トピックス -企業家倶楽部

2019年05月28日

ベーシックを支える仲間/新生ベーシックの船出

企業家倶楽部2019年6月号 ベーシック特集第4部


秋山率いるベーシックに、多方面から若くて優秀な経営陣が集結した。大きな飛躍のため、収益を生んでいた事業も売却。ウェブマーケティング事業に集中する決断を下した。秋山の描く未来を実現すべく、社員も結束してまだ見ぬ未来へと突き進む。(文中敬称略)



日本の働き方を改革したい

執行役員 最高人事責任者 林 宏昌 Hiromasa Hayashi
日本の働き方を改革したい


 ベーシックの最高人事責任者として、同社の組織作りに尽力しているのが林宏昌だ。執行役員を務めながら、自ら事業も手掛けているという異例の肩書きである。

 前職のリクルートではグローバル展開を手掛けていたが、日本に貢献する仕事がしたいとの想いがあった。同時に、日本の働き方の窮屈さに課題があるとも感じていたという。海外では柔軟な働き方が出来るだけでなく、一見業務に関係無いような取り組みからアイデアが生まれることもある。一方日本では、融通の利かない企業が多いのが現実だ。

 人生の軸を働き方改革に移したいと思い、18年6月に前職を退くと、副業で行っていた大企業の働き方改革を支援するコンサルティング事業で起業した。「単に助言をするだけではなく、自ら深く関わることで、副業を社会の当たり前にしたかった」と林は語る。

 そんな中、働き方に関するカンファレンスで出会ったのが秋山だった。議論を繰り返す中で、組織の作り方やマネジメントにおいて大事にしている価値観など共通する部分が多く、秋山は林をベーシックに誘った。

 実は、一度は入社の話を断ろうとしていたという林。社内で事業展開することで立ち上げは早くなるが、経営資源を自由に投資できないリスクがあると考えたためだ。しかし、秋山の人柄に惹かれ、一緒に働きたいという直感を信じて入社を決意した。

 企業の規模が大きくなる際には、組織の問題が発生するのが常である。ベーシックもまさに今が過渡期。事業拡大に伴い、企業文化や求める人材要件も変わりつつある。林は人事経験こそ無かったものの、組織作りやマネジメントに関しては従来から着目してきた。そしてその彼に、秋山は人事を一任した。

 林から見た秋山は「人に賭けて事業を進める経営者」だという。特に、強みに注目して個人を活かしていこうとの想いが強い。一方で、高い期待を持ちすぎて適切な課題設定が行われないこともあった。

 そこで林が取り組んだのが、社内の課題設定作りだ。中長期戦略から落とし込む形で半期ごとにミッションツリーを作成し、社員は自分の役割や目標を自ら考えて上司に相談するやり方をとっている。定量的に測れる指標ばかりではないが、具体的な評価方法などを模索しながら進めているという。

 変化対応力が高く、「なぜその事業を実施する必要があるのか」と突き詰められるタイプであれば、ベーシックは挑戦しやすい会社だ。2年目で事業戦略を描いている社員や、プロジェクトオーナーもいる。大企業のような莫大な資金力やダイナミックさは無くとも、若手メンバーが自由に動けるベンチャーだからこその面白さがある。

 秋山が他の社長と話した内容や将来性がある分野に関して、垣根無く社員に共有するのも、ベンチャーならではだ。秋山について「好奇心が強く、感度も高い経営者」と評する林。経営会議で話すだけでなく、突然「皆でディスカッションしよう」と連絡が入ることもある。

 社長である秋山の想いを社員に伝えるのも林の役割だ。秋山が打ち出す経営者視点の考えを、林が咀嚼してメンバーに落とし込むことで、組織が強くなりつつある。

 そんな林は「今は苦しいこともありますが、3年後に振り返りながらお酒を飲めるような良い未来を作りたいですね」と秋山へメッセージを送る。きっと未来の彼らは、笑顔でグラスを傾けていることだろう。



社員が生き生きと働ける会社にしたい

執行役員 経営企画部長 角田剛史 Takeshi Sumida
社員が生き生きと働ける会社にしたい


 大手企業からメガベンチャー、そして社員が数人のスタートアップまで、各規模の会社を渡り歩いてきた角田。 様々なポジションで経験を積み、その中で「全くのゼロから事業を作ることよりも、10を100に伸ばす方が自分に向いている」と気付いた。

 次は何をしようかと考えていた時に紹介されたのが、新規事業を引っ張る人材を探していた秋山だ。

 これまでのベーシックの歴史を聞くと、「主力になる事業はいくつかあるものの、市場に広くは浸透していない」と感じた。体制を整えることで、事業も会社も大きく伸ばせる同社のフェーズに興味を持った角田。「ここでなら、経験を最大限に活かして自分のやりたいことができるのではないか」と考え、入社を決意した。

 2018年8月の入社当初、角田は新規事業開発の責任者を任された。しかし、実際に働いてみると、当時のベーシックはむしろ基盤を固めるべき時だと感じた。日頃気付いた点を秋山に伝え、10月には経営企画室を立ち上げることになる。これまで積んできた経営企画や事業部側の経験による視点が活きた。

 まずは各事業部に、事業企画という経営数値を把握する担当者を配置した。彼らを角田がまとめることで、縦横で情報が共有されるシステムを作り、経営指標となる数字の見える化と業務プロセスの徹底的な仕組み化・効率化を行った。

 経営企画室の業務内容は、数字の算出だけではない。「どの部署も行っておらず、あれば確実に会社が向上する業務に取り組む」という定義の下、総務や広報まで行っている。

 角田は約半年で大きな変革を遂行してきたが、言わば新参者の提案を受け入れ、前向きに課題改善に取り組む社員たちの姿勢に、改めてまだ伸びる会社だと実感した。

 そんな角田が秋山から学んだのは、「状態ゴール」を決めること。これは秋山独自の言葉で、「何か行動した結果、相手や自分がどういう状態になっているべきか」をあらかじめ明確にしておくことである。

 例えば、社訓決めの会議の状態ゴールは「参加した経営陣全員がその社訓の必要性を理解し、同意している状態」であり、終了時に達成されているかが確認される。物事のやりっぱなしを防ぐことで無駄が無くなり、業務を効率的に進められる。

 角田が責任者を務め、3月に開催されたベーシックの15周年記念パーティーでも、状態ゴールが意識された。「新旧の社員が交流を深め、皆がベーシックで頑張ろうと思えている状態」がその時のテーマであった。

 その考えの下、定番のダンスなどは外し、余興は社史クイズに変更。チーム分けにも工夫を凝らした。事後アンケートでは5段階評価で4と5が9割を占め、1と2は一つもなかったという。狙い通りの反応が寄せられ、見事に状態ゴールを達成。ただの楽しいパーティーではなく、社員の結束を深めるきっかけとなった。

「ベーシックを、社員が生き生きと働き、圧倒的に成長できると感じられる会社にする。それが自分のやりたいこと」と角田は語る。そうした会社にするためにも、経営企画としていかに事業を伸ばし、働く良い環境づくりをしていくかが課題である。

 自分が会社のために当事者意識を持って仕事に取り組めているのは、「ベーシックが一番力を発揮できる場所であり、ここで働くことが心から楽しいと思えているから」 と自信を持って語る角田。最後に秋山に向け、「自分に出来ることがあれば何でも無茶振りしてください」とメッセージを送った。



ピュアだからこそチャンスに恵まれる

執行役員 SaaS事業部長 岩川聖史 Kiyoshi Iwakawa


ピュアだからこそチャンスに恵まれる


「金融、コンサルティングといった業界を経てIT畑に来る人はそうそういないとよく言われます。でも、環境の変化が激しくて楽しいですね」

 そう語る岩川の職歴は目まぐるしく賑やかだ。プロサッカー選手を夢見た後、都市開発事業に携わりたいと志した学生時代。卒業後は東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に入行し、ファンドマネージャーとして活躍した。

 その後、アメリカのコンサルティング企業から声を掛けられて転職。コンサルティングはもちろん、M&Aなども手掛けた。さらにグリー、ソフトバンクグループといった最先端のIT企業に籍を移すと、新規事業の立ち上げに従事してきた。

「そろそろ自分で事業を興したいと思った矢先、たまたま秋山と出会いました」

 数多くの経営者と仕事をしてきた岩川。縁があれば興味のある人に会うようにしており、人を見る目には自信がある。「目を見ればどんな人か分かる」と語る彼は、秋山が「とてもピュアで、面白い人」だと直感した。

 秋山から事業について相談された岩川は、「事業を創出する力はある。良いアイデアやそれを実行するチームメンバー、変化への対応力にも恵まれている」としながらも、「事業を持続させ一定の規模に拡大していく力が、経験不足もあって弱い」と分析した。そして、岩川自身がそうした経験を豊富に持っていたことから、関わることができれば面白いと考えた。

 秋山の発言やアイデアに、本質的な視点を見て取った岩川。「短期的なスパンではなく、長く一緒に仕事をしていきたい」と秋山から熱心に誘われたこともあり、ほぼ決定していた次の仕事をキャンセルして、ベーシックに入社した。

 新しい経営陣となったタイミングの会議では、秋山が「私は社員を愛します」と言い放ったのが印象的だった。秋山は「プロフェッショナルに集まっていただいたので、口出しはせずに任せます」と、ワンマン経営からチーム経営に舵を切ったのだ。「自分はこういうことができない」と言える秋山の飾らない率直な人柄に、岩川は改めて好感を持った。

 そんな岩川が秋山から求められた役割は、「主力のSaaS事業で、自分がやりたいことを理解・咀嚼して社内に広める」というもの。岩川が言わば「結節点」となって社員に伝えていくわけだが、その中で心掛けているのは、秋山の言う「解像度を上げる」ことである。そのためには、タイムリーな数字の管理が不可欠だ。「数字を取ってこそ、行動の結果や隠れた問題の原因が見える化され、適切なコミュニケーションが可能になる」と岩川は考える。

 岩川はベーシックについて「一緒に働く仲間が、同じチームに属していることを誇りに思えるような会社にしていきたい」と夢を語る。個が強くなって初めてチームが強くなる。強いチームには強い個が集まり、互いに切磋琢磨して、さらに強くなる。

「常に一歩先を進めるようなことに挑戦しよう」と声を上げる岩川には、社内外に多くの仲間がいる。様々な分野で活躍する彼らとの交流は貴重な財産だ。

「秋山さんにはずっとピュアでいていただきたいですね。それでこそ変化に対応でき、チャンスにも恵まれます。本質的に物事を考えるためには、雑念の入らない純粋な心でいなければなりません。結果は後から付いてきます。既知のものにアプローチするのではなく、未知のものを創出して、世の中をリードしていきましょう」



何事も隠さず着飾らない純粋な人

執行役員 マーケティングプラットフォーム事業部長 達山裕一 Yuichi Tatsuyama


何事も隠さず着飾らない純粋な人


 前職はディー・エヌ・エーでマーケティング戦略の立案やメディア事業の立ち上げと運営を担当してきた達山裕一。10年間という一区切りもあり、新しい環境を模索している中でベーシックを知った。

 転職ありきではなかったが、「まずは話だけでも」ということで2018年6月に秋山と初めて会う。これまで一般消費者向けのB2Cビジネスを長く手掛けてきた達山は、秋山の話す事業会社向けのB2Bビジネスに新鮮さを感じた。ビジネスの話も興味深かったが、社長である秋山が現時点で自社の抱える課題について包み隠さず素直に話したことで、「嘘をつかない、着飾ったりしない純粋な人だな」という印象が強く残った。

 すぐに転職とはならず、一旦話を持ち帰った達山だったが、その後役員となるメンバーらとの交流を続けるうちに、彼らと仕事に対する価値観が似ていると感じた。その場には秋山が同席することもあり、改めて事業に対する想いを共有した。

 数カ月間、ランチなどで意見交換をする中で、19年1月にベーシックへの入社を決めた。これまでの自身の経験を活かし、現状の「仲良しグループ」から「喧々諤々と議論することのできる闊達な組織」へと企業文化を変える手助けができると考えるようになったためである。それこそまさに、秋山が経営陣に求めている役割でもあった。

 現在は、マーケティングプラットフォーム事業部長として、セールス、マーケティング、メディアといった事業全般を見渡す達山。どこにどのような課題があり、どのような戦略に落とし込むのか、役割分担を決めて試行錯誤をし始めたばかりだ。

「私もまだ見習い期間です。しかし、前職で数字を見ながら地道にPDCAを回す仕事のやり方は鍛えられていますから、粘り強く続けていきたい」と達山は謙虚さを示しつつ、力強く今後の抱負を語った。

 マーケティングの原理原則は、基本的にこの100年変わっていない。消費行動モデルとして有名な「注目」↓「興味」↓「欲求」↓「記憶」↓「購買」の頭文字を取った「AIDMA(アイドマ)」から、「注目」↓「興味」↓「検索」↓「購買」↓「共有」と「AISAS(アイサス)」になってきたが、シェア(共有)は元々ご近所さんの口コミがデジタル化されただけである。

「今後も利便性を追求した新しいサービスが出てくることは予想できますが、それは今までの人の行動をいかにIoT化していくかの話です。マーケティングも同様で、人の感情が数十年単位で劇的に変わるものではありません。要するにアナログからITに置き換わっただけだと思います」と達山はマーケティングの本質について語る。

「将来的には、ウェブマーケティングのことはグーグルで検索するよりも、フェレットで調べた方が早いという状況になるのが理想」と具体的なイメージを描く達山。日本中のマーケターの底上げに貢献したいと真摯に語る彼は、最後に秋山に向けて熱いメッセージを送った。

「今が各事業部の踏ん張りどころです。現在の厳しい局面を抜けると、この先また広がりを持って進めるステージに行けます。より大きな規模の会社を目指して一緒に頑張っていきましょう!」



妥協せず本質を求め続ける

執行役員 最高技術責任者 桜庭洋之 Hiroyuki Sakuraba


妥協せず本質を求め続ける


 前職からエンジニアとして、ベーシックが運営する比較サイトの開発に携わっていた桜庭。所属していた会社が倒産し、「ベーシックはどうか」との紹介を受け、初対面となる秋山との面談に臨んだ。

 履歴書を見ながら放った秋山の第一声は「君、字が汚いね」。「言いたいことをズバッと言える人だな」という印象を持った。その印象は、入社後に確信へと変わる。社内ミーティングにおいて、必要なことだけを的確に伝え、それが終わるとさっさと退出していく秋山の姿に何度も触れた。

「秋山は真剣そのもので、手を抜くということがない。アグレッシブな人です」

 秋山は「本質は何か」を問い続ける。具体的なやり方には口を出さないが、「なぜやろうと思ったのか」「なぜ我々がやるのか」といった説明を求めるのだ。もし秋山を納得させられなければ、事務的に仕事を進めている証。その仕事の狙いは何か、本質的な議論ができるかどうかを、秋山は意識しているように見える。

 桜庭は、入社以降も比較サイト事業の開発に携わった。新規事業開発室開設に伴い、ベーシックのCTOと同時に、スマートフォンアプリ開発の子会社フルセイルのCTOも兼務することとなった。

 そんな桜庭は、「組織よりも文化を作りたい」と語る。彼の考える「組織」とはルールであり、「文化」は行動そのものだ。行動が無ければ、ルールがあっても意味がない。桜庭が理想とする人材は、「自走でき、かつ周囲と協力できる人」。事業はチームで動かねばできない。妥協しない精神を持ちながら、チームの中で自分はどのように動くべきかを同時に考えることが求められる。

「採用の時にも、協力できる精神を持っているかどうかを重視します。あとは、その人がベーシックで何をしたいのかですね」

 信念が無く、何となく働いているようでは、チーム内でいてもいなくても変わらない存在になってしまう。

「お互い信念をぶつけ合えるような環境を作りたい。ベーシックでは社内勉強会も盛んで、知見を共有していますし、ストレスや摩擦を感じるとすぐに集まって意見交換をします。言葉にして問題が可視化されることで、たとえ解決に至らなくても、ストレスが軽減されます」

 桜庭が心掛けているのは、影響力の強い立場の自分が先に「想定される最低ランクのアイデア」を言うこと。すると、「いや、それは流石に無いでしょう」と、周囲からアイデアがどんどん沸いてくるという。

 そんな桜庭にこれまでの苦労を問うと、スマホゲーム用の広告配信アプリを開発していた時のエピソードを挙げた。

 それまでの比較事業サイトと異なり、スマホゲームは一気にアクセスが増加して配信サーバがパンクすることもあった。そのため、桜庭の携帯電話にはアラートが毎晩のように届き、深夜にメンテナンスを行って明け方に経緯報告書を提出する日々が続いた。

 ただ、それでも桜庭は「新規事業立ち上げが続く中、知識はあっても経験が無かった。苦労からは多くを学びました」と笑う。苦労を「大きな成長のためのステップ」と前向きに捉えているため、ストレスを感じにくいのだろう。

「凡事徹底でやっていきましょう。今は既存の事業を伸ばし、当たり前のことを高いレベルでやり続ける時期です。結果としてプロフェッショナルという評価を得られる。経営チーム含めて、一緒に頑張りましょう」



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