーストフードと連想させていきます。原点に戻り、小さくてお金のかからない店舗を世界中に大量出店していきたい。
問 ロサンゼルスに出店すると言っておられました。
佐瀬 かつやを展開しているアークランドサービスと合弁で「ランドランドUSA」を設立、一緒に進めていきます。1つの店の中にたこ焼、から揚げ、焼きそばが並ぶ店をフードコートに出す予定です。6月頃にはお店が出ます。
問 色々ある方がお客様も選びやすいですよね。
佐瀬 お互いの会社が持っているノウハウを出し合って、店作りをしていきます。
問 それは力強いですね。アジアへの展開はいかがでしょうか。
佐瀬 タイ、マレーシアは好調です。タイは全部で11店舗ある。香港には直営子会社があり、台湾でも展開していますが、中国本土はこれから本格的に狙います。
問 インドネシア進出も考えておられるとか。
佐瀬 まだこれからです。一つのファーストフードとしての位置付けを作りたいですが、そのためにしっかりとしたパートナーと組まなければなりません。
問 アジアはパートナーが重要かと思います。他の国も行けそうですね。
佐瀬 中東やヨーロッパへの展開も考えていきます。
問 たこ焼を中心に和食文化を世界に展開する戦略ですね。
佐瀬 今後は銀だこに集中しながら、国内ではハイボール酒場を出店、冷凍事業もしっかり固めて、後は海外展開です。
問 企業家として一番大切にしていることは何でしょうか。
佐瀬 食べ物屋ですから、まずは美味しいものを出すことと、お客様の笑顔を大切にしたい。
問 スタッフをまとめていくリーダーシップは大変だと思います。
佐瀬 会社のトップが「美味しいものを売るんだ」「笑顔をお届けするんだ」とブレずに言い続けなければ伝わりません。
問 創業30年、これまで様々なチャレンジをしてきたことが実ってきていますね。
佐瀬 色々やってきて、時にはブレたりしましたが、今はやりたいことが明確になってきました。以前は「あれもやりたい、これもやりたい」「これをやったらもっと儲かる」といったことばかり考えていましたが、今はその邪念が無くなりました。自分がやるべきことは銀だこを通じて美味しいものを安く世界中の皆様にお届けすることだと定まった。
問 企業家人生を振り返っていかがですか。
佐瀬 楽しいです。30年やってもまだ結果は出ていませんが、さらに楽しい10年があるような気がします。
問 若手経営者へのメッセージをお願い致します。
佐瀬 自分のアイデアで起業して、仲間や取引先を巻き込んで仕事ができる企業家人生は素晴らしい。他では味わえません。ぜひチャレンジして欲しいですね。
■会社概要
事業内容 たこ焼「築地銀だこ」、薄皮たい焼「銀のあん」、アイスクリーム「コールド・ストーン・クリーマリー」などを多店舗展開
売上高 340億円(2017年12月期見込)
経常利益 11億5000万円(2017年12月期見込)
上場市場名 東証1部
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