• トピックス
  • 企業家倶楽部
  • バックナンバー
  • 企業家チャンネル
  • 私の注目ニュース
  • 新商品コーナー

トピックス -企業家倶楽部

2018年04月03日

七転び八起きの精神が今を作る/ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 南場智子 Tomoko Namba

企業家倶楽部2018年4月号   2006年企業家賞受賞




根性を培った秘訣は父親にあり

問 御社が企業家賞を受賞されたのは12年前の2006年。当時はどんな状況でしたか。

南場 会社がちょうど軌道に乗っていた時期ですね。前年に上場し、携帯電話向けSNS「モバゲー」のサービスを始めた年です。まだ大きな挫折を味わっておらず、今後ずっと上手くいくような気がしていました。

問 それでも、最初に単月黒字となるまでは苦しかったのではないでしょうか。2~3年かかっていますよね。

南場 苦しかったですが、「絶対に上手くいくはずだ。乗り越えられるはずだ」と信じていました。根性は昔からありましたからね。

問 その根性はどのように培われたのでしょうか。

南場 ビジネスマンの父がかなり厳しかったことが大きいです。母は天使のように優しかったのですが、父は鬼みたいでした。東京の大学に行くと言っただけで猛反対されたのを覚えています。それでも、最終的には父の方が妥協してくれました。

問 東京の大学へ行く上での条件などはありましたか。

南場 入学するならば津田塾大学であること。他にも寮に入る、ボーイフレンドを作らない、学生運動に参加しないなど色々ありましたね。そして、卒業後は地元新潟に帰って来ることを約束させられました。

問 ですが、結局新潟には帰っていませんよね。

南場 戻るどころか、アメリカに留学しました。その時も父に反対されましたが、大学の先生が説得してくれた。1年間留学したので、大学には計5年通った計算です。

問 就職の時も反対にあったのでしょうか。

南場 そうですね。でも、最終的には認めてくれました。段々、父の方から歩み寄って来てくれたように思います。父もかなり強い人ですが、私は私で我が強いので、折れたのでしょう。

問 それで、まずはコンサルタントになられたわけですね。

南場 当時は仕事に熱中していて、アメリカのインターネット関連事業に着目していました。特に注目していたのは、バーチャルコミュニティやEコマース。私は、その両方の側面を持つインターネットオークションを立ち上げたら面白いだろうと思っていました。まだそのような事業が日本にはありませんでしたからね。後にそれが弊社の原点となります。



現場に任せて大成功

問 御社の大きな転機はいつでしたか。

南場 02年ですね。インターネット上のショッピングモールを展開して、黒字化を達成した時になります。これでようやく会社の存在が保証され、安定したのは大きかった。その後、04年3月に携帯電話専用オークションサービス「モバオク」を開始しました。ここから成長が加速したと思います。経営が良い軌道を描き始めました。

問 転機がもたらされたきっかけは何だったのでしょうか。

南場 本当にユーザーが使いやすいモノづくりをエンジニア主導で行ったことだと思います。当時、周囲を見渡しても、MBA(経営学修士)取得者やコンサルタントが経営している会社はあまり成功していないという状況でした。そこで、モバイルの分野に関しては、エンジニアの思う通りに作ってもらいました。コンサルを一切介入させなかった。すると、開発を任せたエンジニアが操作性の良いモノづくりをすることに非常に長けていて、素晴らしいサービスを作ってくれました。

 それまで何十人もの人が論理的に議論していたことなど、一瞬にして吹き飛びましたね。それまで私も偉そうな話をしていましたが、その時は真の経営者の立場とはいかなるものか痛感しました。会社の価値を作っていくのは実際にモノづくりに携わる人であり、モノづくりを分かっている人がその領域に関しては意思決定すべきだと思ったのです。

問 それでは、それ以降ご自身はあまりモノづくりには関わらなくなったのですか。

南場 そうですね。そのことに気付くまで、経営者としてはアマチュアではないでしょうか。今でも様々なベンチャー企業を見ていて、自身で元気に走り回っている経営者を見ると、まだまだだなと思う時があります。もちろん、経営者として決めるところはしっかり決めたり、統率しなければならなかったりする局面はありますが、関わらない方が良い部分もあります。自分より優れた人に現場を任せるのです。

問 経営と現場を分けるべきということでしょうか。

南場 しっかりとその区別が出来る人間を、社員は本当に頼っていくものだと思います。案外オールマイティな人は少ないですからね。私も社員を心から信じて任せるようになった結果、業容拡大しても破綻しない組織になっていきました。



転んでもただでは起きない

問 これまで経営されてきて、いつ頃が大変でしたか。

南場 常に今が一番大変ですよ。ただ、大変のスケールの大きさは変わってきたかと思います。起業したての頃は自分が走り回ることに精一杯で、直面している問題を大きく感じましたが、今考えれば全然大きくありません。今はもっとスケールが大きいと感じますが、そうなると陥りやすい罠があって、痛みや熱さを感じられなくなってしまうのです。感覚が麻痺して以前のように駆けずり回らなくなってしまったら、一番危険ですね。

問 そうなるかもしれないという危機感があるのでしょうか。

南場 眠れるようになったらダメだと思います。危機のスケールも変わってきました。以前は「目の前のリンゴが食べたいのに食べられない」という感覚でしたが、今は物価変動による国家への影響など、世界経済規模のことを考えるようになったとでも言いましょうか。あまりの規模感に何も痛みを感じなくなった時が本当に危ないと思います。

問 これまで、困難や失敗はどう捉えて来ましたか。

南場 それは当然、避けたいものです。しかし、直面してしまった場合は、次の段階へ進むためのステージだと思っています。「これを乗り越えたら皆が驚くだろうな」という感じですね。乗り越え方を見せて行く。そうでも思っていなければ経営はやっていけません。私は勝負に勝ちたい。しかし、それでも困難にある時や負けている時は、悔しいですから、元に戻る時までに何かプラスになる拾い物をしてやろうと思っています。転んでも決してただでは起きない。それは、厳しい状況であればあるほど、強く感じます。

問 最後に、企業家賞と起業を目指す若者に向けてメッセージをお願いします。

南場 企業家賞20周年、おめでとうございます。私が受賞した頃は、会社が軌道に乗り始めていて、未来を明るく捉えていたと思います。ですが、成功もずっと続くわけではありません。もちろん、失敗もそうです。一喜一憂するのが経営者。それで良いのです。失敗しても命が取られるわけではありませんからね。「目標に向かって夢中になれ」と言葉を送りたいと思います。

■会社概要

事業内容 スマートフォンゲーム事業を中心に、Eコマース、ヘルスケア、スポーツ事業等幅広く展開

売上高 1386億円(2018年3月期見込)

営業利益 269億円(2018年3月期見込)

上場市場名 東証1部



  • DEGITAL DATA SOLUTION
コメントをシェア

骨太対談
DEGITAL DATA SOLUTION
 
コンテンツメニュー
企業家賞
企業家倶楽部企業家大学
Page Top