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トピックス -企業家倶楽部

2018年11月08日

二宮尊徳翁の「一円観(一円融合)の悟り」に学ぶ/臥龍

企業家倶楽部2018年12月号 伸びる企業家は歴史や偉人に学ぶ vol.12


臥龍(がりゅう:wolong ウォロン)こと角田識之(すみだのりゆき Sumida Noriyuki)

APRA(エープラ)議長&一般社団法人「志授業」推進協議会・理事長「坂の上の雲」の故郷、愛媛県・松山市生まれ。23歳のときに「竜馬がゆく」を読み、「世界の海援隊」を創ることを志す。人の幸福を主軸とする「人本主義思想」の素晴らしさを経営の場で実証推進する和僑(日本)と華僑(台湾・上海)合同の勉強会「APRA(エープラ)」を設立し、日本全国そしてアジア太平洋各国を東奔西走中。最近では、一般社団法人「志授業」推進協議会の理事長として、小中学生の大志確立を支援する「志授業」の普及、民族肯定観を上げるための「歴史・偉人」の講話にも注力中。詳細は「志授業」でご検索ください。



道徳経済一元論

昭和世代に二宮金次郎と聞けば、「ああ、あの薪を背負って本を読んでいる人」と返ってくる位に、どの小学校にも銅像があったようです。しかしその本が、中国の儒教バイブル「大学」や「論語」と知ったのは、恥ずかしながら最近で、尊徳翁の道徳経済一元論、「経済なき道徳は戯言(たわごと)、道徳なき経済は罪悪」の原点と納得したものです。尊徳先生の偉業は、昭和の再建の神様である土光敏夫先生が、「尊徳先生の手法は極めて科学的であり、経済の論理に叶うものでありました。行財政改革の先駆者である尊徳先生の教えを、政府も国民ももっと勉強していたらこんなことになるはずがないのであります」と語る通り、時代を超える真理に満ち、小生のような経営コンサルタントのお手本でもあります。その偉業の中でも、35歳から15年を掛けた桜町領(現、栃木県真岡市)の復興事業には、青年企業家や経営コンサルタントが学ぶべき「一円観(一円融合)の悟り」があります。



正しい施策ながら不満反感が高まる!

   農民ながら、若くして小田原藩の家老の家の財政再建を果たした金次郎に、藩主の分家支配下にある桜町領の再建が命じられます。三年間固辞し続けますが、再三、再四の命には抗えず、まずは徹底した現地調査から始めます。徹底した現地調査に基づいた予算設定(年貢軽減)を行い、そこに、農民のモチベーション向上施策をオンしていきます。不当に重い年貢の軽減、報奨金制度、村人同士の投票による表彰制度、「芋こじ」と呼ばれる村人同士の話し合いの場、収入に見合った生活をする「分度」や飢饉への備えや将来への投資の重要性などの村人への地道な教育です。最もな施策を行うにも関わらず、よそ者、理想主義、徹底主義、現場監視の厳しさ、移住者優遇、貧乏百姓への肩入れ、余剰は返済と公共投資と内部留保に回って直接還元がない、金次郎が私腹を肥やしているとの誤解など、逆に不満反感の方が高まっていきます。

   更にとんでもない横やりが入ります。金次郎の活躍を妬んでいた小田原藩上層部の者が下級武士の豊田正作をそそのかし、桜町領に金次郎の上司として送り込んで来たのです。傲慢で、意地が悪く、酒好きで、権力を笠に着て相手をやっつけるのが生き甲斐というタイプです。ことごとく金次郎の邪魔をします。



正しい言葉の刃は、人の心を傷つける

 流石の金次郎も、上からは妨害、下からは不満反感で気持ちが折れ、故郷小田原の弟の元に帰りますが、そこで思いもかけず、弟友吉に諭されます。


友 吉:兄さんが余剰米の中から返済金を受け取ったりするので「私腹を肥やしている」という評判がたっている。私はそれが悔しい。


金次郎:そんな馬鹿な。貸した金は返済してもらうのが当然ではないか。


友 吉:兄さんは正しいのです。しかし正しいだけでは、世の中は収まらない場合があります。豊田正作は兄さんの仕事の邪魔をするためにわざと送り込まれたような気がします。


金次郎:わざとだって?どういうことだ?


友 吉:よくなるのは貧乏百姓ばかりで、武士はちっとも変わらない。そんな復興事業は反対だと豊田正作を使って反対させているのです。


金次郎:復興が終わるときには武士の分度も倍になるのだ。以前よりずっといい筈だぞ。


友 吉:武士も百姓も、兄さんが考えているそんな理想的なものを求めているわけではないのですよ。


正しい言葉の刃は、人の心を傷つける

覚悟を決めた企業家の「一円に人は納まる」

 弟の言葉に衝撃を受けた金次郎ではありますが、箱根、伊豆で静養し、桜町に向かいます。が、近づくにつれ、豊田正作の顔が眼前に立ちはだかり、気持ちがひるむのです。金次郎は、「これは自分の心に問題があるのではないだろうか?」「豊田正作に恐れを感じているのは、自分に不動の心が欠けているからだ」と成田山新勝寺へ向かい、3月17日から21日間の断食修業に入ります。そして、「一円観(一円融合)の悟り」に至ります。「復興事業を妨害する人間は悪人だと思っていたが、そうではない」「反対者には反対の理由があり、反対者が出ることはまだ自分の誠意が足りず、反対させる原因が自分の方にあるのだ」「見渡せば敵も味方もなかりけり、おのれおのれが心にぞある」「打つ心あれば打たるる世の中よ、打たぬ心の打たるるは無し」。「一円観」とは、善悪、強弱、苦楽、禍福、幸災など、世の中のありとあらゆる対立するものを、一つの円の中に入れて観て、相対的に把握する捉え方です。半円と半円のようにバラバラでは成るものも成らない。互いに合わさって完全なる「一円」となったときに初めて成果が生み出されるのです。


 金次郎は、この「一円融合の悟り」を胆に納め、桜町に帰ります。三カ月にわたり金次郎が不在にしたことで、金次郎がいなければ復興事業が進まないことを身に沁みて感じていた村人たちは、総出で出迎えます。村人たちを前に金次郎は、「たとえこの先どんな災難があり、背で火が燃えるような苦しいことがあろうとも、私は生涯この桜町の地を動かないことを、命を掛けて不動尊に誓ってきました。どうか皆さん宜しくお願いいたします」と決意を語り、村人たちの心が一円の中に納まります。小田原藩も、事態の収拾を図るため豊田正作の召還をただちに決め、その後の復興事業は、それまでの苦難がまるで幻であったかのように、順調に進んだことは言うまでもありません。



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