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トピックス -企業家倶楽部

2018年04月24日

転びながらも前進せよ/ボヤージュグループ 代表取締役社長兼CEO 宇佐美進典

企業家倶楽部2018年4月号  2014年チャレンジャー賞受賞




企業と人材のマッチ率を上げる

問 まずは御社の近況からお聞かせください。

宇佐美 今年初めて、対外的に中期経営目標を発表しました。2020年9月期で売上げ420億円、営業利益30億円を目指します。現在の主力であるアドプラットフォーム事業以外の柱を作るべく、特にインキュベーション事業は今まで以上に取り組みを強化していくつもりです。同事業には3つの強化領域があります。まずはHR(人材)、次にEC、そしてフィンテックです。

問 それらの領域には、具体的にどのような事業があるのでしょうか。

宇佐美 HR領域では、サポーターズという子会社を通じて新卒採用支援事業を展開しています。エンジニアの採用に特化した「サポーターズ」のサイトには、3万人の学生が自分のスキルまで含めて情報登録しており、そのデータをクライアント企業に見ていただいて、両者のマッチングを行う仕組みです。

 学生側が「良い会社に就職したい」、企業側が「優秀な学生が欲しい」と思うのは当然です。しかし、近年の就職活動において、膨大な数の情報の中から「本当に行きたい企業」「欲しい学生」を見つけるのは非常に困難で、マッチする確率は低くなっている傾向にあります。そこで弊社の場合、例えば「AIに強い」といったフィルターをかけることで、人材と会社のマッチ率が高いイベントの開催を可能にしています。今後はノウハウのあるアドテクノロジーを駆使して、よりマッチングの精度を高めていくつもりです。



ユーザー視点でサービスを再構築する

宇佐美 EC領域で昨年始まった「カジタク」という家事支援サービスは、イオングループと協業しています。「カジタク」は元々イオングループで運営していたサービスですが、予約する際、ユーザーはまずコールセンターに電話をかけなければなりませんでした。弊社は、それをスマートフォンからも予約できるようにしました。家事支援を行う上での人材採用や、使用する洗剤の研究開発などは間違いなく「カジタク」の方が優位です。しかし、それをインターネットで販売するとなれば、弊社の得意分野となりますので、親和性があると考えました。

問 サービスは持っているものの、インターネットのノウハウがない企業にプラットフォームを提供し、IT化、効率化のお手伝いをする。「カジタク」の他にもまだまだ開拓の余地がありそうな事業ですね。

宇佐美 作り手主導の考え方を、ユーザー視点に変えることが肝要です。お店に行かなくてもスマートフォンで買い物ができたり、宅配便が来る直前に「あと5分で到着します」とお知らせが入ったりすれば便利ですよね。スマートフォンだけで手続きを完結すれば、その分の時間を有効活用できます。ユーザー目線でもう一度サービスを再設計することが求められているのです。

問 フィンテック領域はいかがでしょうか。

宇佐美 フィンテックも同様です。金融業界は、銀行法や証券法など法律で守られてきたため、より金融機関側(サプライヤー)主導のサービスになっている傾向があります。ユーザーからしてみれば、わざわざ時間に制約のある窓口に行くより、スマートフォンなどを駆使してオンラインでお金が下ろせた方が便利です。楽天銀行をはじめとするネットバンクの利用者が増加しているのも、ユーザー視点のサービスが求められている証拠だと思います。銀行法があるので、その垣根を越えるのはなかなか難しいですが、オンライン決済などの周辺サービスは、ユーザー視点で再設計されているものが多い。いずれは弊社も銀行業に着手できればと考えています。



後悔しないためにも挑戦

問 14年に企業家賞のチャレンジャー賞を受賞されました。宇佐美社長にとって「企業家人生」とは何でしょうか。

宇佐美 やはり、挑戦し続けるのが企業家ですね。弊社の経営理念の中にある「CREED(価値観)」でも、まさに「挑戦し続ける。」と謳っています。現状に満足することなく、常に高い志を持ってチャレンジする。それを人として体現するのが企業家だと思いますし、それに共感した人たちがチームになり、志を同じくする仲間が集まって組織になるのだと思います。

問 インキュベーション事業で出資する上で、不確定要素に対する不安もあることと思います。その中で決断を下されるのですから、素晴らしいですね。

宇佐美 後悔は2つあります。「やって上手くいかなかったことに対する後悔」と、「やらなかったことに対する後悔」です。私は、前者は克服できると思います。なぜなら失敗した経験を次に活かすことでリカバリーが可能だからです。

 一方で後者は、取り返しがつきません。そして年が経てば経つほど後悔の念が強くなります。当然すべてのことが上手くいくわけはありませんが、転びながらも前に転んで、その転んだことによって少しでも前に進んでいき、当初の志を実現する。そういう人が世の中に大きな影響を残す企業家になっていくのです。しかし、年を取ると転ぶことが怖くなるというか、恥ずかしいことだと考えるようになる人が多い。それでも、やらずに後悔をしたくありませんので、私自身、未だに転んでいます。

 弊社も規模が大きくなり、転んでも良い環境で挑戦できる状態にはなっていますが、一方でそこには甘えが生じやすくなります。決して現状に甘んじることなく、自分たちだからこそできるやり方は何かを模索し、他社には真似できないことを実現していきたいですね。

問 現状に満足せず、挑戦を続けてこそ企業家。たとえ失敗をしたとしても、宇佐美社長なら楽しんで航海に臨めそうですね。

宇佐美 良い流れの時、時流に乗って会社を大きくすることもあります。しかし、経営者としての成長といった視点から考えると、潮目が変わった時、いかにその試練を乗り越えるかが経験になり、その経験が成長に繋がると思います。それが楽しいかと言われると話は別ですが……いや、でも楽しいかもしれないですね(笑)。

問 最後に、企業家賞20周年に際してコメントをお願い致します。

宇佐美 20年前は「企業家」自体、世の中で聞き慣れない言葉だったと思います。この20年で企業家の数も増えましたし、企業家を支援する人の数も増えました。日本において、企業家を取り巻くエコシステムが回り始めてきた実感を持っています。

『企業家倶楽部』はこれまで、企業家を応援するというスタンスで特集を組み、私自身も応援していただきましたし、ビジネス業界を盛り上げる役割を担ってきたのではないかと思います。この先の20年、ますます企業家が増え、かつ求められる役割も増えてくるでしょう。その分、企業家を応援する側の役割もより重要になってきます。その中で、『企業家倶楽部』が今後より大きな役割を果たすことを期待すると同時に、私自身も応援される側の企業家として、その応援に足る経営をし続けたいと思います。

■会社概要

事業内容 インターネット領域におけるアドプラットフォーム事業、ポイントメディア事業、インキュベーション事業

売上高 258億9500万円(2017年9月期)

経常利益 18億6100万円(2017年9月期)

上場市場名 東証1部



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