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トピックス -企業家倶楽部

2018年04月04日

仮想通貨事業で世界一を目指す/GMOインターネット代表取締役会長兼 社長・グループ代表 熊谷正寿 Masatoshi Kumagai

企業家倶楽部2018年4月号   2004年企業家賞受賞/2017年企業家大賞受賞


インターネット業界の最先端を切り拓いて来たGMOインターネット。今や100 社以上の巨大グループとなった同社を率いる熊谷正寿代表が次に狙うのは仮想通貨ビジネスだ。「インターネットの潮流が来た時以上の躍動感を感じる」と説く彼の脳裏には、どのような未来が描かれているのだろうか。その全貌を聞いた。



断トツの技術力で半導体開発

問 御社は創業以来インターネット領域の最先端を走って来られましたが、昨年9月に仮想通貨のマイニング(採掘)事業に参入すると発表された時は驚きました。

熊谷 昨年はじっくり自分の人生や会社の未来について考えました。創業から20年以上が経過し、私たちもインターネットの古い企業になりかねないという危機感があった。そんな中、弊社の強みを鑑みて、今やるべきは仮想通貨の領域だと定め、一気にアクセルを踏みました。昨年12月20日からマイニングを開始しましたが、既に毎月順調に収益が上がっております。当初は100億円と言っていた投資額も、380億円まで引き上げました。

問 マイニングセンターを北欧に作られたと伺いました。

熊谷 仰る通りです。日本では1キロワットアワーあたりかかる電気料金は約20円ですが、北欧ならば4分の1の5円で済みます。また、寒冷な気候のため、稼働すると熱を帯びるコンピュータにとって都合が良い。政治的に安定しているのも条件として申し分ありません。

 実は、同じような地域としてロシアが挙げられました。電気料金は1キロワットアワーあたり2円。しかし、発電に使っているのが化石燃料でしたので、敬遠しました。石炭をどんどん燃やして、大気汚染と引き替えに仮想通貨を採掘するというのは企業としていただけませんからね。北欧ならば再生エネルギーを使用していてクリーンですし、かつ安価であったため、こちらを選びました。

問 マイニングに使用するコンピュータの半導体チップも、かなり良いところまで仕上がっているようですね。

熊谷 今年の1月には12nmFFCという極小の半導体チップを開発することに成功しました。現在は更に小さい7nmFFCのチップを開発・製造している段階で、そのマイルストーンですね。7nmFFCのチップに関しても目処は立っています。4月に納品されますので、それからコンピュータに組み込み、北欧のマイニングセンターに配置して、6月くらいから稼働する予定です。いずれは5nm、3.5nmとより小さくしていきたい。

 7nmFFCのチップを使えば、現在主流となっているマイニングマシンと比べて電気料金が半分から3分の1で済みます。それはすなわち、マイナーの収益性が高いということです。単に電気料金の安い地域でマイニングを行うだけではなく、半導体チップから自社開発している点が、弊社の強みとなるでしょう。日本でマイニング事業に参入している企業では私たちが断トツだと思います。



マイニングのインフラを提供

問 仮想通貨事業は新たな柱となりますね。

熊谷 昨年9月の記者説明会では、弊社が日本の上場企業として初めてマイニング事業に大規模参入するとの旨が大きく注目されました。ただその際、私たちは単にマイニングを行うだけではなく、マイニングをしたい方々のためのサービスを提供していくことも発表しました。ゴールドラッシュの時に成功したのは、金を掘っている人だけでなく、むしろ彼らにジーパンやスコップ、宿泊先、食事を提供した方々でしたよね。私たちはその立ち位置も取りに行く。それが、クラウドマイニングというサービスです。

 クラウドマイニングには、他社コンピュータを購入してきてサービスを提供する場合もありますが、私たちは先ほど申し上げた自社開発の半導体チップを組み込んだマイニングマシンをお貸し出しします。お客様からはレンタル料をいただき、加えてマイニングによって得た利益の中から管理手数料をいただくというモデルです。

問 御社の得意分野である、インフラサービスのような提供モデルということですね。

熊谷 2年契約で、その分の設備レンタル料を前払いでいただきます。値段は1契約につき500万ドル(約5億円)。ひと月あたり8契約まで新規で契約を受けつけます。この価格が高いと思われる方もいらっしゃるでしょう。実際、海外では数万円や数十万円で同様のサービスを提供している会社もあります。しかし、マイニング業界の現状を見ると、多くの新規参入者がひしめいていますから、次々に巨額の投資をできなければ、収入は減るばかりです。win-winの関係を築くには、どうしても億単位の投資が必要になります。

問 なかなか一般の方には難しそうですね。

熊谷 それでもマイニングをしたいという方は多く、弊社には毎日のように世界中から問い合わせが殺到しています。実は、お金さえあればマイニング用のマシンが買えると思ったら大間違いです。今その手のマシンは枯渇しており、お金があっても買えません。しかし、弊社はそのマシンを自前で開発した。だからこそ、世界中から注目が集まっているのです。こうした事象一つ取ってみても、私はクラウドマイニング事業に成功の感触を掴んでいます。申し込み受付開始は3月1日を目標としており、サービスの提供開始は8月となる予定です。



日本は仮想通貨先進国

問 ビットコイン市場は乱高下を続けていますが、どのように見ておられますか。

熊谷 まだまだ伸びるでしょう。仮想通貨を預けるウォレットの世界におけるユーザー数を見ると、ビットコインはじめ仮想通貨全体で現在2300万件前後となっています。そして、1日10万件が全世界で増え続けている状況です。

問 仮想通貨の規制についてはどうお考えですか。

熊谷 仮想通貨は、人類が生み出した稀有で最高の技術であるブロックチェーンを根幹としており、これを禁止してしまうのは良くないと考えています。ただ、仮想通貨業界の健全な成長に資するための、世界の協調規制のようなものならば、むしろあった方が良いかもしれません。

 実は、日本は世界的に信用度が高く、仮想通貨先進国となっています。まず昨年の時点で資金決済法が改正され、仮想通貨の定義が明確となりました。その後、財務省が仮想通貨交換業者の登録制度を導入し、厳格な本人確認と安全な運用を前提として、目下私たちを含めた16の業者に免許が与えられています。こうした健全な運営を各国が行い、この技術をより成長させていくべきだと思います。

問 仮想通貨自体に対する見解はいかがでしょう。

熊谷 仮想通貨は金(きん)か通貨か。これは歴史が証明します。しかし私は、少なくとも金であることはほぼ間違いないと確信している。だからこそ、仮想通貨のマイニング事業と交換事業に進出しました。この二つに関しては大規模に展開し、仮想通貨事業において世界ナンバーワンを目指します。

 私はインターネットの黎明期に事業を始めましたが、当時以上の躍動感をこの仮想通貨やそれを支えるブロックチェーン技術に感じています。まさにこれが世界を変えていくのではないかとワクワクしているところです。一大仮想通貨グループを創出すべく、全力でこの事業に取り組みたいと思っています。



一番志向が肝

問 新事業に夢が広がりますね。

熊谷 私は現在、90%以上の力を仮想通貨関連事業に費やしています。半導体について0から数カ月に渡って勉強し、その筋のエンジニアとも話ができるようになりました。今度は海外の半導体工場を視察しようと思っています。

問 それでも御社が揺らがないのは組織力の賜物かと思います。

熊谷 GMOインターネットグループには100社以上の会社がありますが、権限委譲されていますので大丈夫です。各社、すごく力を持っているので、お任せしていればきちんとやってくださる。私は新規事業に全力投球です。

 私は弊社を100年単位で成長するグループにしたいですし、その仕組みを作るために奮闘しています。もちろん最終的には優秀な後輩たちにバトンタッチしていくつもりですが、今は基盤作りの最中なので、もう少し私が引っ張るつもりです。

問 経営者として大切にしていることは何でしょうか。

熊谷 判断・行動の基準が大事です。弊社の場合、それは周りの方の笑顔。お客様に喜んでいただけるから、関わるパートナー(従業員)が誇りを持って仕事ができる。結果として利益が出るので、株主の方にも喜んでいただける。この笑顔の循環を判断・行動の基準にしています。

 そのためには何が必要かと言うと、一番志向です。昔は営業力でモノが売れた時代もありましたが、インターネットの普及により、モノの情報は瞬時に無料で入手できるようになりました。したがって、偽物や一番以外のものを売っていると、あっという間に分かってしまう。お客様に喜んでもらうためには、本物かつ一番でなければなりません。

 ですから、企業家はそのことだけを考えて、一番のものを提供し続ける必要があります。結果として、売上げもシェアも一番になっていく。そこに集中することで、結果皆が笑顔になるのです。



夢は必ず叶う

問 言うは易く、行うは難しですね。

熊谷 それでも、言い続ければ自然と組織が一番志向になっていきますよ。私は同じことを20年以上言い続けていますし、それは皆で唱和している企業理念「スピリットベンチャー宣言」の中にも明記されていますので、考えが全社に浸透しています。

 実は、私は一度も幹部研修をしたことがありません。「スピリットベンチャー宣言」を読めば、それで研修終了なのです。あそこには、私の価値基準、判断・行動の基準が全て盛り込まれていますからね。企業は人の集合体ですので、「自社ではこれが正しい」という価値基準を全員に徹底しなければなりません。それを成し遂げたのが、弊社最大の強みです。5000人規模の会社が、いきなり私たちと同じことを真似しようとしても不可能でしょう。

問 熊谷代表は2004年に企業家賞を受賞され、そして昨年大賞に輝かれました。是非、今回の企業家賞20周年に際してコメントをいただきたく思います。

熊谷 まずは、20周年おめでとうございます。2度も賞をいただくというのは夢みたいな話で、誇りに思っておりますし、私にとってモチベーションにも繋がっています。いただいたからには恥じないように頑張って、「あの賞をもらった人は皆すごくなる」と言われるように、賞の価値を高めていきたいと思います。

問 最後に、先輩経営者として若手へのメッセージをいただければ幸いです。

熊谷 夢は必ず叶う。思い続けて行動あるのみです。

■会社概要

事業内容 インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、金融事業、仮想通貨事業など

売上高 1542億5600万円(2017年12月期)

経常利益 173億1500万円(2017年12月期)

上場市場名 東証1部



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