トピックス -企業家倶楽部

2018年12月11日

第4次産業革命での生き残り戦略/APIコンサルタンツ代表取締役社長 松本 洋

企業家倶楽部2018年12月号 敏腕コンサルタントが斬る! vol.11


松本 洋(まつもと・ひろし)

AP I コンサルタンツ代表取締役社長。1951年生まれ。東京大学法学部卒。日本鋼管(現JFE スチール)入社後、米国コロンビア大学MBA及びLLM(法学修士)取得。倒産寸前の子会社、米ナショナル・スチールに上席副社長(COO)として赴任し、経営再建に成功。KVHテレコムを始め4社の起業に成功。ベネッセコーポレーションを含む数社の社外取締役を歴任。




 米国シリコンバレーを追い上げている、中国の深セン、イスラエルのテルアビブ、ドイツのベルリンを訪問した。この3都市では、毎年数万社以上のベンチャー企業が産まれている。


【1】 深セン

 深セン市に入国する際には、顔認証と指紋認証システムが導入されていて、ほぼ無人化された入国審査であった。顔認証データは、公安部が把握しているので、モバイルで決済せずに無人化スーパーで品物を盗んだとしても直ぐに犯人は判明する。至る所にある監視カメラで個人を特定出来るので、指名手配犯が次々と捕まっているとのことだが、監視社会の恐怖を感じた。

 1980年、鄧小平の指示により、深セン市は経済特区に指定され税金の恩典がある為、多くの企業が本社を深センにしている。人口は、30万人から1500万人に急増して現在も毎年60万人増加している。深センでの平均年齢は29歳であり、年収もシリコンバレー並みに高く、世界中から優秀な人財が集まってきている。経済特区なので、規制が徹底的に緩和されてきている。中国政府からバックアップされた企業が積極的に製造業を誘致してきている、ハイテク機器を日本の4倍位のスピードで製造出来るまでになっているが、主要な技術は欧米や日本からのコピーがまだ多い。

【2】 テルアビブ

 建国から70年のイスラエルでは、義務教育は5歳から始まり小学校では基礎となるプログラミングを勉強し始める。18歳で義務教育が終わると、男女ともに兵役に就く。優秀な人財は、空軍の特殊部隊である8220部隊に配属され、サイバー防衛軍として徹底した教育を受けるが、起業家になる人間も多い。イスラエルのプログラミング教育は1991年に導入が始まったが、日本では2020年から初等教育で必修化されるのと比べると驚くべき先進性だ。

 AppleやMicrosoft、Googleといった最先端のグローバル企業が次々と進出している。失敗を恐れない気風があり、成功した企業が海外企業に高く売れれば税収も上がるということで、国も強力に支援している。イスラエル全体で人口は860万人だが、海外からの投資額は、2010年の約800億円から、2015年には約4000億円まで増加している。

【3】 ベルリン

 大戦で殆ど焼け野原になったが、1989年に壁が崩壊し1990年の東西ドイツ統一がなされた。しかしその後も大きな企業が存在せず、政府の肝いりで、2000年頃から、優秀な人財が率先して起業家になるようになってきている。

 年間4万社の創業があるベルリンは街自体がイノベーションを発生させる装置になっている。世界中から優秀な若者を引きつけ、ドイツ最大の共同作業場が安価で提供され、スタートアップ企業に投資するエンジェル投資家がおり、資金提供、人財紹介、経営アドバイス等をするインフラ整備が進んでいる。ベルリンには専門大学や300以上の研究施設があり、共同開発の機会が提供されている。

 3都市の起業家達は考えるスピードが早く、短い時間軸で動くが、日本企業は決断が遅いので、チャンスを失っている。成功したエンジェル投資家が経験不足の起業家にノウハウを教えて育てていく共同作業場を創ることが必要だと思った。

 私は著名な独のマウンテンパートナーズ社とのJVにより、今年の9月にベルリンと東京に日独センターを創設したが、次回この件について述べたい。



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