トピックス -企業家倶楽部

2019年06月10日

中国でのデジタル監視社会の恐怖 

企業家倶楽部2019年6月号 敏腕コンサルタントが斬る! vol.14


松本 洋(まつもと・ひろし)

AP I コンサルタンツ代表取締役社長。1951年生まれ。東京大学法学部卒。日本鋼管(現JFE スチール)入社後、米国コロンビア大学MBA及びLLM(法学修士)取得。倒産寸前の子会社、米ナショナル・スチールに上席副社長(COO)として赴任し、経営再建に成功。KVHテレコムを始め4社の起業に成功。ベネッセコーポレーションを含む数社の社外取締役を歴任。




 2020年までに、中国の200カ所の駅に監視カメラが順次取り付けられる予定だという。既に、18年10月26日から、当初は4カ所の駅で、安全検査と同時に公安当局は日常行動を監視し始めた。ビッグデータを利用した顔認証システムによる監視は、市民に恐怖感を与えている。

 顔認証には事前登録が必要であり、利用者は鉄道のアプリで申請フォームをダウンロードして、政府の発行する身分証番号を記載し、顔写真を撮って送付する。登録が終わると、駅では設置されたカメラに顔を向けるだけで通過することが出来る。このシステムに銀行口座からの自動引き落とし機能を連動させれば、自動的に支払いも済ませることが出来る。極めて便利ではあるが、何時頃、何処から何処に出掛けたかということも全て公安当局に知られることになる。

 18年3月に貴州省貴陽市で、10人のスリ集団組織が摘発され逮捕された。市内各所に設置されている2万台以上の監視カメラの効果だという。犯人らしき人物の顔写真とスリの前科のある1000人以上の顔写真を顔認証システムで照合し、犯人を特定して逮捕したとのこと。犯罪者を逮捕する為に監視カメラが使われるのは良いことであるが、人々の日常行動を常に監視出来るようになることが市民達に恐怖感を与えている。



【歯止めなきデジタル監視社会】

 民主国家では、プライバシーの権利を保護する為に多くの制約がかかるが、中国は、共産党による一党独裁体制であるので、プライバシーの権利保護は無視して個人情報を全て公安当局が把握し、共産党に批判的な国民を排除する為に使い始めている。人権派弁護士が300人以上も逮捕され、その行方が不明になっているという由々しき事態も生じている。

 中国国内で設置された監視カメラは、16年末に約1.6億台、20年には6.3億台になると予想されている。私が深センに出張した際にも、入国審査で10本の指紋を採取され、顔認証のカメラで写真を撮られた。街の至る所に監視カメラが設置されており、常に監視されているという恐怖感を感じた。

 中国では、国内の全てのIT企業に対して、ネットでのやり取りをモニターし、その記録を6カ月にわたり保存した上で公安当局に情報を提供することが義務付けられているという。



【一帯一路政策】

 この政策は、14年11月10日に中華人民共和国北京市で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議で、習近平総書記が提唱した経済圏構想である。着実に周辺諸国に経済援助と称してインフラ整備の為の資金供与をしてきており、金利を返せなくなった場合には、建設した鉄道、道路、港湾を接収して、港も軍港化を進めている。米中の覇権を巡っての争いは更に激化しており、人民元の暴落の危機が迫っているが、その中で、平和ボケしている日本はどう折り合いをつけていくのか、今こそ長期的な国家戦略、安全保障政策を構築する必要がある。



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