トピックス -企業家倶楽部

2019年07月22日

好きこそものの上手なれ

企業家倶楽部2019年8月号 視点論点


 5月25日から28日までアメリカのトランプ大統領が来日しました。「令和」初の国賓としてメディアも連日報道し、都内ではトランプ大統領が移動するたびに車両の交通規制があり、影響を受けた方もいらっしゃるかもしれません。

 あまり聞きなれない「国賓待遇」という言葉ですが、天皇陛下による「歓迎行事」、「ご会見」、「宮中晩餐会」、そして「お見送り」の4点セットがあることを初めて知りました。順当にいけば、次に国賓として迎えられるのは中国の習近平国家主席になるでしょうか。来日の順番からも米中日の三国間の国際関係が見え隠れしています。

 近年ますます存在感の大きくなっている中国ですが、先日アリババジャパン香山社長に話を伺ってきました。アリババグループの歴史が中国のインターネットの歴史といわれるように、ネットの検索から始まり、eコマース、電子決済とビジネスは広がり続けています。毎年、11月11 日は「独身の日」と呼ばれ、1日に3兆円以上のモノが売れ、決済が行われ、中国全土へと品物が配送されていきます。

 もはや中国が世界一競争の激しいマーケットであることは疑いのない事実です。ビッグデータもアクティブユーザーで6億人のデータが毎日更新されていきます。AI(人工知能)の精度が世界トップレベルなのもうなずけます。

 最近ではネット上のみではなく、生鮮食品を扱うスーパーマーケットにまで進出し、半径3キロ以内にある住宅へ無料で商品を届けるサービスも展開しています。そのおかげでアリババ系列のスーパーマーケット(フーマー)があるエリアは土地の値段が上がっているそうです。

 今やネットとリアルを分ける必要がなくなっているのかもしれません。10代、20代の消費者は友人や家族とのコミュニケーションをとるとき、買い物をする際にも全てスマホ経由で行います。自宅ではリビングのテレビを見ずに、自分の部屋に籠って、スマホをいじっています。スマホ依存はなにも子供たちだけではありません。大人も仕事のメール、情報収集、同僚との連絡事項、見積もりから発注、請求書までスマホで完結する時代です。

「1億総スマホ時代」の到来です。各社、自社の事業を本質的にデジタルトランスフォーメーションしなければ、時代に取り残されてしまいます。

 では、どのようにデジタルシフトに取り組めばいいのか、香山社長にそのポイントを伺いました。答えはシンプルでした。

「いやいや取り組んでいては成功しない」

「カスタマーの体験を最高のものにすることに集中する」

 この2点のみだと香山社長は教えてくれました。やれAIやビッグデータ、CRMだと横文字が飛び交っていますが、ネットが普及する前だって優秀な経営者は自社の顧客のニーズをよく知っていました。会社を育ててくれる顧客のことをそれこそ四六時中考えて、喜んでもらおうと商売に励んできたのです。ネットは目的ではなく、あくまで手段です。私たちの生活を楽に、豊かにしてくれるツールなのですから、振り回される存在ではありません。ネットの特性を理解し、活用するのです。ネットを活用することで顧客が喜ぶ姿をみれば、デジタルシフトへの本気度も変わってきます。

 20年前、父からゴルフを勧められましたが、当時は面白さが分かりませんでした。「やってみろ」と言われれば言われるほど遠ざかっていた気がします。しかし、ゴルフ関係の仕事をする機会があり、自ら興味を持つとゴルフの魅力に気付きました。今ではなぜ父が勧めたのか理解できます。物事は何でも自ら主体的に始めなければ学びが少ない。「好きこそものの上手なれ」とはよくいったものです。

 デジタルトランスフォーメーションを始めようと思った際には、大好きな顧客の顔を思い浮かべてみて下さい。少し身近に感じてきませんか。(T)



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