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トピックス -企業家倶楽部

2018年06月21日

【第18回企業家賞】-2016-

企業家倶楽部2018年6月号  企業家賞特集


肩書きは受賞当時のものです。




企業家大賞

女性アパレル革新賞 ストライプインターナショナル 石川康晴 社長

企業家賞

自立型人財育成賞 物語コーポレーション 小林佳雄 会長

夢のメディカル・イノベーション賞  ペプチドリーム 窪田規一 社長

幼児教育革新賞   幼児活動研究会 山下孝一 社長

チャレンジャー賞

女性活用革新賞   ランクアップ 岩崎裕美子 社長

ベンチャー賞

独創的エンジニアリング創造賞     ベステラ 吉野佳秀 社長



企業家大賞《女性アパレル革新賞》

路線転換こそイノベーション

ストライプインターナショナル社長 石川康晴 氏


企業家大賞《女性アパレル革新賞》


 私は2012年、企業家賞のチャレンジャー賞をいただきました。この舞台には2度は上がれないものかと思っていたので、今回、大賞をいただけるとは夢にも考えていませんでした。本当に嬉しいです。

 ストライプインターナショナルは上り調子に見えるかもしれませんが、過去3回、倒産の危機がありました。それは創業4期目と9期目、13期目です。その3回に共通するのは「同じこと」を繰り返していた時でした。逆に路線転換をした時は足元の1~2年は大変な闘いになりますが、大きな伸びに繋がります。

 私たち流通業にとっては技術革新ではなく路線転換こそがイノベーションなのです。なまじ成功体験があると、路線を変えることは自分を否定することになります。「失敗したらどうしよう」とも考えます。それでも踏み込むことでこそ、事業の持続・継続があるのです。

 実際、私はたくさんの路線転換をしてきました。23歳の時に創業したのは、わずか4坪のセレクトショップ。その時はヨーロッパから買い付けた品物を並べていました。初年度は100万円の黒字。5年目に倒産の危機を迎えた時は瀬戸大橋から飛び下りようかとも考えました。その後、製造・販売を行うSPAに転換し、ノウハウはないものの、果敢にチャレンジしてきました。

 他にも路線転換したことが数多くあります。まず出店をファッションビルから駅ビルへシフトしたこと。小型店から大型店へ転換し、さらに国内から海外へ進出も果たしました。またファッションレンタルのアプリも始めました。日常着をレンタルするというサービスは世界中どこにもありません。店舗で買え、ネットで借りられる、ファッションのシェアリング・エコノミーと言えます。

 セレクトショップからSPAに転換したのは1999年のことです。私が洋服屋をやりたいと思ったのは14歳の時でしたが、それには3つのものが必要でした。お金、アパレルの勉強、経営の勉強です。そこでアルバイトもアパレルに勤めて、経営を学びました。

 14歳の決意から最短コースで起業すると、虎の子の300万円を握り締めてフランス、イギリスへ買い付けに出かけました。現地のアパレルのアトリエにファックスを入れてから訪ねるのですが、追い返される始末です。しかも渡欧の2日前にプレッシャーで声が出なくなってしまいました。そこで、かすれ声の片言英語で買い付けをし、自分の店では、3倍の値段をつけて売りました。しかし、全店を閉める決断をしてからは、10万円で買い付けたワンピースを500円で売るはめになりました。それでも高級アパレルのセレクトショップからSPAに転換したことが、今のストライプのベースになっています。

 この「仕入れ」から「SPA」への転換の他、「モード」から「ベーシック」へ、さらに「高価格」から「リーズナブル」への転換も急成長の源となりました。また「国内」から「グローバル」への転換もそうです。これまでアパレルではワールドやレナウン、オンワードなどが海外にチャレンジしましたが、大手の先輩方が中国で負けてきていました。そこで2011年、「日本を見せつけてやる!」とチャイナ戦略を練り、中国進出に乗り出したのです。

 中国での日本企業の敗因の一つは意思決定の遅さでした。韓国の企業などはトップが来て交渉するのに、日本の企業は意思決定できる責任者が不在であるために負けたのです。創業者や経営者が直接、現地で陣頭指揮を執ることが大切。そこで私は上海にマンションを買って住み込み、計2年、現地で暮らしました。あるとき最大の百貨店に挨拶に行くと、総経理(総支配人)から「お前は決められる日本人か?」と訊かれました。「私は創業者です。上海に家も買いました」と答えると、満面の笑みで握手を求められたものです。

 ところが2012年、中国で反日デモが起きます。その年も我々は重慶や蘇州、西安に出店を続けました。北京に「アースミュージック&エコロジー」を出店する時、総経理に「日系アパレルの出店は止めた方がいいか」と相談すると、「私服の公安当局を20人立たせた。だから大丈夫だ」と言ってもらいました。そして実際、反日デモの最中に北京の店では中国での最高売上げを記録したのです。

 一方、国内の小型店から大型店舗への転換については、こんな出来事がありました。20坪程度の小型店舗戦略を続け、売上げ1000億円を目前にした頃のことです。ファーストリテイリングの柳井会長から「本社へ遊びに来い」と呼ばれました。お会いすると一言、「商売は規模だ。何を小さいことやってるんだ!」。「確かにウォルマートも良いですが、セブンイレブンも高収益ですよ」と反論すると、「違う!」と言下に切り捨てられる始末。その晩、風呂に浸かりながら規模の原理をじっくりと考え、大型店舗へのシフトを決意しました。

 私は売上げ1兆円構想を掲げていますが、その半分を占めると考えているのが、2014年9月に投入したブランド「KOE」です。これは、ユニクロ、ZARA、H&Mなどの1兆円ブランドに挑戦するためのグローバル旗艦ブランド。KOEは今後、東京での500坪の店をはじめとして、ニューヨークの五番街、イギリスのオックスフォード・ストリートへと、ユニクロを追いかけて展開していきます。このKOEを1兆円ブランドにしたいと考えていますが、それには10年はかかるでしょうし、五分五分の勝負でしょう。

 ストライプにとっては今も主力ブランドは「アースミュージック&エコロジー」と「グリーンパークス」です。これを追いかけるブランドを魂賭けて、欧米・アジアなど世界を代表するブランドへと育てていきます。ハードルはアメリカでの出店です。ユニクロでさえアメリカでは苦戦しています。それでも私はKOEを世界で知らない人のいないブランドにしたいのです。

 さて、ファッションレンタルアプリ「メチャカリ」は「所有」から「所有+共有」への転換であり、メーカーからプラットフォーマーへの転換です。現代の若い世代は豊かさの定義が変わってきています。特に10代のツイッター世代は生まれた時からCDもDVDも買ったことはなく、借りる世代です。そこで月額5800円で服を借り放題できる新サービスを作りました。世界中の洋服を愛する人が「買う+借りる」の習慣になじみ、利益が出るまでには、やはり10年はかかるでしょう。しかし、これは世界の商習慣を変える挑戦であり、勝算はあります。

 このように、ただの洋服好きの14歳が洋服屋になり、中国へ、世界へ打って出て、さらにテクノロジーへ。これが私のイノベーションです。「路線転換」はイコール「事業継続」。イノベーションを起こせる経営者だけが、イノベーションが起き続ける会社だけが、事業を継続できるのです。今後も、企業家大賞に恥じないよう、精一杯頑張って参ります。



企業家賞《自立型人財育成賞》

多様性に富んだ社風をつくる

物語コーポレーション会長・CMO 小林佳雄 氏


企業家賞《自立型人財育成賞》


 私たちの経営理念は「スマイル&セクシー」。自分を出すことからスタートしようという考え方であり、そんな会社作りに邁進してきました。現在、私の会社、店では女性、外国人、新卒、中途、フランチャイズ、様々な方が働いています。すると、相手と自分の違うところや、それぞれの良いところを見つける個人の能力、人間性も明確に向上します。豊かで多様な人格が自由にものを言える風土を作りたいと思います。

 本日は、更に本気で取り組む機会を与えていただき、感謝いたします。



審査委員長講評

企業家賞審査委員長

エイチ・アイ・エス会長 澤田秀雄 氏

 今年も素晴らしい企業家の方々を選ぶことができました。今回、大賞を受賞されたストライプインターナショナルの石川康晴さんは、これから10年後、何兆円規模の世界的企業家となることでしょう。過去の受賞者である先輩方が実際にそうなられています。

 また、毎年、若い受賞者が多い中、今年は年齢を重ねた企業家も選ぶことができました。こうした方々が素晴らしいチャレンジ精神と想像力を発揮されているのを見ると、経営に年齢は関係ないのだと実感します。

 今回、受賞されたみなさんはこれからも社会に貢献し、世界へ羽ばたいてください。そして日本のため、世界のために、ぜひ活躍してくださるよう期待しています。



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