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トピックス -企業家倶楽部

2018年04月26日

50分野100万人のプロ人材をネットワークする/クリーク・アンド・リバー社 代表取締役社長 井川幸広 Yukihiro Ikawa

企業家倶楽部2018年4月号 2017年企業家賞受賞




知恵を出す人に報いる仕組み作り

問 まずは、企業家賞20周年についてメッセージをいただければ幸いです。

井川 20年前、日本で会社を興すのには崖の上から飛び降りる覚悟が必要でした。そうした中で企業家を応援し続けてきた『企業家倶楽部』は、本当に心強い存在だった。意義のあることをされてきたと思います。

問 御社も数々の荒波に負けず、プロフェッショナル人材のネットワーク作りを掲げてここまで歩んで来られました。業績も好調ですね。

井川 私たちは時代のトレンドを追いかけてきたわけではありません。事業には①お金を出す人、②汗をかく人、③知恵を出す人という三者が必要です。日本の場合、「汗をかく人」ばかりが重用され、「知恵を出す人」が正当な報われ方をしていないという問題意識がありました。この国は知財に対する評価が低すぎる。知財を持っている人たちは自分の持つ権利をアピールするのが苦手で、フリーになった途端に不利益を被ることもあったのです。そこにスポットを当てようという考えが前提としてあります。

問 知財を持っている方が思う存分に働ける仕組みを作ろうというわけですね。

井川 研究をされている大学教授の方が定年退職を迎えると、日本の中には自らの知見を活用して生涯暮らしていけるような環境が無いため、海外の研究機関に招聘されるケースも少なくありません。しかし、仕事が生きがいという人も多い中、定年で割り切るのはいかがなものでしょうか。そこで私たちは、定年退職の無い仕組み作りにも挑戦しています。

 人は、最初は当然生活のために働きますが、それが自己実現のために働くようになり、最終的には名誉のためというように、目的がフェーズによって変化します。今の日本では、定年退職をして働く目的がお金から自己実現に移った時のセーフティーネットが全く無いので、我々が仕組みを作りたいと考えています。



プロの知恵を引き出し商品化

問 最初はクリエイティブ分野から始められ、今や様々な領域の人材まで業容を拡大されていますね。

井川 今ネットワークを増やしたいのは研究者です。日本には博士号を持っている方が13万5000人おり、彼らがもっと企業開発のエンジンにならねばならないのですが、産業界との連携が上手く取れていません。中小零細も含めた企業が大学と手を結び、共同での商品開発まで繋げられれば、必ず面白いアイデアが発掘されると思います。

 私たちの根幹となっているのは、22万4000人のプロフェッショナル人材ネットワークと2万社を超えるクライアントネットワークです。プロたちの知恵を引き出し、弊社子会社やクライアント企業と連携させることで製品やサービスを抽出、商品化に漕ぎ着けるのが我々の仕事になります。

 例えば、ドローンを使って何かビジネスをするとしましょう。ドローン本体ならば中国製のものが溢れています。しかし問題は、ドローンを使って何をするかです。「特殊なセンサーや超音波装置をコンパクトにして取り付けることで、コンクリートの腐食状態が分かる」といった知見に関しては、それを研究している先生方の右に出る者はおりません。そうした知見を駆使した商品やサービスを作ることで、先生方には利益が入るし、新しいマーケットを創出することも出来るのです。

 また建築であれば、我々はニーズを見て、弊社がネットワークする1000の設計事務所から適任の方を紹介します。オーナーからすれば、1社だけと話をするよりも、弊社に頼むだけで1000社の可能性が広がるわけですから、より納得の行くプランを選ぶことが出来るでしょう。



根幹にあるのはヒューマン・ドキュメンタリー

問 今、一番目標とされていることは何でしょうか。

井川 やはり、人材領域を早く50分野まで広げたいですね。そして、100万人のプロフェッショナル人材と10万社のクライアント企業をネットワークしたい。そうなると、日本の産業の根幹を担う人の8割はカバーできます。100万人のアイデアをどんどん商品化できれば面白いですよ。

問 元々ディレクターからキャリアをスタートされましたが、経営者となってみていかがですか。

井川 全く同じです。例えばディレクターは、「こうすれば皆が感動する」という題材を選びますよね。「最初はすごく苦労して頑張って、しかし上手く行かず、それでも最後にはチャンスを掴んで成功した」というストーリーが重要です。このギャップから、テレビを見ている人は勇気と元気をもらいます。

 これを会社で表現するのが社長ですので、根本は変わりません。40年間医師として働いている方が、「本当に良い人生だった」と言えるような仕組みをどうやって作るか。この感動作りを長期的に考えて動いているのが弊社で、それを凝縮して1~2時間の番組としているのがテレビ。結局は表現方法の違いであって、私のコアは昔も今も、全てヒューマン・ドキュメンタリーなのです。



夢を叶える情熱を持て

問 井川社長が大切にしていることは何でしょうか。

井川 情熱が無くなったらおしまいです。経営をしていると紆余曲折ありますが、一番求められるのは「これをやったら皆が喜ぶ」ということを信じて、誰よりも情熱を燃やせるかどうか。そうした情熱を持てなくなったら、社長交代でしょう。

問 若者に向けたメッセージをいただければと思います。

井川 夢はただ見るのではなく、叶えようとする情熱を持たねばなりません。最初は小さくておぼろげでも良いのです。そこに向けて情熱を持って努力し、到達した時に、また次の夢が現れて来るでしょう。それを達成すると、更に次の夢が出てくる。そうやって夢が大きくなることは、自分の世界が広がり、器が広がったことの証です。

 私がディレクターとして働いていた時も、いつも後悔の連続でした。毎回「もっとこうしていれば良かった」と思ったものです。しかし、ここまで歩んでくるのに一度たりとも情熱を失ったことはありません。

 今は、50分野のプロ人材をネットワークするという夢に向かって邁進しています。これが達成できると、きっとまた次の夢が現れて来る。今度はプロフェッショナルの方々が生涯に渡って働くためにはどうすればいいか、定年退職をしない仕組みをどのように作るかという永遠の課題に本格的に着手せねばなりません。

 もう一つの夢として、若い人たちが弊社ネットワークに集まってくる仕掛けを作りたいと考えています。例えば客船を購入して、世界中の大学生を無料で招待し、研修して帰ってもらうなど面白いでしょう。感受性の高い大学時代に世界中の同年代と3週間缶詰にすれば、一生の思い出になると思います。様々なアイデアも飛び交うことでしょう。それを10年間続ければ、その人脈が世界中に散らばって、あるいは結び付き、何か大きな潮流となるかもしれません。今のところ私に見えている夢はそこまでですが、もっと若い人がその夢の続きを描いてくれれば良いですね。

■会社概要

事業内容 各分野におけるプロフェッショナル人材のエージェンシー事業

売上高 265億円(2018年2月期見込)

経常利益 17億5000万円(2018年2月期見込)

上場市場名 東証1部



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