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トピックス -企業家倶楽部

2018年04月23日

純粋なエネルギーこそ企業家の原動力/物語コーポレーション 代表取締役会長 小林佳雄 Yoshio Kobayashi

企業家倶楽部2018年4月号  2016年企業家賞受賞




「右肩上がり」の実感が人を幸せにする

問 2016年に企業家賞を受賞されましたが、小林会長にとって「企業家精神」とは何でしょうか。

小林 未開の地に飛び込むことは、人間誰しも怖いものです。就職も、自分の将来が約束されているはずがありません。日本に未だに残る大企業志向は、将来が不安という自分の気持ちを落ち着かせてくれる環境を求めているからこそ起こる考え方だと思います。

 私の場合、実家の小さな飲食業を継いだ当時は、将来がどうなるかもわからず、その日食べることで頭がいっぱいでした。しかし、そのうち少しずつ業績が右肩上がりになってきて、次第に自分の心が落ち着いてくるのを感じました。ここで重要なのは、右肩上がりの業績に、「自分が業績に貢献できた」という実感が加わることです。右肩上がりの状態を続けていくことは難しいですが、それが人を幸せにすることだと思います。

 本音を言えば、一人ひとりが自分のことを「企業家」と思っている状態が一番良いですね。会社で働く人が半分でも「自分の力でその功績を手に入れた」と思えるようになれば、「右肩上がり」と「業績に貢献できている実感」という両方の宝物が手に入ります。そして、それが「自己実現」に繋がる。私は弊社で働く社員の一人ひとりに個人で生きる力を身につけ、生きている喜びを感じてもらいたいと思っています。

 右肩上がりの状態を何十年も続けていると、結構疲れます。しかし、その緊張感が切れ、逃げたくなることがあれば、その時こそ私がトップの座を降りる時でしょう。少なくとも今は、まだ右肩上がりの状況を維持するための戦略づくりやアイデアが浮かんでくるので、そのタイミングではありません。



海外進出に注力

問 今後も右肩上がりの状況を維持するためのビジョンをお聞かせいただけますでしょうか。

小林 これまでにも増して、海外進出に注力したいと考えています。現在の会社規模ですと、業績が1ミリ伸びただけでもかなりの売上げ増になりますが、その1ミリを伸ばすこと自体が大変なので、新事業を考えたところで飛躍的なプラスにはなりません。ある程度の予測が立てやすい日本国内で新事業を始めるのも良いのですが、より業績を伸ばすためには、もっと大きなマーケットを攻める必要があります。

 海外進出は、日本と異なる環境や文化でビジネスをすることになるので、もちろん失敗するリスクもあります。しかし、行ってみないと分からない部分が多いので、まずは行くしかありません。具体的には、様々な国がある中で、私はインドネシアが良いと考えています。人口ボーナスや親日の国柄など理由は様々ですが、それだけでは言い尽くせないものがある。私はこれまで40年近く、四六時中経営のことを考えてきて、条件反射的に「ここしかない」というタイミングが分かる時があるのです。皆さんに説明するのは難しいですけどね。

問 力士の取組も、普段から稽古をしているから、考えるより先に身体が反射的に動いているという話を聞いたことがあります。それと同じで、何十年も意思決定を続けていると、ここぞという時に勘が働くようになるのでしょう。

小林 ロジックで説明することが難しいので、この決定は私にしかできないことです。社員も最初は乗り気がしないかもしれませんが、私が「インドネシアが良いと思う」と伝えるだけで、それまでは右から左に流れていたインドネシアに関する情報が入ってくるようになります。例えば、「インドネシアからこんな食材を仕入れている」など、アナウンス効果がありますね。

 先日、さっそく弊社専務や成長戦略室のメンバーでインドネシアに視察に行ってもらいました。こういう時、私の意見に流されず、社員自身で考えてもらうために、私はあえて行きません。話を聞くと、とても良かったようなので、今度社内で発表する機会を設けたいと思っています。



信頼してくれる仲間がいれば最高

問 小林会長のお話を伺っていると、マインドセットが重要だと気付かされます。先程の「右肩上がり」の話でも、周りが好調だと判断していても、本人が右肩上がりだと自覚しなければ意味がありません。

小林 私は親から店を引き継ぎましたが、もし板前時代の努力無くして手に入れたものだったならば、こんな人生観にはならなかったと思います。自分なりに考えて挑戦し、それを評価してもらえる経験が1、2回あるだけで、十分大きな価値になります。

問 以前にも、大事なのは小さな成功体験の積み重ねだと仰っていました。

小林 私自身、多くの人から評価されたい気持ちはもちろんあります。しかし、1人や2人からだけでも信頼されている実感があれば、十分ありがたいことです。会社に勤めている人でも、自分を信頼してくれる身近な人が職場に1人いて、家庭にもう1人いたら、それ以上のものはありません。それに加えて「右肩上がり」を実感できていれば最高です。

問 人から信じてもらうことは簡単なようでなかなか難しいものです。信頼してもらうためには自己開示することが一番の方法でしょうか。

小林 部下はなかなか厳しいですから、この人に付いていったら食えるかどうかで判断するでしょう(笑)。いくら良い人でも、自分の将来の生活と心の安寧がかかっていますからね。こちらがどれだけ思っていたとしても一方通行、片思いの場合もある。ただ、「『表現する力』を磨け」とは社員にもよく言っています。自分がどんなに優れた人格や能力を持っていて、情熱に溢れていても、相手に届かなければ持っていないのと一緒です。

問 最後に、企業家賞20周年へのメッセージをお願い致します。

小林 私は、企業家賞を受賞して初めて『企業家倶楽部』という雑誌があることを知りました。読んでみると、すごく純粋なエネルギーをもらえます。若い人が読めば、より大きな夢を手に入れられるのではないでしょうか。今は「若い人に夢が無い」とよく言われますが、状況は昔と変わりません。本来であれば、こうした雑誌を読んで触発されるものだと思います。もしかしたら「お金持ちになりたい」と読む人もいるかもしれませんが、読んでみれば、決してそれだけではないパワーを感じられるはずです。

 企業家賞も同じで、選考にあたった審査員の方々も決しておざなりではなく、本音でぶつかり合い、経済を盛り上げようとする純粋なエネルギーで動いていらっしゃるのが分かります。経営は思い通りにはいかないものですが、だからこそ面白い。いつまでも純粋な思いを忘れずにいたいですね。

■会社概要

事業内容 焼肉、ラーメン、お好み焼等の外食直営店舗経営およびフランチャイズ展開

売上高 517億6200万円(2018年6月期見込)

経常利益 37億円(2018年6月期見込)

上場市場名 東証1部



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