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トピックス -企業家倶楽部

2018年08月13日

実行力の差が企業の差となる/良品計画名誉顧問 松井オフィス社長 松井忠三氏 

企業家倶楽部2018年8月号 著者に聞く





『無印良品のPDCA 一冊の手帳で常勝経営を仕組み化する!』

松井忠三 著

毎日新聞出版(1400円+税)

「実行力の差が企業の差」と語る良品計画の松井忠三名誉顧問。彼の手帳を元に、課題として頻繁に挙げられながらも達成することの難しいPDCAを解説した。無印良品が躍進する上で原動力となっている仕組み経営や、著者の手帳の中身を惜しみなく公開した内容の濃い一冊。



全ては手帳から

問 本書を書かれたきっかけを教えて下さい。

松井 PDCA(P:計画 D:実行 C:評価 A:改善)はなかなか実行出来ないものです。今回は「手帳」と「PDCA」という内容で出版社から依頼され、筆を執りました。

問 松井名誉顧問と言えば、手帳が有名です。

松井 私は能率手帳を1992年から約27年間愛用しています。手帳に書くのは事実だけで、感想は書きません。その時の予定はもちろん、売上げから天気まで様々なことを書きます。過去の手帳を見れば全てのことが分かります。

問 スケジュール以外で手帳に書かれる事柄は。

松井 著名な方の言葉や、普段の生活で気付いたヒントを書いています。外からのヒントが一番役に立ちますからね。


 全ては手帳から

社運を賭けた小さなD

問 2001年に約35億円、売価約100億円分の不良在庫を焼却処分されました。まさに大きな決断だったと思いますが、著書の中では「小さなD」と書かれていましたね。なぜでしょうか。

松井 無印良品は00年までの10年間右肩上がりで売上げを伸ばしていきました。その際、売れる機会があるのに商品が無いという事態を防ぐため、売る量の1.5倍の商品を作っていたのです。しかし00年から売上げが悪化し、01年には売上げが前年度比67%となりました。在庫コントロールが上手く行かず、約半分もの在庫が残ってしまったのです。焼却しか方法が無かったので、小さなDだと思っています。



歓迎される監査室

問 PDCAを意識されたのはいつでしょうか。

松井 西友時代に社内の意識改革を任されました。その時、意識改革をするには具体的な日々に落とし込んだ行動項目を着実にこなしていくことが大切だと気付いたのです。

問 そのためにどのようなことをされましたか。

松井 コミュニケーションに問題があるのであれば、それを活性化するための具体的な行動を決めます。例えば、毎週月曜日の朝はミーティングを行い、全役員が情報交換をする。社長と会長の仲が悪いと、直接会社に悪影響を及ぼしかねませんから、営業会議が終わった後は、社長と会長が一緒にランチをとります。これが意外と重要。その後、監査室とのミーティングがあります。監査室は監査業務の他に、日々の店舗の状況や営業会議で出された重点目標の箇所を確認し、会議で報告します。この会議で、社長は店に行かずとも店の状況を知ることが出来ます。

問 監査室はかなり重要な役割になりますね。

松井 店舗からの正しい情報を得ることは大切です。ただ、監査室は店を突然訪問し、出来ていない部分ばかり指摘していたため嫌われていました。嫌な存在に対して正しい情報は出て来ませんから、訪問するスケジュールを事前連絡するようにし、出来ていないところを指摘するだけでなく、正しく指導する「教育」の役割を任せました。

 店舗や店長からの意見をすくい上げ、社長とのミーティングで報告することも監査室の役割です。監査室に言えば上まで伝わり、修正され、指示が届く。すると皆が「監査室に言えばちゃんと上に届く」と感じ、監査室が好かれていきます。嫌われ者だった監査室が、指導し、正しい情報を伝える役割を持った「歓迎される存在」に変わりました。こうしてPDCAを回し、コミュニケーションを改善していったのです。



実行力ある会社へ

問 このように具体的な行動を通じてPDCAを回すことで、業績を回復出来たのですね。

松井 出店の仕方やコミュニケーション不足、人材育成など様々な課題はありましたが、突き詰めていくと、根本的な問題はセゾンの文化・社風でした。セゾンの常識は当社の非常識、当社の常識はセゾンの非常識として、社風を変えることを最大の目的としました。セゾンで最も弱かったのが「実行力」。実行力の差が企業の差になりますので、大変重要です。

 実行力の無い会社が一番弱い。西友もかつては計画ばかりで実行がほぼ無い会社でしたが、少しずつ出来つつあります。

問 実行力を上げるために、どのような取り組みをされているのですか。

松井 実行させる上で多くの指示を出すことは賢明ではありません。指示を少なくするだけでも実行力は高まりますね。

問 指示はどのように出すのでしょうか。

松井 営業会議の議事録、指示、連絡、デッドラインを社員に読ませ、この時までにやらせるという仕組みを作りました。会議の内容が社員全員のパソコンに送られます。「見ていなかった」ということを防ぐために、見た人の名前のところに丸が付くようにしました。部署内の全員が見ると、その部に丸がつく。上の立場の人は誰が見ていないか確認できるので、必ず見るようになります。このように「やり切ること」を仕組みの中に入れ込めば実行力は高まるのです。

問 徹底した仕組み化ですね。

松井 実行力を高めてしっかりやり切り、毎週監査室からの報告で確認し、それが次のアクションに繋がっています。これが無印良品の一番の特長。この仕組みが動いている組織は強いですよ。



やり切ることが最重要

問 良品計画の会長をされていた頃、出勤時間帯に自ら会社の玄関に立って挨拶されていましたね。

松井 挨拶する文化を定着させたいと考えた時、ただ指示を出すだけでは変わりません。社風に落とし込むには、社長や会長といった上の立場の人が率先してやり続けなければならないのです。

問 社長や会長が自ら立って挨拶されていたら、社員は驚くでしょうね。

松井 今でも続いていると思いますよ。課長以上全員立つことになっています。そうすることでやっと、挨拶をするのが全社員の価値観になるのです。

問 地道にやり続けることが大切ですね。

松井 「社風を作る」とは難しいことを行うのではなく、現場でしか出来ない挨拶、連絡、商品開発などをしっかりと継続することです。それができてこそ、会社に真の力が付くのではないでしょうか。

問 この著書の中で最も伝えたかったことは。

松井 実行力は会社全体で取り組んでいかねばなりません。役職関係なく、仕事をやり切ることで成果が出る。成果が出ると周りの皆も認めてくれるでしょうし、会社の役にも立つ。本人の満足度も高まり、自然と処遇も変わっていくでしょう。



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