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トピックス -企業家倶楽部

2018年11月16日

無料スマホが旅行業界を再定義する

企業家倶楽部2018年12月号 注目サービス handy


最近、よくホテルに無料で使えるスマートフォンが置かれているのをご存じだろうか。「handy(ハンディ)」と呼ばれるこのスマホ、既に世界82カ国において、ホテル65万室、2500万人の旅行者に利用されている。その勢いは止まることを知らず、2017年7月1日には「handy Japan(ハンディジャパン)」が日本に初上陸。そして、今年7月2日には、ソフトバンクとの資本業務提携も発表した。2020年の東京五輪に向けて訪日外国人がますます急増する今日、ハンディが可能にする旅行業界の未来をご紹介しよう。

もう海外は不便とは言わせない

 ガイドブックを片手に、外国の街並みを歩く。現地でポケットWi-Fiをレンタルしたり、Wi-Fiスポットを必死に探したりして、何とかスマートフォンでインターネットに接続する。そんな今までの海外旅行の常識が変わるかもしれない。


 ハンディを使えば、ガイドブック機能やレストラン、タクシーの予約サービスが画面操作1つで利用可能。端末単体でインターネットに接続できるだけでなく、ハンディ自体をルーターにしてしまうことも可能なため、状況によってはハンディの回線経由で自身のスマホをインターネットに繋げられる。自分のスマホにしか入っていないアプリを使う時など便利だ。


 国内・国際電話サービスも充実。国内だけでなく国際電話も無料で利用できるというから驚くばかりだ。ハンディはホテル側から利用料を取るほか、広告などの収入で回線料を含む費用をまかなうので、宿泊者は全てのサービスを気兼ねなく無料で利用できるというわけである。


 観光中、道に迷った時にはグーグルマップを開けば良いし、お腹が空けば近くのレストランを検索して予約してしまおう。何かトラブルが起こっても、すぐホテルまで電話できるので心配ない。通常のスマホと同様に翻訳機能のアプリをダウンロードしておけば、言葉の壁も乗り越えられる。日本語を含む多言語での操作も可能だ。個人情報の流出が不安な向きもあろうが、利用後は端末内に残った情報を完全消去できるのでご安心を。これまで当たり前だと思っていた「海外は不便」という概念が、ハンディによって一気に覆されようとしている。


もう海外は不便とは言わせない

旅行時は最大のメディアに

 日本ではまだ馴染みのないハンディだが、海外では導入ホテルの宿泊客のうち、実に8割以上がこの端末を使用している。1日の時間にして60分程度。そのうち71%の利用者は、外出時にホテルから持ち出し、携帯端末やポケットWi-Fiとして利用する。旅行の間に触れるメディアとして、これ以上のものは無いだろう。


 ハンディには、お得な情報やクーポンを、その旅行者のいるロケーションや時間、属性に合わせて配信できる機能もある。例えば、夕方にフランスの街を歩いている人には、近くのフレンチレストランのクーポンを配信するという具合だ。海外という、言語も常識も異なる環境下で「まさに今欲しい情報」を検索するのは至難の業だ。そんな状況でもハンディが情報を取捨選択して、適切なものを推薦してくれる。


 また、ハンディは財布代わりにもなる。ホテルの中での支払いを部屋付にすることができるように、宿泊外で利用したサービスでも、ホテルで一括払いができるのだ。


旅行時は最大のメディアに

技術の力で旅行業界を変革

 ハンディは、なぜ固定費の高いスマートフォンをわざわざホテルに置くのだろうか。これは旅行者の利便性向上のためだけではない。視点を変えてみると、時代の変化にもがき苦しむ旅行業界の現状が見えてきた。


 私たちの生活にインターネットが普及してからというもの、個人でも自分の好みに合わせて情報を検索するのが容易になった。同様に、自分の趣味、趣向に合わせた旅を計画したいと考える人が増えてきたのも事実だ。日本では未だにパッケージツアーに一定の人気があるが、アジアやヨーロッパ、アフリカからの訪日外国人は急速にIT化し、パッケージツアーの人気に陰りが見えている。


 パッケージツアーのビジネスモデルは、旅行代理店が宿泊、食事、交通、エンタメなど全ての行程を計画し、その収益を各業界に再分配するという構図だ。しかし、代理店を使わず旅行者が自ら予約を行う今、宿泊業者、観光業者、旅行者を繋ぐ「橋渡し」が無くなってしまった。そして、旅行代理店と契約をしていれば良かった各業者は、「旅行者一人ひとり」という大量の個人に自力でアピールせねばならなくなったのである。


 この分断化された旅行業界の新たな「橋渡し」となるのが、ハンディのビッグデータだ。旅行者がハンディの端末を利用することで、従来は困難だった旅行者一人ひとりの趣味、趣向、行動の情報収集、傾向分析が可能になった。

 銀座に泊まっている旅行者は、渋谷に行くのか、それとも浅草か。ホテルのどんなサービスを何時に利用しているのか。こうした情報を基に、新たなプロモーションを展開することができるのだ。ハンディを導入しているホテルでは実際に、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」でのレビュー投稿数が平均11%増加、ホテルの評価ポイント数が0.3%増加している。


 ハンディはホテルのIoT化も進めている。旅行業界が人材不足や経費増大といった深刻な問題を抱える中、ハンディの端末をホテルのシステムと連動させることで、チェックイン、チェックアウトを宿泊者が端末内で行えるようにしているのだ。


 他にも、ルームキー、エアコン、テレビ、照明などのルームコントロール、フロントへの電話など、ハンディ1台あれば全て事足りる。AIスピーカーのように、音声で操作することも可能だ。あるホテルでは、ルームキー1枚の発行に約130円、備え付けの電話機の設置に数千万円かかっていたが、大幅なコストカットが実現できた。


技術の力で旅行業界を変革




真の観光立国に向けて

 日本政府は東京オリンピック・パラリンピックの行われる2020年に、訪日外国人数4000万人の目標を掲げている。その後も2030年には6000万人、経済規模にして15兆円を見込む。財務省の統計によると、2017年における自動車業界の輸出総額が11兆8000億だ。将来的には、観光が国の経済を支える一大産業になると言えるだろう。世界を見渡しても、年間12億3000万人が海外旅行をし、世界総輸出の7%を占めると言われている。観光立国となるべく新たな施策に舵を切れるかが、今求められているのだ。


 それだけ多くの観光客が訪れることとなった暁には、緊急時のトラブル対策が必須になってくるだろう。2018年の夏、日本を多くの自然災害が襲った。6月18日の大阪府北部地震発生時、ハンディは大阪、兵庫、京都のホテルの各端末に多言語で災害情報のリンクを付けたメッセージを送った。このメッセージは約40~45%の外国人に読まれたそうだ。災害時の混乱の中では、特に言語やその土地のことが分からない外国人が情報難民に陥りやすい。こうした緊急時のインフラ機能の構築も、日本が真の観光立国になるために求められている。


 ハンディは2018年度中に、日本国内にある全ホテルの約30%に当たる約1700ホテル(約24万室)へ導入予定だ。そうなれば、今後利用者を道端でよく見かける日が来るかもしれない。ハンディは、日本の旅行業界にも革新を起こしてくれるだろう。



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