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トピックス -企業家倶楽部

2018年05月16日

【第6回企業家賞】-2004年-

企業家倶楽部2018年6月号  企業家賞特集


肩書きは受賞当時のものです。




企業家大賞

カジュアルライフ創造賞 ファーストリテイリング    柳井 正 会長兼CEO

企業家賞

半導体テクノロジー賞 ザインエレクトロニクス 飯塚哲哉 社長

外食FC 革命賞 壱番屋 宗次徳二 創業者特別顧問

ネットインフラ構築賞 グローバルメディアオンライン 熊谷正寿 会長兼社長

サイバーセキュリティ革新賞 トレンドマイクロ スティーブ・チャン 社長CEO

快適リゾートライフ創造賞 星野リゾート 星野佳路 社長



企業家大賞《カジュアルライフ創造賞》

成功と失敗の違いはトップの真剣さで生じる

ファーストリテイリング会長兼CEO 柳井 正 氏


企業家大賞《カジュアルライフ創造賞》


ユニクロ第一号店オープンで実感した「“金鉱”の発見」

 ユニクロ第1号店は1984年6月2日午前6時、広島の袋町でオープンしました。今年、20周年になります。20年前といえばDCブランドが流行っていた時期です。山ロ県宇部市出身の僕にとって、大都市といえば福岡か広島だったので、できればそこでオープンしたいと思って物件を探しました。

 振り返れば、当時の僕たちはまったくの田舎商売で、オープン1カ月ほど前から、近くの中学、高校前でビラ配り。1週間前から泊まり込みで開店準備をしました。一発で有名になろうと考えたユニークな販促と朝6時オープンという方法のおかげで、開店と同時に店は大盛況。今までで一番人数が入ったほどで、土日は終日入場制限をかけました。セルフサービス、低価格も当たって、「金鉱を見つけたな」と思ったものです。

 オープン前は、カジュアルブランドなので、来店するのは若い人ばかりかと思っていましたが、実際店を開けてみると、カップルやファミリーが多いことに驚きました。性別・年齢を問わず、あらゆる人がカジュアルファッションを求めていることが分かり、商品構成も変えることにしたわけです。

 その後、直営店22店舗となる頃には、年間33店をオープンし、3年で100店舗を作り、上場しようと考えていました。ただし、先立つものは全くない。銀行から借金するには担保が必要ですが、それもあまりない。結果的に、僕と父の個人財産を全部担保に入れなければ、銀行はお金を貸してくれませんでした。

 1号店から10年後、チェーン展開してから3年後の94年に上場した時、当時のお金で134億円入りました。それで銀行の担保を全部はずしてもらって、「これから、お金に困らなくていい」と思ったのを覚えています。

経営者がしっかりしなければ企業は必ず潰れる

 当初から僕は、良い企業、良い事業とは急成長・高収益であると考えていました。インフラが整った日本では、爆発的に成長できることを認識しなくてはならない。売上高が3300億円となった今、「良い企業、良い事業をやっているか」と思い直しているところです。まだまだ成功とは言えませんが、これまでファーストリテイリングが上手くいった要因をお話したいと思います。

 僕は、経営者がしっかりしていないと企業は必ず潰れると考えています。経営者は会社を潰さないために存在しており、トップとしての責任があります。成長も収益も、失敗も不祥事も、全てトップの責任。それは決して景気のせいでも部下や取引先のせいでもありません。同業者を見ても、上手くいった企業と、上手くいかない企業では、トップの真剣さが違う。運をつかむ真剣さ、事業に集中する真剣さ、絶対良い業績をあげようとする真剣さを100%持たなければならないのに、ほとんどの経営者はそれが曖昧です。

 タイミングや運も当然大事ですが、それは自分自身で掴むものです。また企業とは社会の一員。世の中に歓迎されない企業は絶対に成功しません。その時は歓迎されるように作り変えることが大切です。それも10~30年という長い流れの中で考えて、変えていくこと。経営をしていると、今日、今週、今月、今年……と目先のことにのみ気を取られがちですが、それより10年先のことの方が大事なのです。それを想像して、自分たちで企業を作り上げていくことが必要です。

 そして重要なのが目標を持つこと。スポーツ選手がオリンピックや国体などの目標を目指して練習に励むのと同じです。そもそも事業はスポーツと同じ。すべからくナンバーワンに、それも世界でのナンバーワンになろうと思わないと駄目なのです。特に小売業は勝負のテリトリーを自分の地域と決めてしまいがちですが、それではもったいない。日本、そして世界でナンバーワンになるという目標を持つことが大切です。




結果こそ経営者の評価

 また事業は一人でするものではありません。経営者である自分の欠点、不足を補ってくれる人が必要になります。自分一人で何もかもしようとするのではなく、経営のチームを作ることです。それも1億円のビジネスをするチームと10兆円のビジネスをするチームとではまるで違う。そのチームも含めて、経営者は社員を全て自分のパートナーだと考えるべきです。社員を自分の手足と考えると、決して上手くいきません。

 そして、もう一つ大事なのは結果を出すことです。経営者として評価されるのは、他の何でもなく結果。経営者の成績表は貸借対照表であり、損益計算書です。僕が見るところ、セミナーなどに参加して勉強する経営者は多いようですが、実行する人は少ないのではないでしょうか。物事に精通することも大切ですが、おかしいこと、矛盾することにも気付かなければなりません。理想主義の経営者は多いようですが、理想ばかりで現実はほとんど知らないというのでは駄目です。

 ファーストリテイリングは零細企業からスタートして、僕もお金の苦労をしてきました。言うまでもないことだと思われるかもしれませんが、経営者はお金を大事にしなくてはなりません。そもそも事業はローコスト経営をしないと、ほとんどが失敗します。逆に言えば、ローコスト経営だから成功が可能なのです。特に小売業は利益率が低い。ファーストリテイリングは「大企業の系列は嫌だ」「銀行の子会社は嫌だ」という気持ちでやってきましたから、お金を大事にしてきたのです。

 僕が経営者として今までやってこられたのは、今お話したようなことを毎日、「ああでもない、こうでもない」と悩みながら、進んできたからだと思います。今、僕はしみじみそう実感しています。そんな風に自分の力で自分の事業をやろうと考える若いベンチャー経営者が、これからの日本にどんどん生まれてきてほしいと願っています。



審査委員長講評

セコム取締役最高顧問  飯田 亮 氏


審査委員長講評


 今年も例年通り数多くの素晴らしい企業があり、豊作の中で苦渋の選択となりました。

 さて、ファーストリテイリングは安くて質の良い商品を提案し、チープシックなライフスタイルを定着させました。「成長しなければ死んだも同然」という考えの下、挑戦し続けるベンチャー精神と優れた経営手腕が評価されました。

 僕もユニクロのフリースを持っています。高品質でね。今度Tシャツを買おうと思っています。柳井会長兼CEOは趣味がジャズ。以前CDをもらったことがありますが、クールで爽やかなジャズでした。いつも車の中で聴いています。この良いセンスが仕事にも生きているに違いありません。

 グローバルメディアオンラインの熊谷会長兼社長は41歳と若い!ちなみにセコムは今年42周年です(笑)。ここはセコムとビジネスモデルが少し似ています。「すべての人にインターネット」を合い言葉に、すべての人が求める「情報」に関するソリューションを構築し、社会に貢献するインフラサービス事業を拡大している点が評価されました。サーバーのレンタル収入で成長。お客が約40万社あると言うから凄いものです。



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