2019年02月18日
外食産業初の「現地での業態開発」を武器に中国市場を拓く物語コーポレーションの挑戦!/臥龍こと角田識之
企業家倶楽部2019年1/2月号 海外リポート
日本の外食市場は1997年の29兆円をピークにシュリンクしているが、中国は10%成長で今や70兆円規模にまで膨らんできた。この魅力に惹かれ進出企業は後を絶たないが、敗者、撤退組も実に多い。味千ラーメン、サイゼリヤ、吉野家のように300店舗以上展開している勝ち組も、業態が飽きられる危機感を抱え、けっして安泰とは言えない。
今回、中国でも一番沸騰している上海市を訪れ、その中でも異彩を放っている蟹と肉の専門店を取材した。応対していただいたのは、物語企業管理有限公司のトップ岡田雅道さん。日本で焼肉きんぐや丸源ラーメンなど、12業態470店舗を展開する物語コーポレーションが中国に進出したのが8年前。現在の店舗数は18店舗、全従業員数は444名、年商は約30億円。規模としてはまだまだ大きくはないが、独自の切り口で市場を切り拓き、2025年100店舗ビジョンに向けて、今後も持続的な成長を期待させる輝きを感じた。
これまでの大手の進出は、日本で成功した業態の移植がベースだった。これだと中国消費者ニーズとたまたま合って繁盛、たまたま合わなくて撤退ということになる。物語上海は、大手の中で初めて現地でゼロから業態を開発した企業だ。
驚くべきことに中国外食の中で、日本食レストランの比率はたった2%なのだ。そして日式(日本食)レストランの看板を掲げていても、その実は中国人がパクッて帰った“なんちゃって和食”が多い。中国で成長を狙う日本企業は、和食は無理と見てきた。
岡田氏は、中国人に「ここは本物の日式レストラン」と思っていただければ、記念日などのハレの利用動機、高単価利用動機が生まれると仮定した。そして打った手が、自分が広告塔になることだった。「北海道 蟹の岡田屋総本店」、店看板の横には、岡田氏自身のでか看板があり、ポリシーがしっかり語られている。岡田氏を見つけた客が、岡田氏とのツーショット写真を撮る風景は日常のことだ。
また店舗毎に、京都、夏祭り、鉾などの日本文化テーマを決め、しかも「本物」にこだわった。例えば「ねぶた」がテーマの店では、青森のねぶた作りの名人に頼み込み五体を制作してもらったが、据え付けまでの総経費は二千万円。飾り提灯も全て浅草の職人の手によるもの。壁に描かれた装飾も京都の有名なお坊さんによるデザイン。日本人から見ても、本物感が伝わってくる。
本物の日式レストランというイメージでありながら、演出は中国人好みだ。デザインは大胆かつ大迫力。「ねぶた」から溢れ出す色は赤、壁のお坊さんが描いたデザインの配色は金。また日本人的にはびびりましたが、活き蟹はテーブルの横で調理。お肉の提供もド派手で、お客様がバシバシ撮影されインスタなどにアップ、広告費が抑えられる結果となっている。業態は出店毎に改善が加えられていく。このスピード感が独資のメリットであり、他の業態固定の企業と違った持続的成長への予感となった。
客単価7000円という上海でも高いハレの料理、来店頻度は半年ながら回転数は万全。取材した「薪火焼肉 源の屋総本店」、22時の閉店近くになっても20人以上の客待ち。何故なら東京の山の手線内と同じ面積に3300万人。人口は商売の母体。少子化対策に本気で取り組まない日本は大丈夫か?
当初、ハレの料理なので客層は40代に設定。しかし開店すると半数以上が20代のカップルや女友達。何故、こんなにお金を持っているのか?ここ10年以上、上海の不動産は高騰を続け、かつ子どもは一人っ子。結果、親からもらったマンションを複数賃貸にしている20代がざらにいる。可処分所得が高い若者が支持する業態は繁盛する。
日本の外食は人手不足。上海では採用コストはゼロに等しい。都会にあこがれる地方の若者流入が続いている。が、教育と定着は大変。中国人はメンツが第一、人前で叱るのは厳禁と思っていた臥龍は驚いた。岡田氏は従業員を叱る。「臥龍さん、叱るのは人柄ではなく事柄、そして日常の信頼感創りがあれば大丈夫!」。確かに、岡田氏と従業員の距離感が素晴らしい。慕われながら、なめられていない。逆にいえば、ハレの単価に相応しい従業員教育ができる店長やリーダーの育成が、成長のボトルネックであり他社との差別化でもあると感じた。
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