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トピックス -企業家倶楽部

2018年04月12日

発想力で切り拓く/ベステラ 代表取締役社長 吉野佳秀 Yoshihide Yoshino

企業家倶楽部2018年4月号  2 0 1 6年ベンチャー賞受賞




作る人には壊せない

問 2017年には東証1部へ指定替えをされました。おめでとうございます。改めて御社の事業内容を教えてください。

吉野 製鉄所・発電所および各種工場等のプラント設備の解体です。日本で解体を専門とする会社は弊社のみでしょう。「リンゴ皮むき工法」に代表されるような独創的な工法が特徴です。ただ単に解体するのではなく、解体の仕組みを作るのが我々の仕事。作った人には壊せません。

問 御社が躍進するきっかけとなった「リンゴ皮むき工法」について詳しくお聞かせ下さい。

吉野 火力発電所などの球体ガスタンクの解体手法です。丸みを帯びた鉄板を溶接して作られているので、従来はそれらを一枚一枚外してクレーンで降ろしていました。作った方法の逆を辿ろうというわけです。ただ、この方法ではクレーンで重い鉄板を吊るため、風の影響を受けやすい。高い足場で作業をする人に危険も伴います。

 一方、我々の工法ではガスタンクの底をくり抜き、上からりんごの皮をむくように「りんご☆スター」という小型ロボットが鉄を切断する。切られた部分は重力によってとぐろを巻いて下に落ちていきます。「より早く、より安く、より安全に」を合言葉として考えられる解体方法だからこそ合理的であり、「美しい」のです。

問 解体業ながら重器具を持たないというのは御社ならではですね。

吉野 我々は工事を管理・遂行することが役割ですので必要ありません。重機を持つと無理な受注をしてしまう。社員が少なく仕事も無かった頃は、事務所で勉強をしていました。

問 現在も考える文化は御社の強みですね。吉野社長は解体業の今後の展開をどう見据えていますか。

吉野 今後30年間で耐用年数を迎える施設の割合が加速度的に増加します。プラントも同様に、高度経済成長期以降に建設された設備の老朽化が急速に進むことは間違いありません。産業競争力強化のため、企業の再編や海外移転も更に加速するでしょう。

問 3D事業はいかがですか。

吉野 高度経済成長期の建造時に設計されたプラントの大半が紙面データで管理されています。しかし、改修や経年劣化等により、現状設備と紙面データの内容が異なっているものがほとんど。設備全体を把握することは困難です。

 そこで弊社では、解体対象全体を3Dレーザースキャナーで計測、点群データ化しています。点群データは机上のパソコンで形状確認や寸法計測ができるため、設備の入れ替えのシミュレーションも容易です。これにより、施工会社や現場事務所への共有が可能となります。解体シミュレーション時に作成した動画を現場でモニターを使用して上映・教育指導もできますので、工事の安全性・効率性の向上に繋がるでしょう。

 また、3D点群マップデータを利用して、自律行動を行うロボットの開発を、京都大学、山口大学と共同で研究し始めました。ロボットを導入し、粉塵、有毒ガス、荒天など、人間が立ち入れない環境でも安全に施工することを目指します。



次なる目標は1000億円企業

問 16年には最年長上場社長(当時)として東証マザーズ上場を果たされましたが、上場されていかがでしたか。

吉野 上場とは企業情報を公開することで資本を受け入れ、情報や出資が得られるわけです。10年以上かけてIPOしましたが、とんでもない新しい世界に入ったと思いました。情報や資金だけでなく、人材の集まりや信用の度合いが全く違う。市場が評価して認めてくれているわけですから、恵まれた環境をバックにまた戦えます。

問 10年前、「故郷の愛知県には世界一の自動車会社があるのだから、プラント解体で世界一になる」と仰っていたことを今でも覚えています。

吉野 企業家倶楽部の会長に出会った頃ですね。大手新聞社を辞めて若い企業家を育てるとは大変なことですが、頑張っていただきたいと思うと同時に、自分ももっと奮闘せねばと気合が入りました。

問 吉野社長は家業を継いでから54年になりますが、いかがですか。

吉野 何かができるから続けたというよりも、やらなければいけないから頑張ってきただけです。その一方、「どこまで頑張れるか、できるのか」という欲望は衰えません。

問 まさに企業家ですね。吉野社長にとって企業家とは何でしょうか。

吉野 できることをやるのは企業家ではありません。誰も信じないようなことを実現するから楽しいのであり、やりがいがある。売上げ1000億円を達成すると宣言した時も、みんな唖然としていました。しかし、経営者は大きな目標を口にしなければなりません。

問 売上げ1000億円を達成するための未来戦略をお聞かせください。

吉野 「協力することがお互いのためになる、スピード感が変わる」と思う相手とは提携やM&Aをしていきたいと考えています。様々な会社が一つになり、シナジーが生まれるわけです。

 本業は堅調なので、頑張っているベンチャーに出資することも考えています。IPOする会社が3、4つできれば嬉しいですね。1000億円は夢物語ではありません。



本から生き方を学べ

問 若い企業家が吉野社長から学ぶことは多いと思います。どのように指南されますか。

吉野 一番良いのはケツを叩くことです。「何が足りないんだ、いいからやれ」と応援する。大きな市場があるにもかかわらず、立ち止まっていては勿体ないでしょう。

 斜陽産業の中でブランドを作って成功した経営者はたくさんいます。ジンズの田中仁社長やホットランドの佐瀬守男代表もそうでしょう。メガネに追加機能を付加したり、たこ焼とハイボールを組み合わせたり、工夫をされました。企業家は走りながら考え、手応えを感じても更にその上を考えるものではないですか。

問 これから挑戦したいことはありますか。

吉野 リサイクルや産業廃棄物の業界をまとめたいと考えています。これらに関する産業のことを静脈産業と言い、一方で製造業を動脈産業と言います。弊社は解体業ですから、どちらかと言えば静脈産業に入るかもしれません。まだ具体的には考えていませんが、この動脈と静脈の間に着手したいですね。

問 まだまだ挑戦心は尽きませんね。吉野社長は16年にベンチャー賞を受賞されていますが、後輩経営者にお言葉をお願いします。

吉野 『企業家倶楽部』を読んで先輩方が何を目指し、どんな苦労をしたのか知ることで成功の芽に繋げていただきたいです。本を読んで誰かの生き方が分かるなんて、こんな簡単なことはないですよ。

問 吉野社長は読書家ですよね。

吉野 今でも朝起きて必ず誰とどんな話をするか、どんな方と会うか考えて勉強しています。1日5分余計に本を読むだけでもいい。そこで知りえた言葉、生き方を自分のものにするのです。人間に与えられた時間は平等ですので、それをどう費やすか次第です。楽に生きればそれで終わる。しかし、知らないものを知ろうとする時間を作った人は必ず変わります。頑張ってください。


■会社概要

事業内容 プラント解体事業、3D計測事業、人材紹介業など

売上高 57億円(2018年1月期見込)

経常利益 5億3300万円(2018年1月期見込)

上場市場名 東証1部



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